TASTY & HEALTHY CHINESE

身体が喜ぶ! 進化するチャイニーズのニューワールド

日本のみならず、ポピュラーな中国料理。そんな中でも東京のチャイニーズは、世界中から高い評価を集めるレベルにあります。ここでは、そんな独自の路線で進化を続け、健康にも配慮した、モダンでお勧め出来る中国料理店3軒をご紹介します。

TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
EDIT BY TM EVOLUTION.INC

❶ 隠れ家のような異空間で、現代中華をスタイリッシュに!
——modern chinese VERT(モダン チャイニーズ ヴェール)

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1/8おまかせコースの「モダン八寸」。ひと口でいただける美しい盛り付けは、まるで日本料理。コースはこの後、点心へ。さらにメイン、締めのご飯へと続く。
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2/8アラカルトメニューの「麻婆豆腐 2人分」¥2,000は、辛過ぎず、旨味がことさら際立つ味付け。甜麺醤にお酒、醤油、砂糖、ゴマ油を混ぜ、自家製調味料を作っている。豆板醤は2種類をブレンドすることで、香りも旨味も、マックスに!
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3/8おまかせコースのひと品「特製黒酢の酢豚」。ひと皿でお腹にいっぱいになりがちな酢豚も、このポーションならすんなり。
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4/8コースの締めとして、¥1,000追加で選べる「特製担々麺」。ゴマを煎り、挽いた自家製練り胡麻は、香りが抜群。ラー油も手作り、葱は寝かせることで辛味を抜き、甘みだけを感じさせる手間のかけようだ。
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5/8卵黄、牛乳、生クリーム、砂糖を練り込んだ「黒酢のアイスクリーム」(お茶とセットで¥700)。トッピングは、クルミを蜂蜜入り砂糖水で煮詰め、飴炊きしたもの。甘さと酸味が重なり、口内がさっぱりする。
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6/8ダークグレーを基調にした内装は落ち着いていて、モダンそのもの。六本木という土地らしい、大人っぽさと遊びの感覚を融合させたスタイリッシュな雰囲気。
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7/8“大人の隠れ家”を意識した門構え。窓が無く、外側からは中の様子が窺えないことが、かえってドキドキ感を演出する。
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8/8料理人の坂本 匠さん(左)と、ソムリエの花嶋一平さん(右)。この若きふたりがタッグを組み、フリースタイルで現代中華の進化形を追求している。

『モダン チャイニーズ ヴェール』は、中目黒のモダン焼き鳥『いぐち』の姉妹店としてオープン。『いぐち』は、スペインのピンチョスのように、ひと口サイズでスマートに食べられるスタイルから評判となった店だが、そのスタイルを中華で踏襲する同店では、大皿提供をせず、食べやすさと、少人数でも多品目を食せる満足度にこだわる。

店名の“ヴェール”とは、フランス語で“緑”の意味。中国では幸運を運ぶ石とされる翡翠をイメージして命名、「訪れた人々が料理で幸せになってもらえたら」という気持ちが込められている。また同店の前身は、天才と評された中華料理人・山下昌孝シェフが率いた期間限定店『わさ』。その山下イズムを引き継ぎつつ、リーズナブルな価格設定を実現したのが同店だ。

メニューは、2種類のコースのみ。「おまかせコース」(¥5,980)は、15〜17品目を女性でも食べ切れるように小さなポーションで提供。もうひとつが「火鍋コース」(¥6,980)で、こちらも前菜から点心までは、おまかせコース同様に多彩な料理がラインナップする。そのほか、一部の料理はアラカルトで追加でき、お腹の具合に合わせて量を調節出来るので、しっかり食べたい派も安心だ。

ペアリングはワインを中心に、紹興酒、日本酒、焼酎なども提供。客の好みも聞きつつ、提供銘柄を都度、変えていく。しかも10種類前後のドリンク数で、ペアリング代 ¥5,980と、こちらもかなりのお値打ち価格だ。

PHOTO BY FUMIAKI ISHIWATA (NDPP.)

modern chinese VERT(モダン チャイニーズ ヴェール) 住所 東京都港区六本木6-12-2 六本木ヒルズけやき坂通り3F 電話 03-6447-1877 営業時間 18:00〜23:00(コースL.O.21:00) 定休日 日曜 ※政府による緊急事態宣言を受け、2月7日(日)まで休業予定 ※価格は税別(別途、10%のサービス料が必要) ※各種カード使用可 ※ 六本木ヒルズ等各施設では、新型コロナウイルスの感染拡大防止の予防対策を徹底し営業しております。また一部の店舗では営業時間を短縮しております。ご来店の際には事前に各施設HPをご覧ください。

❷ 洗練された中華料理の極みを、ソムリエが勧めるワインと共に
——MINAMIAOYAMA Essence(南青山 エッセンス)

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1/7¥8,000と ¥1,3000のコースで提供される「小菜の6種盛合せ」の例。手前から時計回りに「皮付き豚バラ肉の焼きもの」「カサゴのフリット。赤紫蘇と塩」「クラゲの頭」「子持ちシャコと水蛸の冷菜」「香港風チャーシュー 甜大豆添え」、そして中央が「押し豆腐と天草大王(熊本の地鶏)の葱生姜ソース」。
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2/7コース料理で提供される「黒文字でマリネした足利マール牛の低温ロースト」。ワインの絞り滓を飼料として育った「マール牛」は、臭みがなく柔らか。黒いソースは、桑の実と黒酢。オレンジ色のソースは、生の唐辛子を漬け込み腐乳と合わせたもの。
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3/7免疫アップのために、是非ともいただきたい「東京都檜原村産烏骨鶏の“補気・補陰・補血・補肺”の免疫力アップ薬膳スープ」。食材は全てトロトロ。烏骨鶏の旨味が出汁となり、和食のお椀のような滋味深さだ。このスープも、コース料理で提供されている。
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4/7店内の設えは、まるでフレンチレストラン。大皿を複数人で取り分けるスタイルではなく、小分けを基本にしているから、気遣いも不要だ。
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5/7有田焼は全て特注品。2007年のオープン当初こそ、マニアックな中華も提供していたが、やがてワインとのペアリングが評判を呼び、青山の美意識に沿うようにして現在のスタイルへと昇華した。
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6/7本格中華料理店にもかかわらず!? 店内にはバーカウンターがあり、アラカルトメニューを肴にして、まるでワインバーのような使い方ができる。
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7/7テラス席は、ソーシャルディスタンシングを守って現在は12席。このスペースは、ペット同伴が可能だ。

広東料理をベースとしたモダン中華料理とワインのペアリングを徹底追求する『エッセンス』。シェフ自ら、上級クラスのソムリエ資格(エクセレンス)を取得し、昨今の伸びやかなワインの風味に沿う、爽やかな中華を突き詰めている。

中華とはいえ、素材選びにも決して手を抜かない姿勢は、農林水産省の顕彰制度「料理マスターズ」を受賞した事実が示す通り、日本各地に秀逸な直接取引先を持つまでに至っている。ワインの繊細さを味付けで消さないためにも化学調味料を一切使用せず、様々な食材から手間をかけて旨味を抽出。油通しの代わりに湯通しするなどして油の使用量を抑え、“中華料理らしからぬ”爽やかな味わい、重すぎない食後感を表現している。

“コラヴァンシステム”により、ワインリストの多くはグラス飲みが可能。フランス産ワインはもちろん、コストパフォーマンスに優れるアメリカ産のボトルも多数用意している。1本につき ¥2,000のチャージでボトルの持ち込みも出来、お気に入りのワインに合わせた料理をリクエストする常連客も多いそう。

PHOTO BY CHISATO NOGUCHI (NDPP.)

MINAMIAOYAMA Essence(南青山 エッセンス) 住所 東京都港区南青山3-8-2 サンブリッジ青山1F 電話 03-6805-3905 営業時間 昼11:30〜15:30L.O./夜18:00〜22:00L.O.(時短営業中は20:00L.O.) 定休日 不定休 ※各種カード使用可

❸ オーナーシェフの創作世界が広がる、軽やかで旨味が凝縮した中華料理
——modern chinese 亮(モダン チャイニーズ リョウ)

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1/6自家製マヨネーズに生雲丹を加えた、特製ソースでいただく「赤海老の雲丹マヨネーズ」¥2,800。カリッと揚げた赤海老を、雲丹の濃厚な旨味で包み込んだ、イタリアンの様な一品。
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2/6「薬膳美肌火鍋」(1人前¥2,500、2人前から注文可)は、滋養強壮、免疫力アップが期待できるメニュー。8つの漢方薬と麻辣(マーラー)、白湯(パイタン)の2種類のスープで、たっぷりの野菜とブランド豚“三元豚ロース”をいただく。
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3/6看板メニュー「蝦夷鮑と黒トリュフの中華風リゾット」(¥2,500)は、玉子チャーハンをオイスターソースベースの餡と絡めて、リゾットのような粘り気を出したもの。仕上げにトリュフオイル、醤油で煮た蝦夷鮑、黒トリュフをトッピングしている。
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4/6店内には個室がふたつ。掘りごたつ式のローテーブルになっていて、靴を脱ぎ、リラックスして食事が出来る。
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5/6オーナーシェフがひとりで切り盛りするスタイルだけに、少人数ならカウンターに座るのがお勧め。カジュアルな雰囲気の中、お勧めの料理やペアリングドリンクを教えてくれるはず。
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6/6染谷 亮オーナーシェフの名前を冠した店名。直球勝負の真摯な姿勢が、店の名称にも表れている。

一流ホテル、中華料理の名店で修業を積んだオーナーシェフが、満を持して2018年にオープンした『modern chinese 亮』。長きに渡って研鑽を積んだその腕と、海外の名シェフの仕事を今なお注視してアップデートを怠らない姿勢が、最先端の中華の形へと繋がっている。

ふたつの個室とカウンターだけの小さなダイニングのような雰囲気だが、六本木の中華料理の名店を食べつけた常連客をも唸らせるその味は確かなもの。中でも、高級食材の鮑、黒トリュフを惜しげもなく使用した看板メニュー「蝦夷鮑と黒トリュフの中華風リゾット」は、締めご飯として必ず注文したい一品だ。

コース料理は ¥5,000から。飲み放題を付けたスタンダードコースも ¥7,000と、お値打ちのプライス設定である。ワインは常時12種類程度を用意。ただし香辛料がきつい料理には、ワインにこだわらず、紹興酒や焼酎をお勧めしているそうだ。

PHOTO BY FUMIAKI ISHIWATA (NDPP.)

modern chinese 亮(モダン チャイニーズ リョウ) 住所 東京都港区六本木3-13-8 斉藤ビル3F 電話 03-3408-0183 営業時間 17:30〜23:00 定休日 日曜 ※価格は税別 ※各種カード使用可