We all love "Omurice"!

和風、洋風、ホワイトソース。今日はどのオムライス?

洋食メニューの人気上位を常に独占するオムライス。羽釜で炊いたご飯を使ったオムライス、昔ながらの鉄板ケチャップオムライス、ホワイトソースがけオムライス——。各店各様、独自の趣向を凝らした品々をご紹介します。

EDIT & TEXT BY TM EVOLUTION.INC

❶ 六本木洋食 おはし —— 米にこだわるオムライスは、優しい味付けにほっこり

「おはしの絶品オムライス」¥1,100 。吟味された赤卵を用いて、自家製のトマトソースを添えた、ほかの店のオムライスとはひと味違う、あっさりと食べられる一品。付け合わせの野菜もたっぷりでヘルシーバランスも抜群。

こちらのオムライスは、なんといってもチキンライスのお米へのこだわり。お米自体の美味しさや食感を味わうため、あえて鶏肉、玉ねぎ、マッシュルームなどの具材は控えめな印象。そのため一見ぎっしり詰まったように見えるが食べるとふんわりとしていて驚く。

厳選されたブランド米を羽釜で炊いた、炊きたてご飯をオムライスにも使用していることが自慢。ちなみにこの日は熊本産の「森の熊さん」というお米を使用。お米にこだわる日本人にぴったりなオムライスに舌鼓。

ステンドグラスがあるクラシカルな店内は、ひとりでも気軽に入りやすい雰囲気。通し営業なので、ランチ時間を逃した忙しいビジネスパーソン、休日には早めの時間からお酒と洋食を楽しむお客様まで、ゆったりとしたひと時を過ごす様子が見受けられる。

「日本で独自に発展した西洋料理として広く親しまれてきた“洋食”」がコンセプトの『六本木洋食 おはし』。隣接する和食店『小割烹おはし 六本木』と共に“ごはん”が美味しい店としてビジネスパーソンはもちろん、この界隈に住むファミリー層にも人気が高い。和食の『おはし』は都内に何店舗かあるが、洋食の『おはし』があるのは六本木ヒルズ内のここだけ。“日本の食卓をイメージさせるごちそう”がテーマなせいか、洋食にも関わらずフォークやナイフを使わず、お箸を使って食べるお客様も多いとか。
 
こちらの「絶品オムライス」の特色はなんといっても「羽釜で炊くふっくらご飯」をチキンライスに使っていること。卵にこだわるオムライスを提供する洋食屋は数多あるが、米にこだわるオムライスはなかなかお目にかかれない。東北の米を中心に、全国のブランド米を月ごとに替えて使用するので、毎月違うコメを使ったオムライスを食べ比べにくる食通のお客様もいるそうだ。

ご飯を包む玉子は、オムライスに適した赤卵を使った懐かしい感じの薄焼き系。けれど、食べると驚くほどふっくらとしていてバターが効いている。トマトソースも自家製で、トマトの風味が豊か。市販のケチャップなどに比べあっさりとしているので食べ飽きることがなく『おはし』を運営している会社内でもこのオムライスのファンが多いそうだ。しつこさがなくすっきりと食べられるため、メニューには「デミグラスハンバーグとオムライス」、「大海老フライとオムライス」などオムライスともう一品という2種類を取り合わせたコンボも何パターンかある。色々食べたい大人から子どもまで喜ばれているそうだ。ちなみにコンボにするとしても\1,500前後で食べられるという、嬉しい価格も人気の秘密だ。

六本木洋食 おはし|Roppongi Youshoku Ohashi
住所=東京都港区六本木6-4-1 六本木ヒルズ メトロハット/ハリウッドプラザ B2F 電話=03-6721-1848 営業時間=11:00~23:00(フードL.O.22:00、ドリンクL.O.22:30) 定休日=無休 ※各種クレジットカード、IC決済、QRコード決済利用可 
 
TEXT BY AKIRA TANAKA
PHOTO BY FUMIAKI ISHIWATA(NDPP.)

❷ 麻布笄軒 広尾本店 —— ノスタルジックな中に、新味を添えた正統派オムライス

『ミシュランガイド東京2017ビブグルマン』にも選ばれた『笄軒』の「オムライス」¥1,540円。懐かしい昔ながらのオムライスをイメージしながらも、ふわふわ、とろりとした柔らかい玉子の食感と濃厚なバターの風味が格別。煮詰めて甘みを引き出したトマトソースも美味しさのアクセントに。

青森産の卵に合わせて、チキンライスのお米も青森産を使用。お米10に対して玉ねぎ、ピーマン、宮崎産の鶏肉を各3の割合で。さらに食感の良さを高めるため、しめじを加えている。食べ飽きず完食できるように、お米の量、そのほかの具材の割合、卵に塩やコショウをあえて入れないなど、多くの工夫がこの一品に詰まっている。

来店客がかなりの割合でオーダーする知る人ぞ知る名品「笄軒のバスクチーズケーキ」¥650(1ピース)。アラカルトで前菜から頼み、デザートとしてコース仕立てにするお客様も。テイクアウト(1ピースから)や、お取り寄せ(ホールのみ)も可能。

閑静な広尾の一画に佇む『笄軒』。少し珍しい笄(こうがい)という店名は、港区麻布のこの一帯を昔、笄町といったことに由来しているそう。店内に入ると、赤い看板が目印のひっそりとした外観からは想像がつかないような、さながら日本の洋館といったラグジュアリーな設え。「オープンしてから8年目なのに、もはや老舗のような風格」「大人の隠れ家的な洋食屋」という声が多いのも頷ける。

メニューは、海老フライ、目玉焼きがのったジューシーなハンバーグなどを盛り合わせた、ごちそう洋食の代表格「洋食プレート」をはじめ、贅沢な洋食が盛りだくさん。卵料理にも定評があり『ミシュランガイド東京2017ビブグルマン』にも選ばれた「とろとろ玉子のオムハヤシ」や、ナポリタンにオムレツをのせた「オムリターノ」など、どれをオーダーしようか迷ってしまう。

さて卵料理の王道「オムライス」に目を向けてみよう。卵は青森産。お米も青森産を使い、産地を統一することでより滋味深さを堪能することができる。チキンライスには鶏肉、サイコロに切った玉ねぎ、ピーマンをたっぷり。さらにしめじを入れることで、食感の良さを工夫している。炒めることで甘みの出たケチャップが絡まったチキンライスを包む卵自体には、牛乳とコクの出るバターのみで塩、コショウはしない。これはしっかりした味のチキンライスまで行き着くための、食べ疲れない工夫だそうだ。総じて昔ながらのオムライスをベースに今風のトロトロ、しっとり系を加えた、年齢の幅を問わず美味しく食せるオムライスと言えよう。最後は、スイーツマニアに人気の、知る人ぞ知るバスクチーズケーキで食事を締めるお客様も多いそうだ。

麻布笄軒 広尾本店|AZABU KOUGAIKEN
住所=東京都港区西麻布4-6-5 1F 電話=050-5486-9130 営業時間=11:30~15:00(L.O.14:30)/17:00~22:00(L.O.21:00) 定休日=不定休 ※各種クレジットカード利用可
 
TEXT BY AKIRA TANAKA
PHOTO BY DAISAKU NISHIMIYA (NDPP.)

❸ 麻布食堂 —— シンプルで王道、オムライスを作って30年。職人技のオムライス

「オムライス(ホワイトソース)」昼¥1,000、大盛り¥1,300。夜¥1,320、大盛り¥1,540。トッピングのパセリとパプリカが彩りと風味のアクセントになっている。

牛乳、小麦粉、バター、塩胡椒等で作るシンプルなホワイトソース。炒めた玉ねぎを加えた後煮込み、漉す事でなめらかな仕上がりとなっている。

玉ねぎ、ピーマン、チキンをバターで炒め白米を加え炒めたケチャップライス。隠し味にトンカツソースを加える事で味が決まる。断面からもしっとりと柔らかなのが伝わってくる。

西麻布の牛坂を登った閑静な住宅街にある『麻布食堂』。この地に店を構えて30年のオーナー・原田典明シェフが切り盛りする同店は、“食堂”という店名のイメージとは少し違った、落ち着いた雰囲気の洋食レストランである。開店当初は、お客様の8割がオーダーしていたと言うオムライスは、現在ケチャップソース、ホワイトソースの2種類を提供している。

今回取材した“ホワイトソースのオムライス”は、珍しい一品。開発の理由を店主に訊ねると、「ただ、美味しいかな? と思って試してみたんです」と言う、シンプルな答えが。果たして、ケチャップライスにホワイトソースという組み合わせ、作ってみると、意外にも店主の想像を超えて美味しかったのだそう。ふわふわの玉子とも絶妙にマッチし、優しいまろやかな口当たりになっている。

一方、王道であるケチャップソースのオムライスは至ってシンプル。カゴメの特級業務用ケチャップを温めずにそのままかけるのだそう。このケチャップは酸味が少なくまろやかでコクもあり、なるほど、オムライスをはじめ洋食全般との相性が良いのも納得。潔いまでのシンプルなオムライスだが、全てが究極のバランスで作られており、何度食べても飽きがこない味わいだ。

チキンライスは、時間をかけると粘ってしまうので、固まらないよう気をつけながら時間をかけずに炒めるのがポイント。卵液は卵のみを漉して使用しており、レードル一杯分(卵約3個分)を使用する。卵液を入れてかき混ぜ繊維を壊したら、固めて、持ち上げて丸めるだけ……と、またシンプルな様でありながら、これがまさに職人技! 卵液をかき混ぜてから固める事で綺麗な艶を生み出している。全ての工程に無駄がなくシンプル、肩の力が抜けたようでありながら、真摯に料理と向き合い続ける店主の姿勢を感じるオムライスである。

ほぼ単品提供の料理はあまりのコスパに感動! “食堂”の精神を残した素敵な洋食レストランであり、また訪れたくなる店である。こんなお店が家の近くにあったら食堂のように通ってしまいそう! 地元の方に愛され続けているのも頷ける名店である。

麻布食堂|アザブショクドウ
住所=東京都港区西麻布4-18-1 麻布ウエストB1F 電話=03-3409-4767 営業時間=11:30〜L.O.14:00/17:30〜21:00(L.O.20:00) 定休日=日曜・月曜・祝日(ほか不定休あり。店舗に確認下さい) ※昼は現金のみ。夜は各種クレジットカード利用可 ※予約は夜のみ可
 
TEXT BY MIYAKO SHIBUSAWA
PHOTO BY DAISAKU NISHIMIYA (NDPP.)

※2022年9月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。
※店舗により臨時休業や営業時間を変更させていただく場合がございます。詳細は「六本木ヒルズの営業状況について」をご確認ください。