SWITCHING TO AUTUMN

池田尚輝が考える 秋を「今すぐ」取り入れる10アイテム

人気スタイリスト・池田尚輝さんが今おすすめしたいアイテムは、秋を先取りしつつ暑さが残るこの時期から活躍する、いわば「スイッチアイテム」。ファッション好きの心をくすぐるストーリーから、この時期ならではの着こなし、春先まで長く使えるモノ選びなどさまざまな視点でお届けします。

PHOTO BY SHO UEDA
EDIT & TEXT BY RCKT/ROCKET COMPANY*

秋の始まり、池田さんがおすすめしたいアイテムって?

「9月はまだ暑い日も多いので、リアルなところで秋へのスイッチング的なアイテムが今いちばん必要な情報なんじゃないかな、と。秋の気分を取り入れつつ今すぐ使えて、この先秋が深まっても活躍するアイテムとして、ロンTや羽織りもの、それにぬくもりを感じさせてくれる小物を中心に選びました」

❶ 本格レザーブランドの秋を感じさせるバッグ
——GANZO

「GANZOのレザーへのこだわりは一目瞭然なんですけど、ニュートラルなデザインが散りばめられているのがいい。レザーマニアも満足する質に加えて、ファッション好きにも響くものがあるんです。例えばこの東レの新素材・ウルトラスエードを使ったバックパックは、一見して淡い色味に存在感を感じて手に取りました。持つだけでお洒落っぽさが増すし、ニットやコートと相性がすごくいい。ウルトラスエードは鹿革の組織を研究して開発されたものなんですが、撥水加工がされているので淡い色でも扱いやすいのもポイントですね。防水スプレーをすればもっと汚れにくくなるはず。トートは蓋やジップがないからショッパー感覚で持てて、でも上質なレザーだからカジュアルすぎず合わせやすい。キャメルなら持っているうちに色の変化も楽しめます」

❷ カルチャーの匂いがある洒落感に心惹かれる
——ソフ

デニムジャケット¥47,300、デニムパンツ¥31,900(ユニフォーム エクスペリメント/ソフ/六本木ヒルズ ウェストウォーク4F

「ストリートのイメージがありつつ、カルチャー的背景も感じられるソフ。このGジャンとデニムパンツは一見プレーンなデザインですが、ソフが藤原ヒロシさんと組んだブランド“ユニフォーム エクスペリメント”のもので、ボタンのフラットな感じやブルーの色味、リジットのまましばらく着用したような質感と、こだわりを感じさせる仕上がり。Gジャンってドレスアイテムの崩しに使うことがこのところ多かったけど、今年はボトムとのセットアップでメインアイテムとして着るのがおすすめです。ブラックジャケットはアウトドアブランド・グラミチとのコラボレーションでソロテックスという機能素材を使っていて、落ち感のあるウールライクな生地が特徴。ソフはイギリス・ブリストル出身のミュージシャン・マッシヴアタックを昔から応援していてイギリスカルチャーと親和性があるんですが、このジャケットにも80年代中期にイギリスのクリエイター集団・バッファローが着ていたミリタリージャケットを思わせる雰囲気があり、イギリスカルチャーの匂いが感じられる1枚です」

❸ シンプルで上質なアイテムは春先まで活躍
——ビーセカンド

「B’2ndはキラキラしたアイテムと、シンプルで上質な大人にふさわしいアイテムとが共存しているユニークなセレクトショップ。このスウェットは、エイトンの無地っていうところでまず信頼感が高まるわけですが、着るだけで洒落て見えるというとても便利な1枚。なかでも白っていうところが僕的にはいいと思っていて、なぜかというと今後冬になってスウェットをコートなんかの中に着るときに軽やかさが出せるんです。上質な素材感ゆえの落ち感やとろみ感が大人っぽいのもいいですね。トートは革のバッグというところで秋気分を表現しやすいのと、シボ革の質感やハンドステッチ、トープの色味からくる温もり感が、今増えているヴィンテージファブリックや天然染料の生地を使ったアイテムに合わせやすい。ハンドルが一体型ですっきりした見た目なのも好みです」

❹ モード好きのツボを刺激するセレクト
——アールアンドコー

「トラッド好き、モード好きが“おっ”と思うようなアイテムが散りばめられているアールアンドコー。まずはアンダーカバーとヒッチコック映画『サイコ』とのコラボロンTをセレクトしました。今、個人的に再解釈を試みているアンダーカバー。グラフィックのチョイスや入っている位置、ボディのシルエット……ここにしかない要素で“ロンT買うなら特別な1枚を”と思わせてくれます。寒くなる前なら、ショーツと合わせるのも90年代っぽくておすすめ。寒くなったら太めのデニムとかカーゴパンツとか。アイジュンヤワタナベマンのニューバランスは、濃淡ネイビーとグリーンの配色にぐっときます。スエードの分量とか、素材のあてがわれ方も絶妙。運動靴では決してなりえないファッションアイテムでありながら、当たり前のニューバランスに見えなくもないというところがツボですね」

❺ 今の気分と、快適さとを一挙両得
——N.ハリウッド

「コレクションブランドのN.ハリウッドらしい、ファッション的な奥行きを感じさせる秋冬のラインナップ。ナイロンのセットアップはアメリカ陸軍のトレーニングウエアがモチーフになっていると思うのですが、色がモノトーンで大人の男性も躊躇なく着られるし、なんといっても楽ですね。ファッション性と、快適さとの一挙両得。Nハリならではの元ネタの解釈とかピックアップがさすがだな、と。ベロアのスウェットも色目やたっぷりとしたシルエットがバタくさくなく、ベロアのいいところが感じられる。ちょっとドレッシーな雰囲気があって、上のナイロンのパンツやオーバーサイズの浅い色のジーンズ、あるいはスポーツブランドのサイドライン入りのジャージとか合わせたくなります」

profile

池田尚輝|Naoki Ikeda
スタイリスト。ファッションだけに留まらず、建築、工芸、アートと興味は幅広い。昨年、今年と”池田尚輝撰“と題し局所的な物や事にフォーカスしたイベントも開催している。

※2022年9月現在の情報となります。
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