ステイホームが続く中、メディアに溢れる「簡単、お手軽アレンジレシピ」。ですが、時間のあるこの時期だからこそ、その真逆を行く、完成までに気が遠くなるほど時間のかかる料理に挑戦してみせんか? ゆっくりじっくり料理に集中して、家族や仲間を喜ばせましょう!
PHOTO BY CHISATO NOGUCHI(NDPP.)
EDIT BY TM EVOLUTION.INC
❶ カラフルな野菜が織り成す、まるでアートのようなひと皿
——sanmi Lab(サンミ ラボ)
『虎ノ門ヒルズ』にある『sanmi』は、その名の通り“酸味”を大切にしたイノベーティブフレンチとワインのペアリングを楽しむフルコースレストラン。そして、『sanmi Lab』は、玉水正人シェフがフレンチを基本に料理のジャンルを越えて作るアラカルト料理と、33種類のグラスワインのペアリングを楽しめるレストランバーだ。
フランスの2ツ星レストランで腕を磨いた玉水シェフは、伝統的な技術を生かしたモダンフレンチを得意とする。今回、作り方を紹介してくれたスペシャリテである野菜のマリネ「33 Vegetable」は、約33種類もの野菜を、マリネと生を取り混ぜて美しくプレートに盛った料理。『sanmi』のコンセプトである“酸味”の重要性を意識しながら、野菜が主役のひと皿に仕上げたという。
それは、食す人の心と身体の健康を願う逸品。塩味、甘味、酸味が複雑に混ざり合い、独特の深みとまろやかさを醸し出している。生野菜のシャキシャキ感と、マリネしても食感が残る根菜との出逢いも絶妙だ。白やスパークリングワインと合わせて楽しみたい。今回、シェフが味の決め手となるマリネ液のレシピを10人前で計算し公開してくれた。入手できない野菜があれば、ほかのもので代用したり、種類が減ったりしてもOK。1週間は日持ちするので、冷蔵庫で保存も出来る。作り方は下段のレシピ欄にて紹介。完全にプロと同じとはいかなくても、その素晴らしいレシピを家で再現してみよう。
「野菜のマリネ」の作り方(10人分)
●マリネ用の野菜
大根、黒大根、ビタミン大根(各1/3本)、カリフラワー、黄パプリカ、赤パプリカ、ズッキーニ、玉ねぎ、レンコン、カブ、ニンジンなど各1個
●生で使用する野菜
プチトマト(赤、黄、黒、緑)、紅しぐれ大根(1/3本)、からし水菜、水菜、赤キャベツ、ブロッコリースプラウト、スプラウト、セルフィーユ、マイクロセロリ、ラディッシュ、きゅうり、ハーブなど各適量
●マリネ液(10人分)
水———————————————————————1ℓ
砂糖——————————————————————90g
塩———————————————————————10g
米酢——————————————————————100g
白ワインヴィネガー ———————————————10g
シャンパンヴィネガー ——————————————5g
白バルサミコ酢—————————————————5g
レモン果汁———————————————————10g
ニンニク————————————————————3片
セロリの葉———————————————————20g
コリアンダー(ホール)—————————————5g
ローリエ————————————————————1枚
レモンの皮(上から削る用)———————————1/4個分
●白バルサミコ酢のヴィネグレット(10人分)
オリーブオイル—————————————————150g
白バルサミコ酢—————————————————45g
ハチミツ————————————————————5g
塩———————————————————————8g
白胡椒(パウダー)———————————————少々
マスタード———————————————————5g
TEXT BY YOSHIKO NAKASHIMA
❷ フォアグラ入りのゴージャスな和牛ハンバーグ トリュフソース
——Réglisse(レグリス)
洋食でキャリアをスタートさせた波多野シェフが、本格的にフレンチに取り組み、やがてジビエ料理へと発展。洋食、フレンチ、ジビエの3要素がひとつにまとまり、気軽に楽しめるカジュアルフレンチレストラン『レグリス』となった。
けやき坂歩道橋を渡り、レジデンスB棟3階に店舗を構える『レグリス』では、国内の猟師から鹿や猪などを直接購入。なんとこの店では通年、ジビエ料理を楽しめる。ジビエ料理のシーズンとなる秋冬はもちろん、春夏のあっさりしたジビエもまた美味。しかも鹿肉の腿(もも)、脛(すね)肉を使ったオムライスや、キーマカレーなど、洋食のテイストで、誰もが親しみやすくしているのが特徴だ。
最近では、ハンバーグの宅配サービスも大好評。真空パック、冷凍状態で届けられ、13分湯煎して温めるだけで『レグリス』の味が楽しめる。メニューは「チーズin和牛ハンバーグ トリュフソース」と「フォアグラ入り信州ジビエハンバーグ」の2種類。HPもしくは電話にてオーダーを受け付けている。
「和牛ハンバーグ トリュフソース」の作り方
●和牛ハンバーグ(2人分)
和牛挽き肉(肩、首、外腿)———————————0.7kg
和牛赤身挽き肉—————————————————0.3kg
(※部位別で入手できない場合は、和牛挽き肉1kg)
塩———————————————————————14g
黒胡椒—————————————————————2.5g
ナツメグ————————————————————1g
オニオンコンフィ————————————————100g
オニオンアッシェ(みじん切り)—————————100g
煮詰めたフォンドヴォー —————————————100cc
フォワグラ———————————————————30g
① 玉ねぎをスライスして、水分を飛ばし、キツネ色になるまで炒め、「オニオンコンフィ」を作る
② フォンドヴォー(※後述)を煮詰めて濃縮したものを100cc程度、用意する
③ 挽き肉合計1kgに塩を混ぜてよく捏ね、粘り気を出す。肉の脂分を溶かさないように、夏は氷を張ったボウルの上で冷やしながら混ぜる。この時、まとまりが悪い場合は、L玉2個の卵白だけを使う
④ さらに、フォワグラ以外の材料を入れ、しっかりと混ぜ合わせる(A)
⑤ フォワグラを(A)で包み、成形する
⑥ フライパンでこんがりと香ばしく焼き上げる
●トリュフソース(2人分)
マデラ酒—————————————————————300cc
ポルト酒—————————————————————50cc
フォンドヴォー ——————————————————300cc
フォアグラ————————————————————適量
コーンスターチ——————————————————適量
バター ——————————————————————適量
トリュフアッシェ—————————————————適量
① マデラ酒、ポルト酒を1/3量程度まで煮詰め、フォンドヴォー(※後述)を加えて、ひと煮立ちさせる
② コーンスターチ(なければ片栗粉でもOK)でとろみを出す
③ フォアグラ、バターを加えて濃縮した味わいを出す
④ 1人前で10g程度を目安に、好みの分量のトリュフアッシェ(粗切り)を加えて仕上げる
●フォンドヴォー(2人分)
仔牛骨——————————————————————3kg
牛スジ——————————————————————1kg
玉ねぎ——————————————————————2個
ニンジン—————————————————————2本
根セロリ—————————————————————250g
にんにく—————————————————————1個
トマト——————————————————————2個
トマトペースト——————————————————100g
岩塩———————————————————————20g
黒胡椒——————————————————————30粒
ローリエ—————————————————————2枚
① 仔牛骨を250℃のオーブンで約40〜50分。焼き色が付き、肉の水分が無くなるまでしっかりと火を通す。
② 牛スジはフライパンで焼き色が付くまで炒める
③ 玉ねぎ、人参、根セロリを5〜6センチ程度にカット。フライパンで香ばしく焼き色を付けながら、甘みと香りが出るように炒める
④ トマト、トマトペーストを入れ、掻き混ぜながらトマトの酸味を飛ばす(B)
⑤ 鍋に仔牛骨、牛スジ、(B)、その他の材料を入れ、水をひたひたになるように注ぐ
⑥沸かさないように火加減に注意しながら、弱火で7時間ほどかけて煮出していく
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
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