タイトルの全文は「パンが尽きたときよりも、ユーモアが尽きたときの方が貧しい」。なんとなくデンマークのことわざを引用してみました、お元気ですか? どんなときもユーモアという心の滋養をとりながら。HIROSHI FUJIWARA(hf)のインスタに漂う機微を読み解く当連載、第66回は2026年4月〜5月の投稿をおとどけいたします。
INSTAGRAM & TALK BY HIROSHI FUJIWARA
TEXT BY MIKA KUNII
2026年4月5日——パンを重ねる
——何でしょう、この子は。
hf 桜あんパンの上にねずみパンを乗せました。
——藤原さんの魔改造なんですね。パンはお好きですか?
hf 好きだけど、サワードウはあまり好きじゃない。
——酸味のあるカンパーニュ系ですね。
4月7日——コペンハーゲンの取っ手
hf コペンハーゲンですね。この時はBang & Olufsenの仕事で。
——Bang & Olufsenとコペンハーゲンの空と、
hf チボリパーク。
——チボリパーク! 以前、倉敷にもありましたけど、その本場ですね。
hf 日本にもあったんですか?
——ありましたね(2008年閉園)
——そして、なんだかおもしろい取っ手。
hf どっかの撮影現場かな。半分、スカンジナビアデザインみたいな。
——ちゃんと持ちやすそう。
4月24日——ピザ、ないよ
——「ミラノでピザ食べるぜ」って。
hf 食べないじゃないですか、普通、ミラノでは。
——え。食べないんですか?!
hf ピザはナポリ。以前はミラノのレストランではピザがメニューになかったりしました。最近はピザ屋、あるけどね。
——食文化が土地々々で明確に分かれてる。
hf 分かれてます。だからミラノで日本人がピザを頼むと、地元の人に笑われる。
——そうなんですね。大阪のお好み焼き定食みたいな地元の食文化が。
hf あと、カプチーノも誤解がありますね。
——朝の飲み物なんですっけ。
hf そう、カプチーノは朝の飲み物で、昼以降はエスプレッソ。カプチーノを午後頼むと、スタバに行けって言われる。
——でも私、頼んじゃうかもしれない……そして笑われるかもしれない。
hf ちゃんとしたカフェではそもそも出さないんじゃないですか、たぶん。僕も初めてミラノに行った頃には、よく言われました。
——「ピザ、ないよ」。
hf 食文化といえば……この前、ロンドンに行って気づいたんですが、誰もお茶を飲んでないんですよね。ほんと変わりましたね。
——イギリス人が紅茶を飲まなくなってる? 何を飲んでるんですか。
hf コーヒーとか。あと、抹茶ラテ。
——だからロンドンのポストで、カラフルな抹茶イチゴラテが上がっていたんですね。あれ、おいしいんですか?
hf おいしかったですよ。そして今回ロンドンに行って、誰もミルクティー飲んでないなと思ってちょっとショックでした。
——英国のお茶文化が。
hf 伝統が。
——日本人も緑茶、そんなに淹れてないじゃん。みたいな感じですかね。
hf だから、ミラノでもピザ食べられるんですかね。
——ミラノはこのイベントで行かれたんですか?
hf デジーノだったんじゃないかな。デザイン・ウイーク。
——ダヴィンチ先輩にいつもご挨拶する、ミラノ。デザイン・ウイークは何か面白いものはありましたか?
hf ナイキがちょっと良かったですね。ナイキAirの歴史で。
hf その関連のトークショーがあったので、行ってきました。
——お相手のMartin Lottiさんとは?
hf Martinは、バイスプレジデントかな、ナイキの。
——偉い人。
hf 偉い人です。クリエーティブ方面の。
4月24日——虎ノ門ヒルズのエスカレーター
——この方はどなたでしょう?
hf 虎ノ門ヒルズ ステーションタワーのエスカレーターのデザインをしたサビーネ・マルセリス。きれいなガラスを用いるインテリアデザイナーです。
4月29日——パンクカルチャー史、マンモス、踊り場
——そして、こちら。表参道ヒルズ20周年の展示「inception(1976)」、圧巻でした! その設営風景。いかがでしたか、大変でしたか?
hf そんな大変でもなかったですよ、面白かった。
——藤原さんの私物をはじめとするパンクカルチャーのコレクションが、もの凄いボリュームで。ヴィクトリア&アルバート博物館級の貴重で膨大なアーカイブの数々を間近で見ることができました。しかもみんな状態が良くて……あれだけの服をよくぞ今まで。どなたが管理保存してくれていたんですか?
hf 仙台の洋服屋さん。30年以上の知り合いです。
——会期中に見に来た方々がSNSで話題にしていました。熱かったです。
hf もう、めったに見られないですからね。好きな人は世界中にいるから、ほんとは海外にも巡回したらいいと思います。
——この展示の企画が決まってからここに行き着くまでのスピード感ときたら、尋常じゃなかったと聞きます。設営も、コラボグッズも、Tシャツのデザインも並行して一気呵成に。製品を作る方たちのスピード感もすごかったそうですが、あの方たちはいつも一緒に仕事されてるのですか? SWATチームのような。
hf そうですね。ほんとSWATチームのようです。
——「ODORIBA」というセレクトショップも同時進行で。かつて原宿近辺にマンモスがいたという史実から、象がモチーフに選ばれて。私もドムドムバーガーのキーホルダー買いましたけども。「ODORIBA」というネーミングはどこから?
hf ショップの場所が、表参道ヒルズの階段の踊り場だったから。
——あ、たしかに。そういえばあの階段のスペースって、なんで「踊り場」っていうんだろう……? 気になった方は調べてみてください(笑)
hf たしかに。階段で踊る人、あんまりいないっすよね。
——英語に直したらdance floorか……いや、きっと違う言い回しでしょうね(英語では「landing」)
5月8日——イームズと日焼け
——イームズハウスですね。
hf なんだか色褪せていてかわいそうだった。
——メンテナンスが難しいのでしょうか。
hf そうですね。ガラス張りだから、ものすごい日差しに当てられて。中に置いてある物や外の壁が色褪せるんですよ、なにせL.A.の日差しだから。
——改修工事をした方がいい? 絵画の修復みたいに。
hf それがいいのかどうか。きれいな色で当時の色に復元するのがいいのか、経年変化がいいのか。いっそのことMOCA(ロサンゼルス現代美術館)の中に入れるとか。どうなんでしょう。
——何をよしとするか、ですね。
5月9日——スフィア(2回目)
——スフィア、ふたたび!
hf うん。今回はノー・ダウトを観ました。
——それは……映画?
hf ノー・ダウトって、バンドです。
——前回は「オズの魔法使い」だったけど、今度はバンドを。
hf 映画の方がよかったかも、スフィアならではの没入感があるんですよね。バンドではバックストリート・ボーイズがすごいとは聞いたけど、ノー・ダウトはドキュメンタリー的な感じで。
——私の周辺でも、聞いてみるとスフィアに行っている人がチラホラいました。
hf みんなすごいって言いません?
——言ってました。U2に行った人とか、今度メタリカに行くって人も。
hf この夏、メタリカ。今イーグルスです。イーグルスがここでやる意味あるかなって気もしますが。でも、そのぐらいの人気じゃないときっと採算がとれないんですよ。
——イーグルスとスフィアの組み合わせも気になるかも。
5月10日——NOMA no KINOKO
hf NOMAのグッズ。Tシャツとかバッグとか作りました。
——これ、何でキノコなんですか。NOMAのシグニチャー?
hf うん、料理によく使われていたし。
5月11日——ズントー節
hf 新しい、LACMA(ロサンゼルス・カウンティ美術館)。本館の建築は、ピーター・ズントーです。
——ピーター・ズントーなんですねー。いかがでしたか?
hf 中身はそこまで……興味がなかったんですが、ズントーの建物はよかったですよ。
——ズントーの建築物って、日本にはないですよね。
hf ないですね。
5月17日——三角のフレーム
hf ここは、クルーっていう町のホテルです。リバプールの近く。カーテン越しの景色が映画のよう。
——そして、こっちは電車の駅。
5月19日——エジプトから吹く風
hf パンです。
——サワードウではなさそう。
hf 「Impala」っていうレストランで、最近オープンしたんですけど、めちゃおいしいです。ここは上がってくると思います。エジプト料理かな。
——これはエジプトのパンなんですね。
hf エジプトとか西アフリカっぽいのと、イギリスのフュージョンで、おいしかった。
5月20日——コラボの元祖
hf これ、ヴィクトリア&アルバート博物館でやってます。
——「コラボの元祖」とは?
hf スキャパレリ。この人は世界のコラボの元祖っぽい感じがしました。
——いろんな人とコラボレーションを?
hf マン・レイとか、ダリとか、ピカソとか。その展覧会をやっていたので観に行きました。
——なるほど……かわいいですね、これ。
5月20日——ウェス・アンダーソンの世界
hf デザインミュージアムでウェス・アンダーソンの展示をやっていて、それがめちゃめちゃよかったです。
——観たい! もう終わっちゃったかな……(7/26まで)。『ダージリン急行』のバッグ、かわいいですね。
hf 買っといたほうがいいですよ。去年のルイ・ヴィトンで出たので。
——手が出ません……
5月20日——TEA? TEAR?
hf ロンドンのドーバー・ストリート・マーケットにて。テーブルがアートっぽくてよかったんで。
——イギリスで紅茶飲んでますね! 滲んだ跡が詩的です。
5月21日——今はまだ秘密なのさ
——すみません、「あなたは誰?」コーナーです。
hf マーク・マクモリスって、スノーボードのオリンピック選手です。アメリカ代表。
——あっ。お仕事ご一緒にされてますよね。
hf うん。彼が若い頃から知っていて、バートンで今度一緒にやろうっていうので日本に来た。
——そのプロジェクトはまだ秘密なんですね。
hf 秘密。来年の冬です。
5月21日——今年のコン!
hf 「ComplexCon」が今年10周年で、僕がやることになって。今、一生懸命準備しているところ。
——世界最大級のポップカルチャー・フェスティバル、コンプレックスコン。僕がやることになって、というのは?
hf 担当がいるんですよ、毎年。
——今年のComplexConをオーガナイズするみたいなことですか。
hf はい。
——すごい。テーマは決まってるんですか。
hf L.A.に戻るんで、L.A.がテーマですね。
——じゃあ今、大変の真っ最中じゃないですか。日程は?
hf 10月3日、4日の週末2日間。メインのイベントとか、ある程度は決まっているんですけど、僕は物販がメインで、ライブのほうは担当していない。めちゃでかいです。
5月22日——静岡のひげ
hf ヤングコーンのひげ。静岡の「成生」にて。
——あ、前にもあげていた天ぷら屋さん。ヤングコーンのひげって美味しいですよね〜。飼い葉桶いっぱい食べたい。
hf めっちゃおいしかった。
——遠くてもわざわざ行く価値のあるところですね。お庭も素敵で。
藤原ヒロシ|Hiroshi Fujiwara
1964年三重県生まれ。DJ、音楽プロデューサー、ファッションクリエイター。fragment design名義でファッションをはじめさまざまなジャンルのクリエイティブ・ディレクションを行い、ストリートカルチャーに多大な影響を与えている。






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