餃子とビールは当たり前。意外な組み合わせと思うなかれ、シャンパンと餃子をテーマにする店、ワインの充実した餃子専門店……これが想定外のマリアージュを奏でます。リピート必至、発見のある3軒をご紹介します。
EDIT BY TM EVOLUTION.INC
考え抜かれた餃子×シャンパン、唐揚げ×シャンパンの妙味
——Cave Cinderella(カーヴ・シンデレラ)
この店のテーマは、「頭で理解するシャンパン」。例えば、同じ葡萄比率でも造り手の違いで変わるシャンパンの味わい、同じ葡萄で造ったドサージュ(リキュールによる補糖)ありとドサージュなしの相違など……。飲み手がその豊かなバリエーションを体感し、ニュアンスの異なる世界を楽しみ、記憶し、シャンパンの奥深い魅力を発見してほしい、という店主の想いを表現した空間だ。
約100種揃うシャンパンに合わせるのが、餃子と唐揚げ。中でもシグネチャーメニューとなるのが餃子。それとシャンパンのマッチングを提唱した開祖が店主だ。その餃子は、5年かけて試行錯誤を重ねたという逸品。過度な味付けをせず、野菜の歯ごたえを際立たせ、香ばしく焼き上げられた餃子は、シャンパンの味を邪魔しないよう、醤油やラー油ではなく、レモンと塩で食す。
もうひとつの推しである唐揚げをはじめ、トリュフサラミやオリジナルチップスといった様々な前菜、出汁と野菜を使ったメニュー、締めのそうめんやパスタまで、しっかりディナーも楽しめる。もちろん、2軒目、3軒目のシャンパンバー利用としても。実に個性的な、「人に自慢したくなる」西麻布の隠れ家である。
TEXT BY KAZUHIDE TAIRA
PHOTO BY SHO KATO(DAISAKU NISHIMIYA OFFICE)
具の肉を選んで注文できる絶品焼餃子
——餃苑 わさ(ギョウエン ワサ)
ここ『餃苑 わさ』の料理の中でも突出しているのが焼餃子だ。野菜は茨城産、青森産のニンニクや鳥取・日光の生姜など、厳選した食材を使い、秋田県白神山地の天然水でひとつ一つ丁寧に蒸し焼きにしている。さらに特筆すべきは具の肉の種類を選べること。高坂鶏、愛農ナチュラルポーク、梅山豚、天城黒豚、松坂豚、米沢豚など、丹念に育てられた希少豚・鶏を使っている。
肉の種類の違いによる様々な美味しさを楽しめるのはもちろん、ひと口目はそのままで、ふた口目は澄んだラー油で、三口目は唐辛子入りラー油でと味を変えて楽しめるのも嬉しい。料理を取り仕切るシェフの山下昌孝さんは、イベリコ豚や他の鶏肉なども研究中。今後はまた種類も増える予定だそう。肉汁が溢れる餃子は、しっかり肉が入っているのにサクッとして、いくつでも食べられそうだ。
シャンパーニュは、「大手のメゾンではなく、小規模な生産者から選んで入れています」とシニアソムリエの花田敬大さん。お勧めしてくれた「フルール・ド・リョーロップ」は、香りが華やかで餃子をはじめとする中華全般にとてもよく合う。
TEXT BY YOSHIKO NAKASHIMA
PHOTO BY FUMIAKI ISHIWATA(DAISAKU NISHIMIYA OFFICE)
フレンチの豚肉料理から始まった餃子を
——スタンドシャン食TOKYO新橋虎ノ門(スタンドシャンショクトーキョーシンバシトラノモン)
お祝い、ハレの日の飲み物というイメージが強いシャンパンを、もっと普段から楽しもうというコンセプトの店。系列の『シャンパン+ビストロ』のメニュー「豚肉のロースト」から派生して、“フレンチのファストフード”という新感覚の餃子を考案した。シャンパンやワインの酸味に合う餃子を提供している。
ニラを使わず軽めの口当たりなのが特徴。ニンニクあり、なしが選べるのと、豚肉に替えて大豆ミートを使ったビーガンギョーザも提供する。「白トリュフオイルと岩塩をかけて食べるのがお勧めです」と店長の坂井勇一さん。白トリュフの深みが加わり、やみつきになる美味しさだ。
ほかにも料理はフレンチビストロの定番や軽いおつまみなど、シャンパンに合う品揃え。1軒目に餃子と料理をしっかり食べても良し、2軒目に軽く餃子とシャンパンを飲んでも良しと、都合によって使い分けができるのも嬉しい。毎日OPEN~18:30は、ハッピー泡!(Happy Hour)を行っており、グラス・シャンパンが¥500~で楽しめるほか、全グラス・シャンパンの割引も行っている。
TEXT BY YOSHIKO NAKASHIMA
PHOTO BY YUJI YAMAZAKI(DAISAKU NISHIMIYA OFFICE)
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