レストラン選びは、美味しさはもちろん、雰囲気も大事な要素。美しい空間での食事は、その時間をもっと華やかに彩ってくれます。今回は、インテリアデザインにもこだわった、特別な時間を過ごせる“非日常”のダイニングをご紹介します。
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❶ 階段の先の“ステージ席”は、アートに囲まれた落ち着いた空間——dam brewery restaurant
「T-MARKET」内でも一段と目を引くサイネージの下は、ずらりとビールサーバーが並ぶカウンター。ひとりでもビール片手に寛げる席だ。
中央には階段があり、上った先にはソファーを配したステージ席が現れる。ステージ席の壁を飾るのは新進気鋭の画家、友沢こたお氏の4連作だ。
店内にあるガラス張りの醸造所では、フルーティーでスパイシーな香りの「daily paper -Saison-」とグレープフルーツのような甘さ、シトラス系の爽やかさがある「day light -IPA-」、2種類のシグネチャービールが製造されている。まずはフレッシュなビールで喉を潤したい。
どんな料理にも合うのが『ダムブルワリー』のシグネチャークラフトビール。季節ごとにフレーバーの変わる「daily paper -Saison-」¥980(Regular)はフルーティーで軽やか。
ペルーの伝統料理をアレンジした「真鯛のセビーチェ」¥1,400。真鯛の刺身を柑橘の酸味で締め、ハラペーニョをピリッと利かせるのが『ダムブルワリー』流。
イカをからりと揚げた「カラマリフリット¥1,800。サクサクの衣がビールを誘う、無限おつまみ(写真は取材時。現在はサラダ添えなし)。
東京メトロ・虎ノ門ヒルズ駅改札から直結する「T-MARKET」は、インテリアデザイナーの片山正通氏率いるインテリアデザイン事務所「ワンダーウォール」がデザインした、歩くだけでも楽しい街のような空間だ。様々なレストランが集まり、自由に食事も楽しめる。この“街”を見渡すように一番奥に位置するのが、オリジナルのクラフトビールとNYの3つ星レストランで活躍した米沢文雄氏監修のメニューを提供する『dam brewery restaurant』だ。
片山氏は醸造所で出来たてのビールを飲めるシズル感をテーマに、シンプルでモダンな造り、サイネージなどを導入した独特の照明、気分や人数に合わせて選べる個性豊かな客席で店内を構成。店の一角に設置された醸造タンクすら、コンテンポラリーなインテリアのように見える。ふらりと立ち寄りクラフトビールを楽しめるカウンターもあれば、ビジネスディナーにも対応できる落ち着いた雰囲気の”ボックス席“もある。奥の壁には気鋭のアーティスト、友沢こたお氏が「暖かい蝋燭の火が遠くで揺らめいていて、じわっと空間を溶かしていくようなイメージで」描いた作品が飾られ、その引き込まれるような世界観に浸れる。
dam brewery restaurant 住所=東京都港区虎ノ門2-6-1 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー B2F T-MARKET 電話=03-3528-8581 営業時間=平日・土曜11:00~23:00(フードL.O. 22:00、ドリンクL.O. 22:30)、日・祝11:00~22:00(フードL.O. 21:00、ドリンクL.O. 21:30) 定休日=施設に準じる ※完全キャッシュレスTEXT BY REIKO MATSUNOPHOTO BY FUMIAKI ISHIWATA(NDPP.)
❷ 「動き」のある空間から生まれる“賑わい”を楽しむ——バルコニー バイ シックス
『バルコニー バイ シックス』の店内は、135席の広々とした空間。高さや色合いが少しずつ異なる椅子やテーブルが用意され、自分好みの席を見つけるのも楽しい。天井は落ち着いた色の半ミラー。窓の外にはイギリスの「へザウィック・スタジオ」がデザインした中央広場の大屋根「The Cloud」があり、その優美な曲線が映り込む仕掛けになっている。
ペストリーエリア(写真右手前)も含め、調理場はオープンキッチンとなっている。調理の様子を間近で楽しめるカウンター席もある。天井の照明器具は植栽のグリーンをイメージした特注品だ。
麻布台ヒルズ タワープラザ3Fにあるオールデイダイニング『バルコニー バイ シックス』のテラス席。季節を彩る植栽の中にテーブルやソファー席が配置されている。3月中旬の取材時にはマイヤーレモンの実が生っていた。水景を楽しめる石の水路も設えられている。朝の光を感じながら、ここでモーニングメニュ―を楽しむのもお薦め。
大人気のデザートメニュー「6th パンケーキ」は、オーダーが入ってからパティシエがメレンゲを立て、一枚一枚ていねいに焼く。その様子を席から見ることができる。
オープンキッチンの利点は、ふわふわの焼き立てをいち早くお客様に提供できること。美味しさをそのまま届けるための店舗デザインだ。
前身の『6th by ORIENTAL HOTEL』時代から大人気だった「6th パンケーキ」¥1,800。生地にはリコッタチーズやはちみつ、バニラなどが配合され、まずはパンケーキだけで味わってみるのがお薦めだ。ホイップバター、メープルシロップもオリジナルの工夫を加え、美味しさを際立たせる。モーニングの時間帯にはベーコン&目玉焼きと合わせた「アメリカンスタイル」での提供も行っている。
ディナーメニューの一品、「オマール海老のトマトクリームソース リングイネ」¥2,800。贅沢にオマール海老を使い、海老そのものの旨味を引き出すシンプルなトマトとクリームのソースが絡められている。海老をいただく喜びをストレートに感じられる一品だ。
東京・有楽町で人気を博した『6th by ORIENTAL HOTEL』が移転し、新たに麻布台ヒルズでオープンしたオールデイダイニング『バルコニー バイ シックス』。「緑に包まれ、人と人をつなぐ『広場』のような街」という麻布台ヒルズのコンセプトを取り入れた、モダンでありながらもクラシカルな雰囲気を醸した店舗には、笑顔が溢れる、賑わいを生み出すためのデザインやインテリアの工夫が随所に施されている。
まずは開放的なテラス席。椅子とソファー席があり、全体が緑豊かな植栽に包まれている。果実をつけたり、花を咲かせることもある植栽は四季折々、一期一会の自然を感じさせてくれる。さらに水が流れる石の水景もあり、その流れや水の音で「動き」を演出している。広々とした店内はゾーンごとに高さや設えが異なる洗練された椅子やテーブルが配置され、少人数からグループまで、様々なお客様へおもてなしを提供している。また、パティスリーエリアも含めた調理場全体がオープンキッチンとなっており、料理人たちのキビキビとした動きを、食事を楽しみながら見たり、感じ取ることができる。店内の天井のファンは、テラス席の水景と同様の「動き」を醸し出し、半ミラーの天井板に映り込む麻布台ヒルズの中央広場と大屋根「The Cloud」の光景は、外との一体感を生み出している。植栽を意識したグリーンのガラス皿やボウル、花器などを素材に作られた、遊び心溢れる照明器具にも注目してほしい。
3月15日からは、朝8時からの営業となった。モーニング、ランチ、カフェ、ディナーとまさに「オールデイダイニング」としてお客様を迎え入れる。イタリアンをベースとした多国籍料理が自慢で、『6th by ORIENTAL HOTEL』時代から大人気のオリジナルパンケーキやバスクチーズケーキなどのデザートメニューも充実している。賑わい溢れる麻布台ヒルズの中央広場に面した「バルコニー」で、様々な時間を楽しんでみてほしい。
バルコニー バイ シックス 住所=東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ タワープラザ 3F 電話=03-6459-1603 営業時間=8:00~23:00(フードL.O.21:00、ドリンクL.O.22:00)/モーニング8:00~10:30(L.O.9:45)/ランチ 平日11:00~14:30(L.O. 14:30)、土・日・祝11:00~15:00(L.O. 15:00)/カフェ11:00~17:30(L.O.17:30)/ディナー17:30~23:00(フードL.O.21:00、ドリンクL.O.22:00) 定休日=無休 ※電子マネー(PayPay)、交通系IC、各種クレジットカード利用可TEXT BY TAKESHI KONISHIPHOTO BY HIDEHIRO YAMADA
❸ ダイナミックで洗練された空間は、全シーンを受容する“オールデイダイニング”——THE GRILL TORANOMON
広いエントランスを抜けると、壮大なインテリアと、右壁のひと際目立つモニュメントがお出迎え。あらゆる時間、あらゆるシーン、あらゆるメニューを叶えてくれる“オールデイダイニング”は、全ての食の欲求を満たしてくれる。
広い店内の長い通路には、それぞれ印象の違うエリアやシートが用意されている。虎ノ門ヒルズ、ひいては虎ノ門の街全体の“ハブ”としての役割を果たしたいというコンセプトで考えられたインテリアは、多様な用途や異なる表情を凝縮。考え尽くされたデザインが施されている。
海外のレストランを彷彿とさせるロウ・バーはインテリア的にも素敵な雰囲気を醸し出している。たっぷりのクラッシュアイスが張られた上には、常時7種類ほどの新鮮なシーフードがずらり。このロウ・バーの一角のカウンターでは、本格的なオイスターバーのような感覚で、シャンパーニュや白ワイン、シーフードなどを楽しむこともできる。
「“THE GRILL”シーフード・プラッター」¥5,280。その日のお薦めシーフードをロウ・バーからセレクトして5種類ほどをプラッターに。「カキを多めに」といったリクエストにも応えてくれるそう。2〜4名様分。
「オーストラリア アンガス牛サーロイン 赤ワインソース」¥4,730。穀物飼育で飼育期間を長く設定した「ロングストリップロイン」を使用し、シンプルにグリルしたコクのあるすっきりとした人気のひと品。付け合わせはケールとブロッコリーを掛け合わせた野菜「アレッタ」。
「イチゴとシャンパンのパルフェ」¥1,760(取材時。現在はピスタチオに変更)。フレッシュなイチゴを中心に、バンナコッタ、バニラや苺のアイス、何種類かのフルーツソースに散りばめたクラッシュのシャンパンゼリーが、華やかさを醸し出す大人のデザート。
今年1月にオープンした『THE GRILL TORANOMON』は、虎ノ門ヒルズ 森タワーとステーションタワーを繋ぐ開放的なデッキフロアにひと際存在感を放つダイニング。エントランスを抜けると流れる川と風、そして止まり木をイメージした壮大なモニュメントが出迎えてくれる。自然や人、そしてビルに来た人、通る人のコンフォタブルな止まり木のような存在、そんなサジェスチョンを感じさせるようなインテリアやオブジェたち。店内に入って驚くのは、テラスのある大きな窓から陽光降り注ぐ広々とした空間。オープンキッチンを中心として東京タワーの見えるテラス席63席を含め、177席が用意されている。様々なシーンに対応できるようエリア別に印象の異なるインテリアデザインのシートが目を楽しませてくれる。
メニューは、基本的にシンプルで年代を問わず美味しくいただける欧風グリル。ランチは「自家製ハンバーグステーキ デミグラスソース」(180g・サラダ、パンかライス、ドリンク付き)¥2,090や「欧風ビーフ・カレー」(サラダ、ドリンク付き)¥1,760など、馴染み深い料理をプロの料理人がリッチに昇華したメニューが並び、使い勝手の良さから様々なお客様で賑わっている。また、夜ともなれば、しっかりしたディナーのほか、カフェやバーとして楽しんでいる方もちらほら。店の一角には、レストランでは珍しく氷を張ったロウ・バーが設えられており、生牡蠣をはじめ新鮮なシーフードが配されている。オイスターバーのように軽くつまみを食べるのも良し、ディナーのスターターとしてシーフード・プラッターを楽しむのも良し、なんといっても夜景とロウ・バーは海外のレストランのようで、その雰囲気もごちそうだ。
総じてこちらの店の真骨頂は、通し営業であること。オープンしている時間であれば、食事のスタイルを問わず、カフェ、バーとしても利用可能な、全ての食のスタイルを受け入れてくれる“オールデイダイニング”だ。朝から夜までクリエイティブ、かつ時間を選ばず自由に食に関するニーズに応えてくれる——これからの時代を象徴するような、あらゆる食の欲求を満たしてくれる、卓越したインテリアの「コンフォート・ダイニング」なのである。
THE GRILL TORANOMON 住所=東京都港区虎ノ門2-6-1 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 2F 電話=03-6630-5220 営業時間=平日11:00〜23:00(フードL.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)、土曜11:30〜23:00(L.O.22:00)、日・祝 11:30〜22:00(L.O.21:00) 定休日=無休 ※各種電子マネー、交通系IC、各種クレジットカード利用可TEXT BY AKIRA TANAKAPHOTO BY HIDEHIRO YAMADA
※ 2024年4月現在の情報となります。 ※ 表示価格は全て税込価格です。
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