Instant Flow #1

藤原ヒロシの新連載スタート! ①「山荘シンドローム」から「京都の中華」まで2017年の振り返り

DJ、音楽プロデューサー、ファッションクリエイターとして活躍する藤原ヒロシが、日々体験する出来事を共有するInstagram。世界の最新トレンドから注目のアイテムやメニューまで、話題満載の画像をめぐって本人が自ら解説やコメントを加えていく新連載。第1回では2017年を振り返り、昨年ポストされた画像をめぐって話を聞いた。

INSTAGRAM & talk BY HIROSHI FUJIWARA
TEXT BY hillslife.jp

2017年1月2日——おせち料理

2017年のはじまりは、大門にある「くろぎ」のおせち料理から。

1月31日——山荘シンドローム

泊まりでスノボーに行くときは、たいてい青森の「八甲田山荘」に宿泊する。山荘シンドロームではないけれど、結局、雪山には雪山好きしかいないから、職業や年齢に関係なく、お金持ちのおじいさんから学生までみんなで話していても一体感があってすごくたのしい。映画『シャイニング』みたいに、夜の6時か7時には山荘に上がってくる道が閉ざされる。その孤立感がまたさらに一体感を深めてくれるんだよね。

3月7日——エッグ&ソルジャーズ

パリの「カフェ ド フロール(Cafe de Flore)」の「エッグ&ソルジャーズ」。半熟のゆで卵の頭を割って塩を少しふり、バターを塗ったバゲットを卵につけて食べる。細長く切ったトーストをイギリスでは「衛兵(ソルジャー)」と呼ぶそうで、昔ロンドンで教えてもらって以来、気に入っている食べ方。

3月28日——オオサンショウウオ

ルイ・ヴィトンでイベントをやったときにつくってもらったぬいぐるみ。小学校の七夕のときに「オオサンショウウオが飼いたい」って短冊に書いたぐらい大好き。姿かたちもそうだけど、なんといってもあの手の可愛らしさがね。

3月28日——ジュースペアリング

原宿にあるレストラン「フロリレージュ(Florilege)」の「ジュースペアリング」。料理にワインを合わせるワインペアリングはよくあるけれど、最近ではジュースペアリングやティーペアリングをやっている店も結構あって、ここのジュースペアリングは世界でいちばんおいしい。写真は、モネの「睡蓮」に着想を得たグリーンティーベースのジュース。ゲンゴロウが泳いでいそうだけど(笑)、ミント系の甘いジュースといった感じ。コース料理を頼むと5品ぐらいが出てきて、それにあわせてジュースも5〜6種類ペアリングしてくれる。フロリレージュに行ったらぜひ試してみてください。

4月5日——フラットな世界

いまの食の世界のあり方は90年代のストリートファッションにそっくりだ。80年代までのデザイナーはみんなパリに憧れて、そのヒエラルキーの中で追いつこう、追い抜こうとひとりで闘った。横のつながりなんて考えられず、ヨージ・ヤマモトとコム・デ・ギャルソンのコラボなんて想像もできなかった。それに対して90年代に生まれたストリートファッションでは、世界中の同世代たちがフラットなネットワークの中でともに活動をはじめた。5年ほど前から食の世界でも、有名シェフたちがコラボしあい、若いシェフたちが横のつながりを活用しながら世界中でポップアップ的な活動を展開している。そのフラット感は、90年代のストリートファッションのあり方とすごく似ているように見える。写真は「Asia’s 50 Best Restaurants」で3年連続1位を獲得したバンコクの「ガガン(Gaggan)」のシェフ、ガガン・アナンド(左)と、メルボルンの「アティカ(Attica)」のシェフ、ベン・シュウリー(右)。

4月28日——京都の中華

大学の講義があるので月に2回京都に通っているけれど、京都の中華は独特で、定食的なものからガストロノミー的なものまでとにかくおいしい。その中でもいちばん好きなのがここ「齋華」。

5月26日——英会話

海外にいちばん長く滞在した期間は3カ月。外国に住んだことのないぼくが英語をきちんとしゃべれるようになるまでにはずいぶん時間がかかったけれど、英語でのコミュニケーションに自信を持ったのは20歳のころ。東京に出てきた当時はまわりに外国人モデルがいっぱいいて、片言で話してみたら案外通じたのが最初。でもその後、10代の終わりに初めてロンドンに行ったときには聞けず、話せずで打ちのめされた。それでも2カ月ほどで馴れてきて。日本に戻ってまた外人モデルと3人でシェアして暮らしているうちに不自由なく会話できるようになった。その経験から言えるのは、英会話は完全に馴れだということ。

6月20日——最後のアナログ文化

大塚にある「ぼんご」というおにぎり専門店。めちゃくちゃおいしいおにぎりです。と、そんな話をしていると、都心からおにぎりだけのために大塚まで行くの?と驚かれるのだけれど、今や食は唯一残されたアナログ文化だと思う。昔だったらレコード屋があるから吉祥寺に行ったり、あのブランドのあのアイテムを手に入れるためにパリに行ったけど、ほとんどのものがネットで買えるようになったいま、そもそも出向く理由がなくなった。その意味で食は、わざわざその場所にまで足を運ぶ気にさせる唯一残された文化だと思う。

7月2日——伊勢神宮の「朔日参り」

伊勢神宮を参拝するなら絶対に月初の1日(朔日)がおすすめ。31日の夜に東京を出て、1日の朝4時ぐらいに着くと真っ暗な中、伊勢神宮のまわりだけふわ〜っと明るくなっているのに気づくだろう。すべてのお店が開いていて、すでに千人ぐらいの人がいて、赤福に「朔日餅(ついたちもち)」を買い求める長蛇の列ができているのを見てびっくりするはずだ。4時すぎには伊勢神宮が開くので暗闇の中を参拝して、帰ってくる頃にようやく日が昇る。その光の中で、この日にしか食べられない朝粥でお腹を満たす。ふつうの日に行くよりも10倍はたのしい「朔日参り」。くれぐれも伊勢参りは1日に!

7月4日——やっぱりナイススティック

コンビニで売っている、中に練乳バターみたいな甘いクリームが入った菓子パン。子どもの頃から食べています。昨今はすっかり他の商品に押されているみたいだけれど、やっぱり「ナイススティック」が僕のスタンダードだ。

7月11日——天使って大人になったら何になるの?

天使が大人になったら何になるのか不思議だったのだけれど、調べてみたら天使は成長しないのだとか。そんな天使論議をしていたら銀座四丁目の天賞堂銀座本店の角に天使がいますよと教えられた。ご覧の通り、晴海通りからのぞいて矢を射ようとしているところ。成長しないのはわかったけれど、そしたらどうやって生まれたんだろう?

7月12日——居抜感、最高

川口(埼玉)にある「鮨 猪股 」。居抜きで借りて、キッチンだけ新しくしてそのまま使っている感じがとてもいい。居抜きで借りるとたいてい内装に手を入れて失敗するパターンなのに、ここは居抜きのまますごくうまく使っている稀有な例。インテリアにお金をかけず、とにかくいいネタの寿司を安く出す、そのために川口にいるという最高な鮨屋。東京で同じ値段なら、まちがいなく味は猪股の方が上。すでに予約が取りづらくなっているけれど、でもまずここで言っておきたいのは「居抜感、最高!」。

7月18日——台所を抜けて広がるパラダイス

名古屋の「蓬莱」(ひつまぶしで有名な「あつた蓬莱軒」とは別のお店)。元祖うなぎ釜飯を食べたんだけどめちゃおいしかった。思うに、入り口からキッチンを抜けて奥へと入っていく店には名店が多い。中華料理屋でもなんでもそのレイアウトの店にはまずハズレがない。

7月18日——東京の中華

広尾の「茶禅華」は何を食べてもおいしい。六本木の「日本料理 龍吟」のスーシェフがはじめた中華で、いまぼくがいちばん好きな中華料理。

7月19日——いちばん好きなフルーツ

お中元でもらった千疋屋のみかんがあまりにおいしかったので思わず撮影。りんごの皮すら剥くことがない自分にとって、世の中でいちばん好きなフルーツはみかんとバナナで決まり。

7月26日——世界一おいしいイタリアン

ミラノにある「ラッテリア(La Latteria)」という食堂は世界一おいしいイタリアンだと思う。おばちゃんが切り盛りしている小汚い店なんだけど、ミラノの誰に聞いても知っていて、口をそろえて「あそこがいちばんおいしい!」って言っていた。ここの「レモンパスタ」は、いままで食べたパスタの中でもいちばんの味でした。

7月28日——魚拓

同じくミラノにある「Tokuyoshi」は、「オステリア・フランチェスカーナ」というモデナにある、去年世界一だったレストランの日本人スーシェフが独立してつくったお店。すごくおいしかったです。そこのシグネチャーレシピのひとつがこれで、魚の頭が魚拓のようにイカスミで描かれている。

7月28日——クロワッサンの食べかた

クロワッサンとミルフィーユはどうしてあんなにきれいにつくられているのに、美しく食べることができないんだろう? どんなに美しい人でも汚くしか食べられない。ね? だから「ひとくちクロワッサン」ってけっこうよく考えられているなと思う。もしクロワッサンの美しい食べ方を知っている人がいたらぜひこちらまでご一報ください。

profile

藤原ヒロシ|Hiroshi Fujiwara
1964年三重県生まれ。DJ、音楽プロデューサー、ファッションクリエイター。英米で触れたクラブ文化を80年代の日本に持ち込むなど、音楽とファッションの両軸で日本のストリートカルチャーを牽引。現在、デジタルメディア「Ring of Colour」を運営する。京都精華大学ポピュラーカルチャー学部客員教授。

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