あっつー。猛暑は嫌いになっても、夏は嫌いにならないでください(誰)。でもこの世界をおもしろがる気持ちが一匙あれば、夏も空もあなたのもの。HIROSHI FUJIWARA(hf)のインスタの謎を読み解く、副読本的な当連載。第67回は2026年6月の投稿からおとどけしますよ。
INSTAGRAM & TALK BY HIROSHI FUJIWARA
TEXT BY MIKA KUNII
2026年6月5日——夏のたからもの
——「これは最高です。夏の宝物」。っていうコメントですが。
hf デニムに見えるけれど、これは麻。リネンにプリントしてるんです。
——リネンなんですね! デニム生地じゃない。洒落てる〜。
hf デニムジャケットの写真を撮って、薄いリネンにデジタルプリントしてる。めちゃめちゃよくできてます。
——これは素晴らしい夏アイテム。欲しいなあ……
6月9日——大原麗子の変身
——立木義浩さん撮影の「変身」。なかなか新鮮な大原麗子ですね。
hf そうです。こんどNumeroで立木さんに撮影してもらうんですよ。
——すてき。立木さん、お元気な大先輩。
6月13日——SAYONARAホックニー
——ホックニーさんは、残念でしたね……「sayonara」。
hf それはナショナルポートレートギャラリーの帰りです。
——2枚目の女性はジュディ・デンチ。かっこいいな。
hf チャールズ・ダーウィン、ジュディ・デンチ、リリー・アレン。
——そこにホックニーさん。
hf ちょうど亡くなった次の日かな。
——ホックニーは好きですか。
hf うん、好きです、あのフラットな感じが。
6月15日——ルーブルの隣りの名所
hf パリにて。
——気になったんです、このネズミのインスタレーション。こちらはどこの美術館?
hf 「ピノー・コレクション」。
——(調べる)世界有数のアートコレクター、フランソワ・ピノー氏の膨大なプライベートコレクション……。こちらのジグマー・ポルケも。
hf これもそうです。ピノーさんって、グッチも傘下にあるケリングの名誉会長です。この建物もめちゃでかくて、すごくいい。安藤忠雄がリニューアルを手がけてます。ルーブルの隣りぐらいにありますよ。
6月15日——私はワイルドじゃありません
——そして麗しい苺のデザート。
hf この苺、ワイルドじゃなかったんですけどね。海外のワイルドストロベリーっていう、ちっちゃい苺がめちゃおいしいんですけど。あまり出回らないみたいです。
6月16日——現代アートの重要な転換点(と、ごはん旅行)
——グッゲンハイム・ビルバオも行ったんですね。
hf ジェフクーンズ。パピーの一番大きいやつ。グッゲンハイムの前にあります。
——この背中、パピーなんですね! もはやパピーじゃない……。藤原さん、ジェフ・クーンズはお好きですか?
hf 特に「大好き」というわけでもないです。
——こちらはジャスパー・ジョーンズ。
hf このジャスパー・ジョーンズがあるとは思わなかった、びっくりした。
——そもそも今回なぜビルバオに?
hf ビルバオに、みんなでごはん食べに行ったんです。僕はパリで合流して、「新ばし星野」の星野さんや「松川」の松川さんとかと。
——「松川」、アメリカ大使公邸のそばの。すっごいごはん旅行ですね!
hf それよりも。このジャスパー・ジョーンズがここにあることがすごいと思いました。
——すみません(笑)、ごはんの話に前のめりに突っ込んで。
hf これは今世紀最大の作品だと僕は思っている、重要な作品。これがなかったら今の現代アートはないと思います。
——そうなんですか?
hf このジャスパーの作品が、スカル・オークションのメインだったんです。1973年、サザビーズで開催されたスカル・オークション。それが初めてのコンテンポラリーアートのオークションでした。それまではアートって、美術館に収められたり、公共機関に寄贈されたり、本当の大金持ちが生涯大切に保存するべきもの、だったのだけれど。スカル夫妻が作家と親交を深めて安く購入した当時の最先端のアートの数々が、初めて競売にかけられた。大々的なプロモーションと共に、投資の対象として。現在のように存命のアーティストの作品がどんどんオークションにかけられるようになったのは、これがきっかけだったんですね。
それに対してジャスパー・ジョーンズやラウシェンバーグ、リヒテンシュタインらがすごく怒って。「作品で勝手に金儲けしやがって」ってことですかね。このターゲットという絵も、まさにそのとき落札されたものです。購入した人がシカゴのミュージアムに寄贈して、ジャスパー・ジョーンズの回顧展で今回ここに来ていたということです。
——だから「旅するジョーンズ」なんですね!
hf これは、だから、現代のアートと資本主義の出会った作品です。それが良かったのかどうかは分かんないけど。
——アートの歴史上、非常にエポックな作品なんですね。
6月17日——チスパ、エチェバリ、ナガネギ
hf ビルバオの「チスパ」というレストランの厨房。
——夢のごはんチームで行ったんですね。
hf はい。「チスパ」って日本人がやっていて。そこともう1店、ビルバオに「エチェバリ」ってレストランもやっています。「エチェバリ」は今、世界2位かな。
——このTEARDROPという食材、気になります、美味しそう! 枝豆みたい。
hf 涙豆です。めちゃおいしかった。「チスパ」は広大な畑を持っていて、そこで採れる野菜を使っているんです。シェフは前田哲郎さん、もともと「エチェバリ」で働いていてこちらに移ったんです。
——涙豆の料理は、スープみたいな感じなんですか。
hf その下に、卵のフランみたいなのがあった気がする。
——めちゃおいしそう。
hf 涙豆、日本にないんですよね。
——ビルバオで、ネギの収穫。
hf この日の夜に、星野さんとかなっちゃん(庄司夏子氏)とか、みんなでごはんを作ってくれることになって、ネギがなかったから「チスパ」の畑でもらいました。
——なんと。ごはん会って、料理人のみなさんが作ってくれるという趣向だった……すっごい遊び!
hf 「チスパ」のガーデンでお茶していたら、トカゲがいた。
hf この人がシェフの前田さん。
6月18日——世界で2位をキープする難しさ
hf 「エチェバリ」です。
——イカですか?
hf スミイカの子どもかな。めちゃめちゃおいしかったです。「エチェバリ」はストレートにおいしくて、「チスパ」はエチェバリのしないことをする、すごく変えてくる。それはそれですごくおもしろい。「エチェバリ」はたしか今、世界で2位なんですが。『世界のベストレストラン50』って、1位になったら殿堂入りになって抜けなきゃいけない、だから1位になると結果的に忘れられちゃう。チャートにないから。
——そっか〜。
hf それ以前は1位にNOMAが5回なったり、オステリア・フランチェスカーナが3回なったりしたんだけど、その後、抜けてしまって。結局2位をキープするのが一番いいって思うんです。今、エチェバリは2位をキープしてるんですよ。
——いい位置。そして難しい努力ですね。
6月19日——天国に近いごはん会
——夢の饗宴ですね……。お料理会の人たちって、横につながってるんですね。
hf つながってる人はつながってますね。
——だし巻き卵やら、和食の夜。
hf はい。あとバーベキュー。前田さんもごはん作ってくれました。
——夢だ〜!
6月20日——トムさんのアトリエ
hf トムのアトリエ。
——釣り革がある〜。
hf 泊まってるホテルの近くなんで、いつも、居たら寄ります。
——この時着ているのが、あのギャルソンの麻のシャツですね。着心地よさそう。
6月21日——寄り道リヒター
——リヒター先生の展覧会ですね。
hf はい。めちゃめちゃ良かった。たまたまやっていたのですが。
——あれ、ニューヨークはお仕事で?
hf 遊びで。ラウンドチケットで、ビルバオの帰りに寄りました。
6月21日——80年代N.Yのレストラン史
hf これ、すごい面白い本です。80年代のニューヨークのレストランのフライヤー史。
——これは面白そう!パンクの人が……
hf 和食、食べてますね。ブックマークで見つけました。
——マーク・ジェイコブスが手がける書店。日本のブックマークは、もうないけれど。ニューヨークにはあるんですね。
6月22日——未解決事件と新しい店
hf これ「CONTRASTO(コントラスト)」って新しいお店。映像ディレクターの上出遼平くんがN.Y.のブルックリンではじめたお店。
——BAD PHARMACYの上出さん。未解決事件の方ですよね?
hf そう、未解決事件を再調査するPodcastやってる。
——新しいお店ではどうでしたか。
hf すごく良かったです。アウトドアのアイテムとか、コーヒーとか。彼が趣味で山登りをするので、関連したグッズと洋服のお店。
6月26日——雑誌のあるべき姿
——『ポパイ』。
hf 圧巻でした。がんばってました。雑誌たるもの、こうあるべきだと思いました。ホール・アース・カタログのような企画の、50thアニバーサリー号。
——そうか、『ポパイ』は50周年なんですね。何がすごかったですか?
hf 文字数も、記事数も。これ作るの大変だったろうなと思いましたね。
——「雑誌が最高のエンタメ」というコメント、最高の褒め言葉じゃないでしょうか。藤原さんにそう言ってもらえたらとてもうれしいのでは。
6月27日——新しいものは試してみる
hf NOMAの調味料です。
——あ、これがNOMAで売っている調味料なんですね。マッシュルームガラム。パンプキンシードプラリネ。おいしかった?
hf 好き好きでしょうね。僕はトライ・ニューシングなんで、基本的に。
6月28日——ポツンと、ひとカヌレ
——フィオレンティーナのカヌレ?
hf 大きいお皿にポツンとカヌレが……なんかきれいだなと。
——たしかに。プレゼンテーションがおもしろい。
藤原ヒロシ|Hiroshi Fujiwara
1964年三重県生まれ。DJ、音楽プロデューサー、ファッションクリエイター。fragment design名義でファッションをはじめさまざまなジャンルのクリエイティブ・ディレクションを行い、ストリートカルチャーに多大な影響を与えている。






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