世界中の美味しいパンが集まる東京。中でも独自の素材・製法にこだわり、流行りのパンを生み出し続けている、パン好きも納得のお店3軒をご紹介します。
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
EDIT BY TM EVOLUTION.INC
❶ パンに寄り添う料理とコーヒーをDIYした六本木の新名所
——bricolage bread & co.(ブリコラージュ)
1/8ディンケル小麦という古代小麦を使用。外皮が固く扱いづらいが、割ると美味しく、ミネラル・ビタミンが豊富で栄養価も高いことから、今海外でも人気沸騰中のアイテムだ。表面の白ゴマも風味抜群。「ディンケル」¥1,700(1個)、¥850(1/2個)、¥425(1/4個)。
2/8くるみ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、かぼちゃの種に加え、はちみつを混ぜ合わせたハードパン。ナッツの香ばしさ、はちみつの甘味、パンの風味が噛むほどに口内に広がる。「ナッツのバトン」¥340。
3/8かつて生ハムのイベントで、添えるパンとしてイベント向けに販売したところ反響を呼び、定番メニュー化。いぶりがっことエメンタールチーズ、カシューナッツをたっぷりと混ぜ合わせた「いぶりがっこのバトン」¥280。
4/8店で余ってしまうパンの耳や、形が悪くなってしまったパンを切り刻み、ローストしたものを長野の『AJBブルワリー』と協業して、クラフトビールとして甦らせた「bread」¥700。喉越しはすっきりしているが、しっかりとしたパンのロースト感があり、洋食はもちろん和食にも合いそう。
5/8ノルウェーに本店を構える『フグレン』のエスプレッソを使用。エスプレッソの内容量によって価格が異なる。カフェラテ ¥530(1 shot)、¥630(2 shot)。
6/8手描きのポップが美味しさを物語る。お勧めポイントのほか、原材料が表記され、カードひとつひとつに、思わず見入ってしまう。
7/8店舗正面のベーカリーカウンター。こちらで購入アイテムを選び、脇のカウンターでチェックする。向かって左側のテラス席を含め、イートインコーナーも充実している。
8/8「これから再びディナー時間のメニューを増やしていく予定です。国産食材を使用した『ブリコラージュ』の安心・安全なアラカルトを、是非お試しください」と、森下偉雄マネージャー。
『ブリコラージュ』は、2018年6月にオープン。ファインダイニング『レフェルヴェソンス』の生江氏を中心に、大阪で評判のベーカリー『ル・シュクレ・クール』の岩永氏、ノルウェイに本店があるコーヒーショップ『フグレン』の小島氏がコラボレートし、“パンに寄り添う料理とコーヒー”をコンセプトに開業した。
そのパンは国産小麦にこだわり、可能な限り全粒粉の状態で使用するこだわりよう。安心安全で栄養価も高く、身体に良くて、何より風味が豊か! 以前は小麦による肌荒れが続いていたスタッフが、ブリコラージュのパンを食べるようになって調子が戻ったとか。
お刺身の漬けをオープンサンドにするなど、「パンでも意外とこんな食材が合うんだ!」(森下マネージャー)という提案型メニューに特徴があり、日常生活の延長線上で、驚きと発見を与えてくれること間違いなし。そして産地別の豆を使用し、ノルディックローストらしい果実味溢れるコーヒーも、この店の楽しみのひとつだ。
古き良き時代のパン工房のような店内では、古い蔵で眠っていた1点もののアンティーク皿が大活躍。サスティナブルライフへの思いから導かれた令和時代のDIY精神に触れながら、小麦の薫りに包まれる幸せを噛み締めたい。
PHOTO BY CHISATO NOGUCHI(NDPP.)
bricolage bread & co.(ブリコラージュ) 住所 東京都港区六本木6-15-1 けやき坂テラス1F 電話 03-6804-1980 営業時間 ベーカリーカウンター 8:00〜20:00、レストラン&コーヒーカウンター 火曜~木曜8:00〜19:00、金曜~日曜8:00~21:00 定休日 月曜(祝日は営業) ※価格は税込 ※各種カード使用可 ※六本木ヒルズ等各施設では、新型コロナウィルスの感染拡大防止の予防対策を徹底し営業を再開しております。また一部の店舗では営業時間を短縮、もしくは臨時休業を継続しております。ご来店の際には事前に各店舗へお問い合わせください
❷ “ワインと食の総合ビル”をコンセプトに、秀逸な食材がトータルで揃う
——L’Atelier du pain(ラトリエ・デュ・パン)
1/6「六本木あんぱん」¥170は、『ラトリエ・デュ・パン』の人気ナンバー1アイテム。白玉粉の生地に十勝産の低糖つぶあんをぎっしり詰め込んだ、大満足の一品。モチモチっとした食感ながら口の中でもたつかず、軽やかに溶けていく。
2/6左は「ゆずこしょうのベーコンエピ」¥290。ゆずこしょうのピリリとした辛さがベーコンの味わいを引き立てている。右は「ブルーチーズとはちみつノア」¥320。ゴルゴンゾーラの旨味と塩味、はちみつの甘味、くるみのナッツ感が絡み合う。
3/6AOPバターの濃厚で芳しい香りが印象的な「クロワッサン」¥190。24層に重ねられた生地が、表面のサクサク感と中身のフンワリ感を同時に生み出している。
4/6「まるごとロメインレタスとイベリコのシーザーサラダ」¥1,200。1/2玉のレタスに厚切りのベーコン、温泉卵、熟成パルミジャーノをトッピング。ザクザクっとしたロメインレタスの食感とベーコンの旨味がたまらない。
5/6「本日のシャルキトリーの盛り合わせ」¥1,500。左上から時計回りに、茨城県産弓豚のパテ・ド・カンパーニュ、鴨肉の生ハム、フランス産ホロホロ鶏とフォアグラのテリーヌ、ジビエ鹿肉のパテ、中央には相性のいいピクルス。自家製シャルキトリー(加工肉)は、テイクアウト用に販売もしている。
6/6『ラトリエ・デュ・パン』の店内。向かって左手に『ワインショップソムリエ』、右手は『さくら』へと繋がっている。
六本木の住民、六本木界隈のオフィスワーカーに愛されて8年。初めにショップとイタリアンレストランがオープン。やがてパン、惣菜、菓子類販売から、イートインとしてのイタリアンダイニングへと発展し、ワンストップで食材全てが揃うまでに成長してきた。
パンは天然酵母を併用しながら、ひと晩寝かせる低温長時間発酵により、小麦の旨味をじっくりと引き出し、モチモチした食感と、パサつかずに口の中で溶けていく喉越しの良さを特徴としている。表面はカリッと、中身はモチモチしていて、水がなくても食べ続けられるほどだ。
併設のイタリアンダイニング『さくら』には、『ラトリエ・デュ・パン』で購入したパンを持ち込めるほか、ボリューム満点のメニューを豊富に用意。ワインリストもバラエティに富み、イタリア産はもちろん、フランス、スペイン、ニューワールドとまんべんなく、ボトル、グラスワイン共にリーズナブルなプライスのものが揃っている。また、とびきりの1本を求めるならば、専門店『ワインショップソムリエ』からプラス ¥2,000で持ち込み可能。この店舗は、早朝から夜遅くまで、あらゆるニーズを満たす六本木路地裏の名店だ。
PHOTO BY ATSUMI ODATE(NDPP.)
L’Atelier du pain(ラトリエ・デュ・パン) 住所 東京都港区六本木6-1-12 21六本木ビル1F 電話 03-3405-0018 営業時間 平日7:30~23:00(イートイン可能)、土曜・日曜・祝日9:00~23:00(イートイン可能)、 ※併設の『さくら』の営業時間 11:30〜23:00 定休日 無休 ※価格は税別 ※クレジットカード使用可
❸ 朝8時から夜まで、ハンドクラフトによる焼き立てパンを毎日提供
——breadworks表参道店(ブレッドワークスオモテサンドウテン)
1/7フランス産の小麦に北海道産の発酵バターを練り込んだ一品。自家製天然酵母を使用して、芳醇な味わいを生み出している。「発酵クロワッサン」¥240
2/7「バブカ」¥300は、コーヒーとの相性抜群のアフタヌーンブレッド。チョコレートとシナモンをリッチな生地で巻き込んでいる。全粒粉のクランブルがアクセント。
3/7甘さ控えめのヴィエノワ生地で、自家製カスタードクリームを包んだ『breadworks』オリジナルのクリームパン。「カスタード」¥180。
4/7棚には朝8時から夜まで、焼きたてのパンが並ぶ。その数、合わせて50~70種類! パンのほかにも自家製ジャムやオリジナルナッツシリーズ「kenka」、スイーツが販売されている。
5/7隣接するカフェ『crisscross』で楽しめるクラフトビールMサイズ ¥980は、定番5種に加え、季節限定醸造のビールを用意。開放的なテラス席でいただくビールは格別!
6/7『THE ROASTERY BY NOZY COFFEE』のシングルオリジン豆を使用した「ブレンドコーヒー」¥650は、柑橘系の爽やかな酸味と、キャラメルのような甘さと質感が特徴。リフィルフリーなのも嬉しい。こちらも、隣接するカフェ『crisscross』で販売。
7/7荷台に食パン一斤、ヘッドライト代わりのロールパンをセットしたヴィンテージ自転車が、『breadworks表参道店』の看板代わり。
『breadworks』の始まりは天王洲から。醸造所を併設したブルワリーレストラン『T.Y.HARBOR』の小麦を扱うノウハウを生かし、自家製の焼き立てパンを届けようと1号店が誕生。その支店として、表参道店が2012年にオープンした。
店舗はコンパクトながら、すぐ脇に工房があり、製造工程、ベーカーの手捌き、焼き上がりのパンの香りなど、五感でパンを感じられる幸せな空間。粉から生地の仕込み・成型、焼き上げを一貫して行なう“ハンドクラフト”にこだわり、自社製ビール酵母を使ったビアブレッド、季節のフルーツのデニッシュやマフィンなど幅広いラインナップが楽しめる。
購入したパンは、隣接するカフェ『crisscross』のテラス席でいただくことも可能。東京メトロ表参道駅から徒歩2分という便利な立地にありながら、裏路地の一歩奥まったこのテラスなら、他人の目を気にせず心地いい時間を過ごせるはず。オリーブやアンチョビのパンに合わせて、クラフトビールを楽しんではいかがだろう?
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