IKUKO’S FASHION METHOD

サスティナブルって何?——地曳いく子のおしゃれメソッド55

ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、サスティナブルファッションの楽しみ方です。

STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA

新しい時代、新しい考えでファッションを選ぶ

ここ数年、サスティナブルという言葉をよく耳にするようになりました。ご存知の通り「持続可能な」という意味ですが、このサスティナブルという考え、ファッションでいうと具体的に何?というのはすごく難しい。というのも、持続可能なことが人それぞれに異なってくるから。少し前に、エシカルファッションという言葉も出てきましたが、こちらは「倫理的・道徳的」な意味合いで、環境破壊の問題や、労働や社会問題を配慮し生産するファッションのことを指します。サスティナブルファッションと、同意義に使われることもありますが、私が考えるサスティナブルとは、その人なりの方法でファッションを継続していくことなのではないかと思っています。AIに、「環境破壊を止めるにはどうしたらいいか」と聞いたら、「それは人間が絶滅することです」と答えたという笑い話があるぐらい、突き詰めていくと極端な話になってしまいます。何が良くて、何が悪いということではないのです。ガチガチにあれもこれもダメではなく、まずはファッションを楽しみながら考えていければと思います。たとえば、オーガニックコットンの製品を選ぶことで、農薬による土壌汚染を少しは防げるかもしれない。服を買う時にそうした意識を少し持って選ぶことが、サスティナブルに繋がっていくのではないでしょうか。今回選んだ服たちも、それぞれにストーリーを持った服ですが、めちゃくちゃクールだと思いませんか?ファッションを純粋に楽しみ、きちんと意識して選ぶこと、それが私の考えるサスティナブルです。

羊に負担をかけない刈り方でつくられたウールを使用したトップ。ミニマルなデザインですが、フォルムがとにかく美しい。着たくなるカッコいいデザイン+サスティナブルな生産過程のコンビネーションに心くすぐられます。トップ¥26,400(エストネーション/六本木ヒルズヒルサイド1F&2F

職人と消費者との間に立ち、技術のつなぎ手として服作りを続ける日本発のブランド〈ユニオン ランチ〉。オーガニックコットン製のデニム生地による別注のドルマンスリーブシャツは、ユナイテッドアローズとのチャリティプロジェクトから誕生したもの。ジャケット代わりにバサッと着ても素敵。売り上げの一部は、災害緊急支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”」に寄付されます。シャツ¥30,800(ユニオン ランチ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

オーガニックコットン製のベスト。肌触りもさることながら、農薬を使わない素材を使うことで、土壌にかける負担を減少させる一環にもなるはず。本格的に寒くなる前に、シャツなどとレイヤーするとかわいいです。ベスト¥16,500(デミクルスビームス/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F

エコファーで楽しむディースクエアードのレオパード柄コート。エコファー素材の進化も著しく、リアルファーのような質感に。コート¥184,800(ディースクエアード/ミューズ ドゥ ドゥーズィエム クラス 六本木店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

イタリア製の再生ウールを使用したダブルフェイスコート。飽きのこないシンプルなデザインなので、どんな服にも合わせやすく、愛し着倒したくなる一枚です。コート¥121,000 ※10/1より展開予定(エブール/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F

レザーのような質感とひろがりのあるシルエットが美しいスカート。かつての合皮とは違い、フェイクレザーの技術も向上し、薄くてしなやか。そして何より軽いのが嬉しい。スカート¥38,500(ダジリータ/デザインワークス ドゥ・コート/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F

艶感のあるフェイクレザーのスカート。リアルレザーでは表現しにくい、ボリューム感や軽さを叶えた新しい素材として楽しみたい。スカート¥19,800(デミクルスビームス/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F

リラックスしたシルエットにしなやかな質感がクールなフェイクレザーのパンツ。日常でも気軽に穿けるこの素材だからこそ、ヘビロテしたくなります。パンツ¥24,200(ダブルスタンダードクロージング/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

100%再生ポリエステルで作られたウインドブレーカー。コンディションに合わせてフィット感を調整できるコードなど機能性も抜群。サッと畳んでクロスボディバッグにしまうこともでき、多用途に活躍します。ウインドブレーカー¥26,400(アディダス バイ ステラ マッカートニー/アディダス ブランドコアストア/六本木ヒルズ ヒルサイド2F

プラスチック廃棄物をゼロにしようというアディダスの取り組みをベースに、地球に配慮したリサイクル素材をタンクトップに使用。ステラ マッカートニーとアディダスとの製品開発はいつも革新的。今の時代に生きている喜びが感じられます。タンクトップ¥9,900(アディダス バイ ステラ マッカートニー/アディダス ブランドコアストア/六本木ヒルズ ヒルサイド2F

一般的なビスコースより、二酸化炭素の排出量と水質汚染を最大50%軽減した環境に配慮した素材を使用。リブやスポーティなラインのバランスが秀逸。トップ¥22,000、スカート¥22,000(ダブルスタンダードクロージング/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

環境や社会問題への取り組みを行い、透明性の高いトレーサビリティの管理にも重点をおくハンガリー発のブランド〈ナヌーシュカ〉。製造過程で動物由来の物質を一切使用していない “ビーガンレザー”のバッグは、ウルトラ高級レザーを越えた触り心地。バッグ右¥37,400、左¥64,900(ナヌーシュカ/エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F&2F

100%再生ポリエステルで構成されたスニーカー。補強部分のスエードにも毒性のあるクロム化合物を使わないクロムフリーレザーを使用したエコフレンドリーな一足。スニーカー各¥13,200(オニツカタイガー/六本木ヒルズ メトロハット/ハリウッドプラザB1F

環境に配慮したアプローチで、再生素材などを取り入れ、植物ベースのフットウェアを展開する〈ヴィロン〉。厚底スニーカーのちょっとノイズの入ったボリューム感が、今の新しい感じです。スニーカー¥26,400(ヴィロン/エストネーション/六本木ヒルズヒルサイド1F&2F

地曳いく子が考える
サスティナブルなファッションとは?

❶ ものを買う=応援するということ

理想を言えば、自分が着たいと思うデザインで、環境や人権、社会的問題を全て配慮した服があれば最高です。でも、すべてをクリアした製品に出逢うのは、正直難しい。だからこそ、自分のできる範囲で意識していくことが必要なのです。買い物することということは、その企業の理念に賛同し応援することだと私は考えています。素材の処理に化学薬品を減らしたものなのか、リサイクル素材で開発した製品なのか。そうした環境を配慮した製品だけでなく、国内の工場と組み製品開発をすることで技術を持つ職人たちを守るということもサスティナブルに繋がると思います。現代は様々な試みが進んでいます。ものを買う時にひとつでも意識してみること。そのひとつのひろがりに賛同する企業が増えれば、未来に向け持続可能なファッションがより多く生まれるのではないでしょうか。

❷ 着ないもの、いらないものは買わない

環境にどんなに優しくても、着た途端に気持ちが下がる服では、ファッションとしてはどうかと思います。ファッションの醍醐味は、楽しむこと。たとえリサイクル素材を使った服だとしても、結局のところ着なければ意味がありません。支持されるデザインであってこそ、持続可能なわけです。気持ちだけ賛同するのではなく、今、自分に必要なものは何かを見極め、選択して買うことで、企業もその方向に動いていくはずです。

❸ ものを愛し、ヘビロテすること

とはいえ、サスティナブルな素材や取り組みだけが、すべてではないと思います。私は、ものを愛し、着倒すことも、ひとつのサスティナブルだと思っています。20年前に、ラグジュアリーブランドで、一生ものと思って、黒のラムレザーのフルレングススカートを、それこそ清水の舞台から飛び降りる覚悟で買ったことがあります。しかし、大事にしていたにもかかわらずカビが生えてしまい、一生着るはずがそこでダメになってしまいました。20年かけて月に数回しか着ないものと、週何度も登場して2シーズンぐらいで着倒す服。どちらが良いとか悪いではなく、結局のところ同じなんです。服は消耗品。流行も気候も情勢も変化します。一生ものと思ったのに、結局クローゼットの奥に眠ってしまった服に、心当たりありませんか?買ったものを着倒すぐらい愛用することも、ファッションを持続可能なものにする大切な考えだと思っています。
 

※ 2021年9月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。
※ 六本木ヒルズ等各施設では、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、一部店舗・施設の営業内容を変更しております。 営業状況は定期的に変更がありますので、ご来店の際には事前に各施設HPをご覧ください。

 

profile

地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持つ。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)『買う幸福』(小学館)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『日々是混乱』(集英社)など多数。今秋、集英社より新刊2冊を上梓。