GALETTE DES ROIS

2024年の運勢を占う“フェーヴ”が楽しいスイーツ「ガレット・デ・ロワ」4選

最近静かなブームの洋菓子、「ガレット・デ・ロワ」。フランスでは年が明けると一斉にお菓子屋さんやパン屋さんに並ぶほど新年に欠かせない伝統菓子。中には「フェーヴ」と呼ばれる陶器製のチャームがひとつ入っており、切り分けてそれが当たった人は、その一年幸運に恵まれると言われています。そんなアニバーサリー感満点のスイーツで、2024年の幕開けを迎えてみては?

EDIT BY TM EVOLUTION.INC

❶ 食感が驚くほど軽やか! パン屋らしく素材の小麦にまでこだわった、香ばしい一品——bricolage bread & co.(ブリコラージュ ブレッド アンド カンパニー)

葉っぱが折り重なるレイエ(上部の模様)は、もちろん手描き。職人が包丁でひとつ一つ切り込みを作っている。

フォークで崩した時もホロホロと崩れていき、歯ざわりもサクッと軽快。思わず、もうひと切れ食べたくなる美味しさ!

同店スタッフがパリに出張に行った際に買い求めたアイテムも含め、陶器製のフェーヴがたくさん。ブリコラージュでは、ケーキ内にはアーモンドの粒を入れ、フェーヴは購入時に自由に選べる。紙の王冠も付く。

「ガレッド・デ・ロワ」(大)¥3,800、(小)¥2,200。(大)は8名程度、(小)は4名程度で楽しめる。

今季、『ブリコラージ』ュの「ガレット・デ・ロワ」は、レシピを一新! スペルト小麦(古代小麦)をブレンドすることで、パン屋の真髄である小麦生地そのものの芳香さと味わいをパワーアップさせている。「ガレッド・デ・ロワ」の側面は、極薄生地でバターを折り込みながら、幾重にも重ねることで積み上げていくが、この時、バターが溶けて生地に馴染んでしまうと、焼いたときにガリガリとした重たい食感になってしまう。したがってバターが溶けない温度を確実にキープすることが重要。厨房の中に別途、クロワッサン室がある『ブリコラージュ』の環境は、その厳正な温度管理を可能としている。

薄い生地は捏ねてすぐに伸ばすと破れてしまうので、生地を寝かして時間をかけて製作する必要がある。実際、同店では丸2日かけて土台を作り、その後にレイエ(上部の模様)を入れて、その翌日に焼き上げる。よって、同店の「ガレッド・デ・ロワ」は、計4日をかけて製造する、手間暇かけた貴重なアイテムだ。そして、同店の「クレーム・ダマンド」(アーモンドクリーム)は、敢えてシンプル。ただし、アーモンドは皮なしと皮ありを使い、皮なしの洗練さと皮ありの芳香さのいいところ取りをしている。アーモンド、バター、卵、砂糖のみから作る素朴な旨味は、甘すぎることなく、古代小麦の香ばしい生地の味わいに寄り添い、まさに絶品だ。

『ブリコラージュ』の「ガレッド・デ・ロワ」は、2024年1月5日〜8日までの4日間だけの販売。ただし、今から事前予約すれば確実に購入可能なので、この新たな味わいを是非試してみてほしい。


ブリコラージュ ブレッド アンド カンパニー
住所=東京都港区六本木6−15−1 六本木ヒルズけやき坂通り 1F 電話=03-6804-1980(ベーカリー) 営業時間=7:00〜19:00 定休日=月曜(祝日の場合は営業) 臨時休業=12月30日(土)〜2024年1月4日(木) ※各種電子マネー、交通系IC、各種クレジットカード利用可
 
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
PHOTO BY KIPPEI MITSUYA

❷ 伝統の中に新味を添えた、『沢村』流「ガレット・デ・ロワ」——ベーカリー&グリル 沢村 虎ノ門

新年を祝うフランスの伝統菓子「カレット・デ・ロワ」¥3,240は、ホール(直径約18cm、約6〜8名様分)のみでの販売。1月末まで予約受注販売中。

“王様のお菓子”と名付けられ、サクサクのパイの生地の中には、アーモンドクリーム、くるみのほか、『沢村』オリジナルとしてリンゴも。きつね色に浮かぶ、木の葉のようなパイの飾り模様も“ロワ”の名前に相応しく気品があって美しい。

ガレット・デ・ロワに必須のフェーヴ(2cm弱の陶器製の人形やおもちゃ)。今年は、ドーナツやマカロンのほか、可愛らしい4種類の焼き菓子のデザインのどれかが入っている。フェーヴが別添えになっているものもあるが、『沢村』は伝統を重んじ、ガレットの中に。食べる時は、噛んだり、飲み込んだりしないように注意して!

本格的な食事パンをはじめ、パンおかわり自由のランチで人気が高いベーカリー『沢村』。お昼時ともなれば、「虎ノ門ヒルズ」の陽光降り注ぐ開放的な空間でゆっくりと寛ぐ多くのゲストで賑わう人気店だ。本格的な味わいのパンの数々は、創業当初から変わらず、“フランスやドイツなどヨーロッパの伝統を継承しながらも、『沢村』らしさを加えている”ものばかり。例えば『沢村』の代表的な菓子パンのひとつ「ショコラ大納言」は、チョコレートチップの入ったハード系のパンに、日本の大納言あずきをふんだんに加えた一品。

今回主役の「ガレット・デ・ロワ」も、伝統の製法を継承しつつも、ちょっとした工夫が添えられている。サクサクのパイ生地にはコクのあるアーモンドクリームや、食感豊かなくるみなど定番食材のほか、リンゴを加えることで食べ応えやアップルパイを彷彿させる飽きのこない美味しさを楽しめる。

もちろん、見た目も重要! ギュッと詰まった中身と、適度なエアリーな層のパイ生地とのコントラストが絶妙な上、パイのお化粧、木の葉のような模様は芸術的。この模様付けを美しくするテクニックは難しく、熟練した職人技がないとできないそう。そして「ガレット・デ・ロワ」で忘れてはならないのが、パイの中に仕込まれている陶器製のおもちゃ「フェーヴ」。フランスの子どもたちは切り分けられた自分のガレットにこのフェーヴが入っているとその日、王様や王妃役になって遊ぶというしきたりがあるのだとか。『沢村』のガレットではフェーヴのデザインを毎年変えているそう。タネ明かしをすると今年は、焼き菓子のデザインのフェーヴが入っている。だいぶ、日本でもお馴染みになってきたこの伝統菓子。新年は、この「ガレット・デ・ロワ」で運試し! 童心に返りフェーヴを引き当て、王様気分に浸ろうではないか。


ベーカリー&グリル 沢村虎ノ門
住所=東京都港区虎ノ門1-23-3 虎ノ門ヒルズ 森タワー2F 電話=03‐6206-7477 営業時間=7:30〜20:00(ベーカリー) ※無休(2024年1月1日(月)、2日(火)休業) ※各種電子マネー、交通系IC、各種クレジットカード利用可
 
TEXT BY AKIRA TANAKA
PHOTO BY HIDEHIRO YAMADA

❸ シンプルでありながら素材の持ち味を存分に味わえる、ミシュラン3つツ星シェフならではの逸品——ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション

「ガレット デ ロワ」(大)¥5,400(箱入りのみ)、(小)¥3,600、(小/箱入り)¥4,000。トップのデザインは「リーフ」(写真)と「太陽」の2種類。熟練の職人技が光る焼き上がりで、少しでも仕上がりにブレがある場合は、ホールケーキとして販売されないというこだわりぶりだ。2023年12月26日(火)~2024年1月31日(水)販売予定。

今年のオリジナルフェーヴは「プレート」。フランス磁器ブランドベルナルド社が「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」のために特別に作ったプレゼンテーションプレートと同じデザイン。表面は黒に赤ラインのデザイン。裏面にはベルナルド社の刻印と共に、『ジョエル・ロブション』のロゴと年号「2024年」が記されている。

フランス料理界の巨匠、ジョエル・ロブション氏の料理哲学を踏襲したブランジュリー&パティスリー『ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション』。独創的でありながら、フランスの伝統に基づいたバリエーション豊かなパンやスイーツで多くの人々を魅了している。新年を祝う「ガレット デ ロワ」も、冬の定番として愛されている逸品だ。

『ジョエル・ロブション』の「ガレット・デ・ロワ」のこだわりは、希少性の高いタヒチ産バニラを惜しみなく使用したアーモンド生地と、濃厚な発酵バターのパイ生地のカップリング。“しっとり”と“サクサク”が同居する食感もたまらない人気スイーツだ。香り高く風味豊かで“ラムの貴婦人”と呼ばれている「ネグリタラム」に、バニラビーンズをさやごと漬け込んだフィリング(パイの中)は、ひと口食べれば濃厚なラムとバニラの香りが鼻に突き抜ける。ここには「素材の味わい、風味を最大限に生かす」というロブション氏の哲学が息づいているのは間違いない。賞味期限は3日。常温にて保存できるが、パイ生地の食感を楽しむためには、開けたらすぐ食べていただきたい。

毎年『ロブション』にちなんだものをモチーフに製作する陶器製のオリジナルフェーヴは、コレクターがいるほどの人気アイテム。今年は「プレート」。別添えでの提供となり、「ガレット・デ・ロワ」の中には代わりにアーモンドが1粒入っている。それに当たった人がその年の主役で、フェーヴと王冠(紙製)を貰えるという趣向。オリジナルフェーヴは店頭販売のみ数量限定。無くなり次第、別デザインにて提供とのこと。気になる方は要チェック! 公式オンラインショップからも、全国へ発送可能。自宅でも、遠方の方への新年のギフトとしてもお薦めの逸品だ。


ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション
住所=東京都港区西麻布6-10-1 六本木ヒルズ ヒルサイド2F 電話=03-5772-7507 営業時間=10:00~21:00 定休日=無休(12月31日(日)、2024年1月1日(月)休業) ※各種電子マネー、交通系IC、各種クレジットカード利用可
 
TEXT BY HANAKO ASAKURA

❹ 伝統的な味わいと数量限定ショコラ風味も! 20センチのホールケーキをみんなで楽しみたい——BEAVER BREAD BROTHERS

柄は伝統的な、五穀豊穣を願う「稲穂」。シンプルだからこそ、焼き具合が重要。人気ベーカリーらしい、照りが美しいその焼き上がりは、流石のひと言。日本のお正月同様に、餅花を飾って豊作を祈願してもお祭り気分がアップするかもしれない。2024年1月5日(金)〜1月20日(土)販売予定。

色とりどりの王冠からお好みを自由にチョイスできるフェーヴ付き。誰が王様になるか、是非大勢で楽しみたい!

今年10月に開業した「虎ノ門ヒルズステーションタワー」。虎の門ヒルズ駅直結、地下2階改札出てすぐにあるのが「T-MARKET」だ。その中でもひと際目立つベーカリーがある。ガラス張りの都会的な店構えの店内には、ずらりとパンが並び、その先にはオープンキッチンが。目の前で職人たちがパンを焼いている姿が垣間見える。

ここ『BEAVER BREAD BROTHERS』は東京・東日本橋に店を構える『BEAVER BREAD』の姉妹店。食事に合うハード系のパンをはじめ、日本ならではの定番パンをアップデートした菓子パンや惣菜パン、サンドイッチまで揃う“町のパン屋さん”だ。大人気ベーカリーということもあり、連日多くのお客さんで賑わっている。パンはもちろんのこと、焼き菓子にもファンが多い。その中でも「ガレット・デ・ロワ」は特に人気で、毎年早々に予約が殺到するという。その魅力はなんといっても20センチホールの大きさ。家族や友達、みんなでシェアして楽しめる、わいわいと新年のお祝いができる逸品だ。

ラム酒を効かせたクレーム・ダマンドとクレーム・パティシエールを合わせたクリーム、フランジパンをサクサクの生地でホールドし、程良い甘さと芳醇な香り、さくっとした食感が絶妙なハーモニーを奏でる。思わず「美味しい!」のひと言がこぼれるだろう。さらに今年はアーモンドとラム酒の風味が効いた伝統的なものに加え、ショコラ風味の「ガレット・デ・ロワ」も登場する。こちらはフランジパンにさらにショコラを混ぜたもの。チョコ好きや、ひと味違う「ガレット・デ・ロワ」を食べたい方にお薦めだ。数量限定なため、お見逃しなく! 昔ながらの陶器製のフェーヴは別添え。その代わりにアーモンドが1粒入っている。それを当てた(食べた)人が王様・女王様になるという。付いてくるフェーヴのモチーフは王冠。様々なバリエーションがあり、購入者が自身で選べる。是非ともお気に入りを見つけてほしい。


BEAVER BREAD BROTHERS
住所=東京都港区虎ノ門2-3-6 虎ノ門ヒルズステーションタワー B2F 電話=03-6268-8712 営業時間=8:00~L.O.18:30  定休日=日曜(12月29日(金)~2024年1月4日(木)休業) ※各種電子マネー、交通系IC、各種クレジットカード利用可
 
TEXT BY HANAKO ASAKURA

※2023年12月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。