RECIPES FOR SUMMER HOLIDAY

じっくり時間をかけてでも作りたい! 名店シェフが教える至高のレシピ

ステイホームが続く中、メディアに溢れる「簡単、お手軽アレンジレシピ」。ですが、時間のあるこの時期だからこそ、その真逆を行く、完成までに気が遠くなるほど時間のかかる料理に挑戦してみせんか? ゆっくりじっくり料理に集中して、家族や仲間を喜ばせましょう!

PHOTO BY CHISATO NOGUCHI(NDPP.)
EDIT BY TM EVOLUTION.INC

❶ カラフルな野菜が織り成す、まるでアートのようなひと皿
——sanmi Lab(サンミ ラボ)

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1/6お店のスペシャリテである野菜のマリネ「33 Vegetable」¥1,533。約33種類の野菜を使い、見ているだけでも豊かな気分になれる華やかで美しい盛り付けが魅力。「これは私の修業時代に、師匠から教わった思い入れのある料理です」と玉水シェフ。
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2/6根菜は2〜3ミリの厚さ2.5センチのいちょう切り、パプリカなどはそれと同じくらいの大きさに切る。生で使用する野菜は洗った後、プチトマトなら半分に、根菜は2〜3ミリになど、マリネにする方の野菜に合わせて適宜切っておく。
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3/6マリネ液の材料を鍋に入れて沸騰させ、湧いてから弱火にして3分ほど煮立たせる。そして、火を止めて鍋に蓋をして約30分間蒸らす。大きなボウルの上に濾し器を置き、鍋の中身を濾して液体だけにする。液の2/3は鍋に戻し、1/3はボウルに入れ、氷水を入れたボウルの上に置いて冷やす。鍋に戻したマリネ液を再び沸かし、野菜はその硬さに合わせて、食感を残せるくらいに火を通す。野菜を色の薄いものから1種類ずつ、例えば硬い大根なら熱いマリネ液に1分ほどくぐらせ、その後、冷たいマリネ液のボウルに移して、それぞれ30秒〜1分ほど冷やす。全ての野菜をくぐらせたら熱いマリネ液も冷ましてから冷たいマリネ液と一緒にし、液と野菜をタッパーに移して冷蔵庫でひと晩冷やす。1週間は日持ちするので、この際10人前くらい、たくさん作って冷蔵庫で保存して少しずつ食卓へ。
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4/6平たい皿にマリネした野菜とカットしておいた生野菜を盛り付ける。皿の中央から右にずらした縦方向に、軽い野菜を手前からピンセットか箸を使って盛り付けていく。なるべくマリネした野菜を下に、生野菜を上に、色合いも考慮しながら盛り付けていく。生の水菜などは最後に上から散らすように盛る。
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5/6野菜を盛り付けたら、香りを出すため、洗ったレモンの皮を野菜の上から削ってかける。白バルサミコ酢のヴィネグレットは、材料をボウルに入れて泡立て器で混ぜ合わせる。
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6/6乾燥させたビーツのパウダーを茶漉しに入れて、写真を参考にして盛り付けた野菜とクロスするように振りかける。野菜に白バルサミコ酢のヴィネグレットをかけて完成。ビーツパウダーはビーツの皮をオーブンで65〜70度のドライモードで5〜6時間乾燥させた後に粉砕して作るが、家庭では難しいため市販のカシスパウダーでも代用可。

『虎ノ門ヒルズ』にある『sanmi』は、その名の通り“酸味”を大切にしたイノベーティブフレンチとワインのペアリングを楽しむフルコースレストラン。そして、『sanmi Lab』は、玉水正人シェフがフレンチを基本に料理のジャンルを越えて作るアラカルト料理と、33種類のグラスワインのペアリングを楽しめるレストランバーだ。

フランスの2ツ星レストランで腕を磨いた玉水シェフは、伝統的な技術を生かしたモダンフレンチを得意とする。今回、作り方を紹介してくれたスペシャリテである野菜のマリネ「33 Vegetable」は、約33種類もの野菜を、マリネと生を取り混ぜて美しくプレートに盛った料理。『sanmi』のコンセプトである“酸味”の重要性を意識しながら、野菜が主役のひと皿に仕上げたという。

それは、食す人の心と身体の健康を願う逸品。塩味、甘味、酸味が複雑に混ざり合い、独特の深みとまろやかさを醸し出している。生野菜のシャキシャキ感と、マリネしても食感が残る根菜との出逢いも絶妙だ。白やスパークリングワインと合わせて楽しみたい。今回、シェフが味の決め手となるマリネ液のレシピを10人前で計算し公開してくれた。入手できない野菜があれば、ほかのもので代用したり、種類が減ったりしてもOK。1週間は日持ちするので、冷蔵庫で保存も出来る。作り方は下段のレシピ欄にて紹介。完全にプロと同じとはいかなくても、その素晴らしいレシピを家で再現してみよう。 
 

 

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1/3ワインはブルゴーニュ地方を中心に、カリフォルニアや南米、オーストラリアなどからと多彩。グラス¥500〜¥15,000、ボトルで¥5,000〜¥200,000のものまで幅広くオンリスト。グラスワインが約33種類あり、「グラン・クリュ」と呼ばれる最高級のものから個性溢れる自然派ワイン、古酒まで、料理とのマリアージュを楽しめるワインが揃う。迷ったらソムリエにアドバイスを求めよう。
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2/3『虎ノ門ヒルズ・森タワー』の屋内ではあるが、まるで屋外のオープンテラス席のような設計になっている。この時期、広々とした風が通る空間で食事ができるのは何より嬉しい。テーブル席のほか、カウンター席もあるので、仕事帰りにひとりで立ち寄ってもいい。
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3/3玉水正人シェフ。フランス・オーヴェルニュ地方クレルモン=フェランのレストラン『Le Pre’ Xavier Beaudiment』で香りとテロワール(土地や気候の要素)を生かした自然料理を学ぶ。帰国後、名古屋でシェフを務める。より一層厳しい環境で研鑽を積むため上京。代官山のレストランでスーシェフを務めた後、『sanmi』のシェフに就任。古典フレンチに加えイノベーティブなモダンフレンチを得意とする。野菜のマリネ「33 Vegetable」は店内で注文できるほか、テイクアウトも可能。普段は一度に200人分を仕込むという。

TEXT BY YOSHIKO NAKASHIMA

sanmi Lab(サンミ ラボ) 住所 東京都港区虎ノ門1-23−3 虎ノ門ヒルズ森タワー2F 電話 03-5860-9570 営業時間 11:30〜15:00(L.O.14:00)/18:00〜22:00(フードL.O.21:00) 定休日 日曜 ※要予約 ※価格は税別 ※クレジットカード使用可(キャッシュレスのみ対応で現金は使用不可) ※月額980円で会員になるとワインを割引の会員価格で提供 ※虎ノ門ヒルズ各施設では、新型コロナウイルスの感染拡大防止の予防対策を徹底し営業を再開しております。また一部の店舗では営業時間を短縮、もしくは臨時休業を継続しております。ご来店の際には事前に各店舗へお問い合わせください

❷ フォアグラ入りのゴージャスな和牛ハンバーグ トリュフソース
——Réglisse(レグリス)

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1/5フランスの郷土料理「カイエット」にも似た、“おめかしハンバーグ“。もともと店舗でも様々なソースを用いたハンバーグを提供してきたものを、今回はアレンジしている。
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2/5フォンドヴォー及びトリュフソースの材料がこちら。ハンバーグのつなぎ材料は敢えて使わず、しっかりと捏ねてまとめるのがプロの秘訣。家庭でどうしてもまとまらない場合は、L玉2個分の卵白を別途使用する。
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3/5マデラ酒、ポルト酒を煮詰める際に、強火にせず、中火でじっくりと時間をかけるのがコツ。ソースが濁らず、美しい艶が出る。
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4/5トリュフアッシェ(トリュフの粗みじん切り)は、ハンバーグ1人前のソースに対して10g程度を目安に、好みの分量を加える。
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5/5ソースでいただくハンバーグなので、決め手はやっぱりフォンドヴォー。牛骨からの味の深みを引き出すには、焦らず、しっかりと時間をかけて煮出す。

洋食でキャリアをスタートさせた波多野シェフが、本格的にフレンチに取り組み、やがてジビエ料理へと発展。洋食、フレンチ、ジビエの3要素がひとつにまとまり、気軽に楽しめるカジュアルフレンチレストラン『レグリス』となった。

けやき坂歩道橋を渡り、レジデンスB棟3階に店舗を構える『レグリス』では、国内の猟師から鹿や猪などを直接購入。なんとこの店では通年、ジビエ料理を楽しめる。ジビエ料理のシーズンとなる秋冬はもちろん、春夏のあっさりしたジビエもまた美味。しかも鹿肉の腿(もも)、脛(すね)肉を使ったオムライスや、キーマカレーなど、洋食のテイストで、誰もが親しみやすくしているのが特徴だ。

最近では、ハンバーグの宅配サービスも大好評。真空パック、冷凍状態で届けられ、13分湯煎して温めるだけで『レグリス』の味が楽しめる。メニューは「チーズin和牛ハンバーグ トリュフソース」と「フォアグラ入り信州ジビエハンバーグ」の2種類。HPもしくは電話にてオーダーを受け付けている。
 

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1/2一頭買いもしくは半頭買いした蝦夷鹿と本州鹿の角に、「レグリス」イメージカラーのシルバーグレーを塗装。鳩の羽根を添えて、枝葉に見立てたオーナメント。シェフ自ら手掛けている店内の装飾は、毎年、少しずつ形を変え、趣向を凝らしている。
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2/2「フォンドヴォーは、一度沸かして、アクを取ったあとは、なるべく水分を飛ばさないように、弱火で表面が軽くポコポコする程度で、鍋の対流をキープしてください。最終的に1割の水分が飛ぶ程度が目安です。鍋の中身は掻き混ぜず、材料をこがさず、野菜類が自然に煮崩れるようにしてみてください」と、波多野 猛シェフ。

TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA

Réglisse(レグリス) 住所 東京都港区六本木6-12-2 六本木ヒルズ けやき坂通り3F 電話03-6804-3306 営業時間 ランチ11:30〜15:00/ディナー18:00〜23:00  定休日 月曜 ※クレジットカード使用可 ※六本木ヒルズ等各施設では、新型コロナウイルスの感染拡大防止の予防対策を徹底し営業を再開しております。 また一部の店舗では営業時間を短縮、もしくは臨時休業を継続しております。ご来店の際には事前に各店舗へお問い合わせください。