ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、ポップな小物たちです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
ファッションは時代の鏡。だからこそ、その空気を取り入れ今を感じたい
この何年かで、ファッションが大きな変革期を迎えたように感じています。以前のように、整っていて美しいものから、もっと個性的でビザールなものにトレンドががらりと変わってきました。コンサバなブランドが、ポップでキッチュなアイテムを作ったり、思いっきりシルエットをビッグにしたものを出してきたりと。おしゃれというのはノイズを入れることだと、私は思っているのですが、そのノイズがさらにきつくなってきたように思います。ファッションの美の基準が変化し、堅実だった土の時代から、風の時代へと流れが完全に変わってきました。これも、多様化のひとつではないでしょうか。この流れもまたいずれ、次へと移っていきます。何事も飽和状態になると、刺激を求め別の方向へと向かいます。でも、それがファッションというもの。ファッションは、移り変わる時代を映している鏡なのです。トレンドを取り入れるということは、時代の空気を自分の中に取り入れるということ。だからこそ、ファッションを追いかけるのをやめられないのかもしれません。
さて、東京も緊急事態宣言が解除され約１カ月が経とうとしています。おうちで過ごす時間が長かったですが、そろそろ忘れかけていたおしゃれ心をリブートしてみませんか。その一役を買ってくれそうなのが、今回紹介するポップな小物たちです。
モノグラム・キャンバスの《アルマ》を彩るのは、アンティークコインから着想を得たカラフルなカメオを散りばめたフォルナセッティのユニークなイラスト。クラシカルなアイコンバッグにひねりをきかせ、新たなイメージに。バッグ¥278,300（ルイ・ヴィトン／六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り1F）
グッチのシグネチャーともいえるバンブーハンドルバッグが、ジャンボなGGパターンで登場。クラシカルなのにコンテンポラリーな新しさが漂います。ウェブのショルダーストラップとのコンビネーションも素敵。バッグ¥349,800※12月展開予定（グッチ／六本木ヒルズ ウェストウォーク2F）
バンブーハンドルのトートバッグ《グッチ ダイアナ》のミニサイズ。ミニというだけでポップさが増すところに、大きくなったGGパターンでさらに度合いがアップ。ミニウォレットのGGパターンも新鮮。ミニウォレット¥81,400、バッグ¥279,400 ※ともに12月展開予定（グッチ／六本木ヒルズ ウェストウォーク2F）
マルチカラーのツイードが目を引くサンローランのアイコンバッグ《ソルフェリーノ》。コロンとした幾何学的なフォルムがかわいいミニチャームは、この秋ローンチした《ベルランゴ》と《ジェイミー》。バッグにちょこんとつければアクセントに。ワイヤレスイヤフォンを収納するのにも便利。チャーム右（ベルランゴ）¥46,200、チャーム左（ジェイミー）¥46,200、バッグ¥276,100（サンローラン バイ アンソニー・ヴァカレロ／サンローラン／六本木ヒルズ ウェストウォーク2F）
きれいなフューシャピンクが印象的なスエードのペニーローファー。モノトーンスタイルにも鮮やかな色を足もとに添え、個性的におしゃれを楽しみたい。シューズ¥99,000（サンローラン バイ アンソニー・ヴァカレロ／サンローラン／六本木ヒルズ ウェストウォーク2F）
バレンシアガの人気トート《ネイビー S カバ》から、キュートなピンクのお花柄が登場。コイン＆カードホルダーも揃えれば、気持ちもポップに跳ね上がります。バッグ（取り外し可能なポーチ付き）¥145,200、コイン＆カードホルダー¥35,200（バレンシアガ／六本木ヒルズ ウェストウォーク2F）
テディベアのようなモコモコ感がかわいいシアリングレザーのファーバッグ。持っているだけで、夢み心地な気持ちにさせてくれます。バッグ右¥275,000、バッグ左¥302,500 ※11月下旬展開予定（ボッテガ・ヴェネタ／六本木ヒルズ ウェストウォーク2F）
クロエの新クリエイティブ・ディレクター、ガブリエラ・ハーストにより復刻されたバッグ《エディス》。ボディにはリサイクルカシミヤを使用。ミュールのアッパーにも、リサイクルカシミヤがあしらわれ、サスティナブルかつポップに気持ちをあげてくれる逸品。バッグ¥315,700、ミュール¥92,400（クロエ／表参道ヒルズ 本館1F）
バーバリーチェックのナロースカーフの裏には、大胆なロゴ。エレガントなスカーフには、かわいい鹿のイラスト。クラシカルだけど、どこかポップな遊び心が効いています。トレンチコートに、カジュアルに巻きたいです。スカーフ左¥55,000、スカーフ右¥27,500 ※予定価格（バーバリー／六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り1F）
新たな時代を担う3人のクリエイターへプラットフォームを提供し、彼らのプリント作品をフィーチャーしたステラ マッカートニーの象徴的なクラシックアイテムが揃う《ステラ シェアード 3》コレクション。ロンドンのアーティスト、エド カーティスのグラフィックでアップデートされたロゴをあしらったアクセサリーは、子どもにいたずら描きされたような愛らしさ。カードホルダー左¥68,200、カードホルダー右¥67,100、スニーカー¥51,700、バッグ¥212,300 ※11月3日展開予定（ステラ マッカートニー／六本木ヒルズ ウェストウォーク2F）
定番アイテムにシアリングをあしらったマルニのバッグ。モコモコのシープスキンとカーフレザーのマスタードイエローとのコンビネーションが絶妙。刺繍で施したロゴが新鮮。バッグ左¥291,500、バッグ右¥122,100（マルニ／表参道ヒルズ 西館1F）
持っているだけで楽しい気分にさせてくれるクリスチャン ルブタンのトートバッグは、裏地までも超ポップ。シンプル＆オールブラック派の人こそ、ぜひ持ってもらいたいプレイフルなバッグです。バッグ左￥283,800、バッグ右¥166,100（クリスチャン ルブタン／六本木ヒルズ ウェストウォーク2F）
地曳いく子が指南する
今取り入れたいポップなノイズとは？
❶ クラシックを再解釈
世界、特にヨーロッパはコロナと共存する方向へと舵を切っています。日本もそろそろ、外へ向けて気持ちをあげていってもいいのではないでしょうか（もちろん、慎重に！）。とはいえ、すぐに気持ちがあがるかといえば、そんなことはなく。だからこそ、おしゃれドーパミンを出してくれるポップなアイテムを必要としているような気がします。ポップといっても、今年はいろいろな解釈があります。まず注目したいのは、クラシックをポップに再解釈したアイテム。形はクラシカルなのに鮮やかな色でプリントが施されていたり、ロゴが巨大化していたりと、そんなアイテムが多く登場しています。このタイプは、コンサバ派の人でも取り入れやすいポップなノイズとなるのではないでしょうか。
❷ カルチャー系ポップでアクセント
デジタルポップな花柄やグラフィティプリントのバッグ、さらには、ぬいぐるみのようなモコモコなシアリングバッグ。ひとつプラスだけで、パッと気持ちを明るくしてくれるカルチャーポップなアイテムも多く揃っている今季。オールブラックスタイルや、クールでシンプル派の人こそ、ちょっと派手かなと思うぐらいものを持ってもらいたいです。
❸ ヒッピー＆エスニックにも注目
60年代のヒッピーぽいデザインや、懐かしいエスニック調のアイテムもおしゃれ心をリブートしてくれるノイズに。ただし、昔、下北沢で買ったのがあったわなんて、引っ張り出してこないように。なぜなら、ファッションは螺旋でまわってくるものだから。一周まわって、〇〇年代がトレンドになんてよく言われますが、決してそのままではありません。必ず今の時代の解釈が入り、ラグジュアリーなものへと螺旋で昇華されていますから。
※ 2021年11月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。
※ 六本木ヒルズ等各施設では、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、一部店舗・施設の営業内容を変更しております。 営業状況は定期的に変更がありますので、ご来店の際には事前に各施設HPをご覧ください。
地曳いく子｜Ikuko Jibiki
スタイリスト／1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持つ。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』（ともに宝島社）『おしゃれも人生も映画から』（中央公論新社）『買う幸福』（小学館）『おしゃれは7、8割でいい』（光文社）『日々是混乱』（集英社）など多数。今秋、集英社より新刊2冊を上梓。
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