INSTANT FLOW

そして僕は途方に暮れた——藤原ヒロシの連載「INSTANT FLOW」#58

ローマ、ミラノ、京都、カザフスタン、またローマ、シアトル、パリ、そしてどこだか名前も知らない町まで。ジェットセッター魂全開の縦横無尽な軌跡を辿りながらHIROSHI FUJIWARA(hf)の日々をしみじみ眺める当連載。第58回は、2023年4月〜7月にアップされた画像からおとどけします。

INSTAGRAM & TALK BY HIROSHI FUJIWARA
TEXT BY MIKA KUNII

4月13日——独特のおもてなし

——ローマでは、こちらがスタンダードなサーブの仕方なんですか(笑)?
hf いや、わかんないですけど。プリンがこうやって出てきて、ローマ時代の処刑かなあ……と思いながら。
——3人だったからフォークが3本。黒ヒゲ危機一髪的眺め。大きいプリンなんですかね。
hf 普通サイズです。硬さがよく分かりますよね。
——いい硬さでした?
hf いいかどうか……。もしかしたら「お前ら早く帰れ」という合図だったかもしれない(笑)

4月20日——ミラノのあなた

——すてきなマダム。
hf ミラノの「ラ・ラッテリア」の、マリアさん。
——あの、世界一のレモンパスタのお店。なかよしなんですね。
hf わりと。ミラノにいたら毎日のように通うお店ですから。マリアさん、絶対に英語は話してくれなくて。僕はイタリア語、全然わからないんですけど。
——でも、なにか通じ合っている。

4月21日——赤いといえば、○○○

——豊川稲荷かと思いました。
hf イタリアの豊川稲荷(笑)。ホテルの前の道でしたが。サローネの時期だったからか、町中にアートっぽいものが。
——なるほど、こういうインスタレーションが町の其処此処に。でもなぜに赤いキツネ?
hf ……いや、イヌかな? オオカミかな? キツネじゃなさそうですね。
——赤いといえば反射的にキツネだと思っちゃう日本人。

4月21日——濃ゆくて、ねっとり

——ステーキみたいなスイーツ。チョコレートですか?
hf いや、豆みたいな……。
——なにやらトラディショナルな佇まい。
hf ちょっとねっとりした、ムースとケーキの間の食感。
——濃ゆくておいしそう。

4月21日——ベッカムの基礎知識

——ところで、サローネへは何のお仕事で?
hf マセラッティのコンセプトの発表です。ベッカムと一緒に……
——あ、ベッカム!


——ベッカムは何の役割で?
hf ベッカムは、マセラッティのアンバサダー。
——今は引退して、どうしているんでしたっけ。
hf マイアミだかどこかでチームを持っているそうです。行ったり来たりしてるって言っていました。僕はサッカーをよく知らないし、ベッカムがどんなにすごいかもあまりわかってないですけど。
——ベッカムは、地球上にベッカムヘアを流行らせました。

4月22日——そして僕は途方に暮れた

——なぜ、ここに泊まることに?
hf 長くなるからなるべく簡潔に話しますが……。ミラノで飛行機のストがあって遅れて、フランクフルトに着いた時には乗り継ぎ便が飛んじゃっていたんです。大体そういうときって待ってくれるだろうって余裕でいたら、まさかの乗り遅れ。その時点で夜の10時、空港には誰もいなくて、店やカウンターも閉まっていて。日本は深夜なので電話もつながらないしどうしよう。ってなって。
——かなり不安。
hf それで空港の掃除をしている人に「乗り遅れた場合どうするの?」って聞いたら、サービスカウンターに行けと言われたんです。フランクフルト空港って大きいんだけど、メインのターミナルまで移動して。スタッフがいたので乗り遅れたと言ったら、「バウチャー・カウンターに行ったか?」と。恐らくヨーロッパではこういうことが日常茶飯事なのでホテル・バウチャー専用のカウンターがあるんですね。で、そこに行ったら何人か人がいて。僕らもタクシー券つきホテル・バウチャーのチケットをもらったんです。そしてタクシーの運転手に連れて行かれたホテルがこちらです。このmiddle of nowhere(辺鄙な場所)に2泊しました。町の名前もわからない、フランクフルトから車で30分ぐらいのところに。
——電波少年っぽい……
hf ユースホステルみたいな。老人ホームみたいな。そんなホテル。
——簡素なベッドがあって。
hf そうそう。でもWi-Fiが完備されてたんで、問題なくNetflix三昧。あとは下着買いに行ったり……荷物もなかったんです、乗り継ぎ便に積んでしまったので。
——そうか。なかなか拉致感がありますね。
hf 久しぶりに途方に暮れました。自分で言うのも何だけど、旅慣れている自分でも、今回はけっこう困ったんで。旅慣れない人が巻き込まれたらどうなんだろうな、と思います。
——きちんとパニックになりますね。ちなみにそれが2泊になっちゃったのは?
hf それは、次の日の振り替え便がなくて……(以下、紆余曲折がつづく)。
——なるほど……めっちゃ紆余曲折。藤原さんと同行の方、英語が堪能なおふ%