デンマークでは誰もが知るブランド〈アイラーセン〉のソファを〈アクタス〉は1994年から日本で独占販売している。社内スタッフの愛用率ナンバーワン、自信を持ってお客様に薦めるソファの秘密とは? そこには〈アクタス〉のサステナブル思考に合致する魅力がありました。
TEXT BY MARI MATSUBARA
PHOTO @ACTUS
〈アイラーセン〉というソファブランドをご存じだろうか? デンマーク・オーデンセで馬車造りからスタートし、20世紀に入ってからはバスのシートと車体の製造、そして1969年以降ソファ製作を始めたというユニークな社歴を持ち、今年で創業128年を迎える。ソファに対してとりわけ思い入れの深い国民性のデンマーク人に広く知られているブランドだ。実はこの〈アイラーセン〉、〈アクタス〉の社員が実際に自宅で使っているソファの中でナンバーワンの人気を誇る。なぜそれほど評判がいいのか、その理由を探ってみた。
理由❶——構造の堅牢さ
結論から言えば、〈アイラーセン〉のソファには“古くなったので捨てる”という選択肢がほぼ、ない。なぜなら、ちょっとやそっとでは壊れないから。その構造の秘密を〈アクタス〉アートディレクターの赤星進さんに聞いた。
「他のブランドのソファとの決定的な違いは、まず内部構造です。一般的なソファの内部フレームは安価な木材が使われることが多いのですが、〈アイラーセン〉のソファに使われているのはスウェーデン産の無垢のパイン材です。丈夫な上に柔軟性があり、座る人の体重をしなやかに受けとめます。そして最大の特徴はフレームとフレームをつなぎとめるのに木ダボを使っていることです。通常のソファはガンタッカーという大きなホチキスのような工具で留めつけるのですが、〈アイラーセン〉ではフレームにひとつひとつダボ穴を開け、そこに接着剤を塗布した木ダボを挿し込んで接合します。こうすると木ダボは穴の中で膨らみ、フレーム同士をがっちりとつなぎ合わせます。どんな方向から力がかかっても接合部が外れることはありません」
荷重がそれほど掛からないボードとフレームの接合にはガンタッカーが使われているが、座る人の体重を支える肝心のフレームに関しては木ダボで接合している。見えない部分にまでそんな手間のかかることをするソファブランドはおそらく〈アイラーセン〉だけではないかと赤星さんは言う。
「分厚い無垢材で構成されたフレームは非常に堅牢です。〈アイラーセン〉のソファは片側の前脚を持ち上げると、反対側の前脚も同じように持ち上がります。多くの一般的なソファだと反対側の脚は床に着いたまま。なぜならフレームがねじれを起こしているからです。〈アイラーセン〉のソファはフレームがねじれたりゆがんだりしないので、度重なる引越しの搬出入にも耐える屈強さを持っています。歪まないから軋まない、壊れない。だからずっと長く使い続けていけるのです」
理由❷——クッションのホールド感と調湿性
いつまでもそこに居続けたくなる圧倒的な座り心地の良さは、馬車造りから始まりのちにバスのシートと車体を製造していた歴史を持つ〈アイラーセン〉だからこそ。長年の研究によって究極の快適性にたどりついたという。
「一般的なソファは、座面や背もたれのウレタンを一つの塊として切り出すのですが、〈アイラーセン〉の場合、硬めのウレタンフォームを芯にして、柔らかなウレタンフォームで両側から挟む三層構造になっています。こうすることで、肌に触れる柔らかさを保ちながら、荷重をしっかりと支えます。また、背もたれや座面のクッションには贅沢に大量のダウンとフェザーを入れています。座った途端、目をつむりたくなるような心地いい柔らかさです。それだけではなく、ダウンとフェザーには調湿効果があり、座る人の体の熱や湿気を吸収し放出してくれるという利点もあります。ウレタンだけでは長期使用には向いていないのですが、ダウンとフェザーが入ることで復元性が保たれます」
理由❸——自由に交換できるカバー
〈アイラーセン〉のソファには20シリーズ・125種類の張り地が用意されており、様々な質感、色柄を自由に選ぶことができる。しかも座面や背もたれはもちろん、全てのカバーを取り外すことができ、ファブリックならドライクリーニングに出せる。
「色柄違いの予備のカバーを用意しておき、季節ごとにクリーニングに出して入れ替えれば、全く違った雰囲気のソファとして楽しめます。縫製に関しても選び抜かれたドイツ製の糸を使っているので、長年の使用やクリーニングに耐えます。また、ファブリックの耐摩耗性を計測する『マーチンデール』という数値があり、数字が大きいほど摩耗に強いのですが、ある程度高額なソファで使われているファブリックでも1万〜5万マーチンデールという値なのに対し、〈アイラーセン〉が選ぶ張地には10万マーチンデールというファブリックもあります」
人気のアイラーセンソファとは?
〈アクタス〉で扱う〈アイラーセン〉のソファの中でも、特に人気のモデルをご紹介しよう。
《STREAMLINE SOFA》〜グローバルで人気No.1、10㎝単位でオーダー可能
《RA SOFA》〜奥行きたっぷりの座面でデイベッドにも
《PLAY GROUND SOFA》〜組み合わせ・レイアウト自由自在
《ATON SOFA》〜王道ソファへの回帰
長く付き合える家具を。——〈アクタス〉の願いと「トレードインサービス」
フレームの強度、クッションの耐久性、カバー交換の自由度に支えられた〈アイラーセン〉のソファは、長い年月の使用に耐える堅牢性を備えている。逆に言えば「捨てる必要がない」ほど頑丈で、手に入れた人の一生に寄り添う相棒であり、さらには子や孫の世代にまで引き継いでいける飽きのこないデザインと高いクオリティを宿している。このことは、「良質な家具と長く付き合うこと」を提唱する〈アクタス〉の企業理念にも完全に合致している。だからこそ1994年から日本での独占販売を続け、このブランドが長年にわたり培ってきたクラフトマンシップを日本のユーザーに広める役割を果たしてきた。
一方で、家具を買い換えたいというお客様には、手放す家具を廃棄してしまうのではなく〈アクタス〉が下取りをして必要なメンテナンスやクリーニングをほどこし、次のユーザーへと受け継いでいく「トレードインサービス」を提供している。この保証サービスの対象に〈アイラーセン〉も含まれている。誰かが愛用した大切なソファが別の誰かに引き渡され、その価値が引き継がれていく。適切な手入れをすれば、人の寿命よりも長く存在し続けるロングライフなソファ。そのバトンをつなぐためのサポートを行うことで、サステナブルで豊かな社会を目指している。
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