Fried Rice for lunch

町中華系から革新系まで! ランチにぴったり極上チャーハン

“食欲の秋”のランチタイムに、目いっぱい頬張りたくなる中華の大スター。高級店から町中華系のお店、また定番から変わり種まで、腹ペコお昼にぴったりなチャーハンをご紹介します。

EDIT BY TM EVOLUTION.INC

❶ 香港料理 蘭苑 —— “火力”と“桜えび”による香り豊かなごちそうチャーハン

「チャーシューと桜えびの炒飯」¥1,408 。ご飯、卵、チャーシュー、桜えび、青菜、ネギを強い火力で炒めたチャーハン。比較的あっさりとして海鮮を多く使う香港料理から生まれた、リー・コウ シェフ監修の創作チャーハン。

スプーンですくうと桜えびの香りが華やぐ、パラパラチャーハン。それぞれの具材の食感や味わいがしっかりと感じられるのも美味しさの秘訣。

西永福に町中華として十数年前スタートした香港料理『蘭』。町中華とあなどるなかれ、その本場仕込みの本格中華は、地元杉並地区にファンが押し寄せ、みるみる4店舗に。そしてここ数年の厳しい時代にも御徒町や、横浜に店舗を出店。破竹の勢いのこの店が満を持して昨年11月に虎ノ門ヒルズに、少し高級感を感じさせる新形態でオープンしたのがここ『蘭苑』だ。オイスターソースの名舗「李錦記(リキンキ)」が主催する中華料理のコンテストで金賞を受賞し、今は審査員も務めるオーナーシェフ、リー・コウの洗練された中華は「中国のコンテストで中国人の審査員が認めた味」というお墨付き。

「店の味を知るためには、まずチャーハン」と言われるのは、火の扱いで料理人の腕が分かる、という理由だ。料理人にとって炒める火力の失敗を怖がらず、強火で一気に炒めることが美味いチャーハンを作るコツなのだ。『蘭苑』の「チャーシューと桜えびの炒飯」(¥1,408)はまさに、そんな本格派のセオリーを押さえた高級中華のお手本のようなチャーハンだ。

高い温度の白絞油(しらしめゆ)で躊躇なく炒められたパラパラチャーハンは、チャーシューや桜えびが味に華やかさを添える。中国では「爆香(バクヒョン)」という、強い火力によって調理された「火の香り」を意味する言葉があり、これに桜えびによる香ばしい香りが重なり合い、シンプルな具材のみで作られたとは信じがたい、深い味わいが醸し出される。店の人気メニュー「よだれ鶏」(¥1,078)や、ワイン好きのオーナーが力を入れているというワインのラインナップと共に、ひと味もふた味も違う美味チャーハンを是非、堪能したい。

香港料理 蘭苑|Ranen
住所=東京都港区虎ノ門1-23-3 虎ノ門ヒルズ 森タワー 4F 電話=03-6206-6605 営業時間=11:00~15:00(L.O.14:30)/17:00~23:00(L.O.22:00) 定休日=無休 ※各種クレジットカード、IC決済、QRコード決済利用可
 
TEXT BY AKIRA TANAKA
PHOTO BY HIDEHIRO YAMADA

❷ 中華風家庭料理 ふーみん —— 一瞬で幸福感に包まれる、異次元の香ばしさ。納豆レシピが不動の人気

「納豆チャーハン」(¥1,350 / ディナーは¥1,500)。納豆のまろやかさ、ザーサイのシャープな塩味、自家製チャーシューのコクが渾然一体となってハーモニーを為している。どんなに食欲がなくても、スプーンが止まらないほど! ランチはワタリ蟹の味噌汁、ディナーは中華スープ付き。

「かにチャーハン」(¥1,350 / ディナーは¥1,500)。『ふーみん』では敢えて「かにチャーハン」を海鮮だけにまとめず、自家製チャーシューを加えてコクを出している。とはいえ「納豆チャーハン」に比べれば、あっさりとした味わい。ランチはワタリ蟹の味噌汁、ディナーは中華スープ付き。

オープンキッチンからは、中華鍋を勢い良く振る音が絶えない。それほど、『ふーみん』ではチャーハンが大の人気メニューなのだ。

嗚呼、この香ばしい香りときたら! 『ふーみん』の名物メニュー「納豆チャーハン」は、アツアツがテーブルに運ばれてきた瞬間から幸福度マックスの芳しさでテーブル周囲が充満する。これは、火入れされた大豆由来の香ばしさだ。鼻腔を遡ってくるこの香りが胃袋を刺激して、ボリュームのあるひと皿も一気にペロリっ。『ふーみん』は、南青山骨董通りに店舗を移してすでに36年になるが、昼も夜も変わらず、看板メニューは「納豆チャーハン」なのである。

ところで、このチャーハン、納豆を一パックまるごと使用しているが、納豆特有の臭みは皆無。白井料理長によると、納豆は火を入れすぎないように、調理行程の最後に加え、おたまの底で撫でるように優しく広げていくのだとか。そうすることで、納豆が潰れず、粘りと臭みを抑えることが可能になる。香ばしいが、納豆臭はないという“奇跡のレシピ”が、ファンを魅了する所以だ。

具材は納豆のほかに、ザーサイ、チャーシュー、たまご、ネギ。旨味たっぷりのチャーシューが細かく刻まれ、まんべんなく混ざっているから、ひと口一口すべてにパンチが効いている。そして具材とは別に、自家製ザーサイがおしんこ代わり。市販のものとは異なり、味わいがとてもまろやかで、酢っぱすぎず、辛すぎず、それでいて歯ごたえシャッキリ! チャーハンの旨味を邪魔しない上品さで、どんどん口に運びたくなる一品だ。

一方で、ときには「かにチャーハン」もいかが? ワタリガニの蟹身をたっぷりと使用、フワフワ食感がパラパラのお米とグッドバランスを魅せている。気取らない町中華のチャーハンなれど、磨かれた先にはこんなにも進化するのか! と叫びたくなる衝動を抑えつつ、大スプーンでワシワシかき込むのがお勧めである。

中華風家庭料理 ふーみん|Fumin
住所=東京都港区南青山5−7−17 B1F 電話=03-3498-4466 営業時間=11:30〜16:00(L.O.15:30)/18:00〜21:30(L.O.21:00) 定休日=日曜・第1月曜・祝日 ※QRコード決済(PayPay)利用可
 
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
PHOTO BY FUMIAKI ISHIWATA(NDPP.)

❸ 希須林 青山 —— 常連を唸らす王道スタイル。パラパラチャーハンここにあり!

『希須林』といえば、この味! 「蟹たっぷり蟹炒飯」¥1,580。奇を衒わぬ王道チャーハンだ。米は柔らかいのに、わずかに芯を残し、パラパラとしている。

「週替わり炒飯ランチセット」のピリ辛高菜チャーハン(¥1,200/副菜、味噌汁付き)。『希須林 青山』のお米は長野県の農家直送の新鮮米。油分と旨味でコーティングされ、アツアツ時はもちろん、テイクアウトで冷めても旨い。

“日常的に食べ飽きない”のが、『希須林』製チャーハンの創作テーマ。中でもスペシャリテ「蟹たっぷり蟹炒飯」は、シンプルな味付けながら実に奥深く、創業以来の変わらぬ味だ。

蟹身は2回に分けて鍋に投入。1回目は米と一緒に炒めて、まんべんなく味わいを出す。そして炒めたチャーハンを一旦皿に移した後に、2回目の蟹身を投入。余熱で柔らかく火入した後にチャーハンのご飯の上にトッピングしている。これにより、まろやかな蟹の風合いが全体に行きわたり、同時に蟹身のふんわりとした特別な食感を楽しめるのだ。

その蟹身は、『希須林』では2種類を混ぜ合わせている。身が細やかなものは味わいが良く、身が大きいものは食感がいい。両者を敢えて混ぜることで、それぞれの美点を引き出している。

このスペシャリテチャーハンのほかに、ランチタイムには「週替わり炒飯ランチセット」が登場。一例、「ピリ辛高菜チャーハン」は、ラー油と醤油でパンチを効かせた味わいだ。高菜は塩気をわずかに残しつつ塩抜きすることで、アクセントに。これがさらなる深みを与えている。そして、このランチセットには副菜と味噌汁が付く。味噌汁は具材たっぷり! 昆布、鰹節、煮干しで前日から出汁をとる凝りようだ。副菜もサラダ、肉類、魚介など、多彩なレシピで飽きさせない。

希須林 青山|kisurin Aoyama
住所=東京都港区南青山5−1−25メゾン・ド・ラミア2F 電話=03-3499-4120 営業時間=11:00〜14:30(L.O.14:00)/17:30〜22:00(L.O.21:00) 定休日=無休 ※各種クレジットカード、交通系IC、QRコード決済利用可
 
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
PHOTO BY DAISAKU NISHIMIYA(NDPP.)

※2022年9月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。
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