STEP TO THE NEW WORLD

はなが体験、人生を豊かにするオトナの習い事

六本木ヒルズで体験できる大人の習い事、ご存知ですか? 六本木ヒルズのライフスタイルセレクトショップ〈ジーケヤキザカ〉では、「テーブル茶道ワークショップ」「美文字教室」「金継ぎ教室」といった一味違う習い事体験ができるのです。今回は、モデルでタレントのはなさんが伝統工芸の「沈金教室」を体験レポート。

PHOTO BY KEISUKE KITAMURA
HAIR & MAKE-UP BY MIYUKI YOSHIOKA
EDIT & TEXT BY RCKT/ROCKET COMPANY*

新しい年の始まり、
初めてのことにチャレンジ

大人になってからの習い事は、子供の頃とはまた違う良さがあります。仕事や家族付き合いとは違うステージで、好きなことに没頭する時間はとても貴重なもの。いつもと違う頭と身体の使い方をしてリフレッシュするという声も。価値観が合う友人や尊敬する師匠といった人間関係の広がり、知識欲など自分自身の新しい一面が見つけられるかもしれません。もし興味があることがあるのなら、まずは一度やってみて。六本木ヒルズの店舗で行っているものなら、いつもの買い物ついでに気軽にトライできます。

国内外のアートな生活雑貨が揃う〈ジーケヤキザカ〉。はなさんも興味津々で店内を見て回ります。

「作家さんの器から、洒落たデザインの雑貨まで素敵な品がたくさん! お友達の家を訪問するときのギフトがいつも同じものになってしまうのですが、ここなら素敵なものが見つかりそう」とはなさん。

お椀の蓋を取ると現れる、繊細な黄金色の絵柄。「沈金」と呼ばれる技法を用いたあしらいです。今回はこの「沈金」に、はなさんが挑戦します。

沈金の作業工程は、このように描きたい絵柄を彫り、溝に漆を塗り込んで金をのせていきます。こちらは講師の中室先生によるサンプル。

日本の伝統文化を
多面的に学びたい

モデルやタレントとしての活躍はもとより、奈良国立博物館評議員を務めるなど日本の伝統文化に詳しいことでも知られるはなさん。8年前に茶道を習い始め、新たな世界が広がったといいます。

「最初のきっかけは祖母から受け継いだ着物。着て行く場所があるといいな、と思ったときにちょうどお茶の専門誌で連載を持つことになり、たまたま良い先生に出会って、茶道会館に通うように。もともとは大学時代には美術史を専攻していたこともあり仏像を通して日本文化を学んでいたのですが、40代になってお茶を習い始めることで、新しい一面を知るようになっています」(はなさん)

今回は、日本が誇る伝統工芸・輪島塗の沈金を実際に体験できる教室ということで、新たな方向から日本文化に触れるきっかけに。

「輪島塗の器は、能登に旅行に行った時に目にしてとてもきれいだなと感動しました。沈金は特に華やかなあしらいで特別な器といった雰囲気がありますね。日本の伝統文化は知れば知るほど奥が深いので、今回の沈金もどんな体験になるかドキドキワクワクしています」(はなさん)

まずは絵柄の下絵を描いていきます。はなさんは、新春らしい梅の枝を描くことに。下絵は用意されたものを使用することもできます。

今回作るのはコースター。黒と朱から選べます。はなさんは黒をセレクト。

このノミで表面に模様を彫り、出来た溝に漆をすりこんで金箔や金粉を埋め込んで模様を描きます。

ノミの使い方を知るため、まずは練習用の板を彫ってみます。「もう少し立てて」「もっと深く彫るといいですよ」など、先生がコツを教えてくれます。

練習が終わったら、いよいよ制作に。コースターに下絵を写していきます。

1813年創業の老舗工房、輪島屋善仁の9代目当主である中室耕二郎さんが講師を務める〈ジーケヤキザカ〉の沈金教室。中室先生の優しい語り口で、初めてでも緊張せずにトライできそうです。

下絵を参考にしながら彫っていきます。「高みを目指していますね」と中室先生も感心するひたむきさで一心に彫るはなさん。思うように彫れず、「ああっ!」となる場面も。「修正できますか?」(はなさん)「残念ながら、できないんです」(中室先生)

仕上がりをチェックする中室先生。「小さい丸は特に難しいんですが、うまくできていますよ」(中室先生)「梅は丸が多くて大変ですね、もっと簡単な絵柄にしておけばよかったかも。最初は大好きなパンダにしようかと思っていたのですが、やめておいてよかったです(笑)」(はなさん)

彫った部分に漆を塗り込み、金粉をかけて余分な部分を払ったらできあがり。漆はかぶれることもあるのでここから先は講師の方がやってくれます。

「漆が乾ききるまで2日間は触らないようにしてくださいね」と、箱に入れたコースターをはなさんに手渡しする中室先生。

大小の梅が花開くはなさんの沈金作品。点彫、線彫、コスリ彫と3種の彫り方を駆使した力作です。

できあがったコースターを手に笑顔のはなさん。「梅はめでたいモチーフなので、新年を祝う意味で作りました。酒器を上に置くなど、生活のなかで使いたいなと思います」

無心になって手を動かすことが
日常を見直すきっかけに

下絵を描き始めてから約1時間半、手を動かし続けたはなさん。やってみていかがでしたか?

「とにかく難しかったです。負けず嫌いなので、やるぞ!って思っていたのですが、思うように彫れない。実際に彫っていると、つややかな黒い素材だから木だっていうことを忘れてしまって、でもやっぱり硬くてなかなかノミが入らない。すると今、自分が扱っているのが木だっていうことを思い出します。素材と仲良くなっていかないと彫れないんだな、と感じました。緻密で大変な作業ですし、漆が乾くまで待つ時間も長いですが、日々忙しく過ごしているとそういう時間の使い方を忘れてしまうので、日常を見直すきっかけになるいい機会になりました」(はなさん)

最後に、読者にメッセージをお願いします。

「早く始めれば、それだけ長く趣味を楽しむことができる。始めるなら絶対に早い方がいいです。気になったらまずは体験してみて、自分に合っていると思えば続ける、合わなければやめる。そのきっかけとして、今回のような教室はぴったりだと思います」(はなさん)

体験を終えて、中室先生と

「輪島塗の作品を見て、“すごいなあ”、“きれいだなあ”と思っていましたが、実際に体験してみると、どれだけすごい技なのかがわかりますね。作品を見る目が変わりました」(はなさん)

「漆の層に溝を作り、金を入れ込むことで複雑な輝きを放つ沈金作品。漆を厚く塗り重ねる輪島塗だからこそできる技ともいえます。彫り直しができないので一気呵成の技で、複雑な絵柄でも職人が実際に彫っているのはわずか10分15分の世界です」(中室先生)

〈ジーケヤキザカ〉の体験教室

今回紹介した沈金教室は現在受付ができず、再開未定ですが〈ジーケヤキザカ〉では、ほかにも「大人の美文字講座」「テーブル茶道」「金継ぎ教室」など日本文化にまつわるレッスンを行っています。時期により開催内容が異なりますので、詳しくは店舗にお問い合わせください。(ジーケヤキザカ/六本木ヒルズ ヒルサイド B1F)

石川県応援特設ページのお知らせ

〈ジーケヤキザカ〉では今回取材にご協力いただいた輪島屋善仁さんの作品をはじめ、石川県の作り手・作家さんによる素晴らしい作品の数々を取り扱っています。作品たちを多くのお客様へお伝えすることが今すぐに私たちにできることと考え、石川県応援の特設ページを作成しました。ぜひご覧ください。

profile

はな|Hana
17歳からモデルデビュー後、多数の雑誌で表紙を飾るなど活躍。テレビ・ラジオ・ナレーション・エッセイ執筆など活動の場を広げ、お菓子作りや茶道など趣味をいかした著作も多数。著書に『はな、茶の湯に出会う』『はなのお菓子』など。

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中室耕二郎|KOJIRO NAKAMURO
9代続く塗師屋「輪島屋善仁」当主にして輪島漆器商工業協同組合理事。当主自らが漆芸プロデューサーとして素材、技術、意匠を監督することによって一貫した理念を製品に反映し、「漆芸史上最良のものづくり」を目指す。

※ 2024年1月現在の情報となります。