予約困難な中華料理店として知られた目黒区八雲の「中華料理わさ」が、「けやき坂 わさ」と店名を改め、六本木ヒルズのけやき坂へ移転リニューアル。食通の支持を集めた山下昌孝シェフの究極の手作り餃子と厳選素材を駆使したこだわり抜いた中華料理をお楽しみあれ。
TEXT BY Megumi Komatsu
PHOTO BY Tamon Matsuzono
Top Image: ©M.I.T INC.
シェフが厳選素材を駆使して作る
極上の中華をカウンターで
——「けやき坂 わさ」
「中華料理 わさ」で名声を確立し、しばらくの充電期間を経てパワーアップした店主の山下昌孝さん。1月下旬に六本木ヒルズに移って始めた新店は、凛としたカウンターに6席のみを用意した、割烹のような中華料理店だ。
作家物の和食器で出されるアラカルトは、炒飯や春巻、麻婆豆腐、担々麺など、みんなが知っているシンプルなものが中心。敢えて山下さんに理由を尋ねれば、「美味しさを追及していくうちに、四川料理や広東料理などのジャンルにも、食材や技法についても、中国料理にとらわれなくなった」と言う。「それでも口の中のどこかで中華のエッセンスは感じてもらえると思います。一番大切にしているのは、同じものを毎日同じ味で作るために、丁寧な仕事を続けることですね」
そんな山下さんの手にかかれば、おなじみの定番メニューも、想像を超えた非凡な味わいに。実は山下さん、理想のおいしさを出すために、厨房で凄まじい手間をかけているとか。「丁寧な調理に勝るおいしさはないと思うんです」と話す表情は、真剣そのもの。滋味溢れる非凡な中華を、美酒と共に満喫されたい。
中華料理「けやき坂 わさ」場所 六本木けやき坂通り 3F
客席 8席
営業時間 18時〜23時(ラストオーダー21時)
選り抜きの素材に手間をかけ
こだわり抜いた自家製餃子
——「餃苑 わさ」
「餃苑」という店名が示す通り、餃子が主役の中華料理店。店主の山下昌孝さんは数年前から餃子の試作を始め、遂に今年、納得のいく餃子を完成させることができたのだとか。「ひと口目でおいしいと感じるものは食べ続けると味覚が疲れてしまいますので、僕の餃子は咀嚼を始めて13回から16回のところにおいしさがヒットするようにしています。餃子の大きさや皮の薄さは、1個あたりの咀嚼回数を考えながら決めました」と、山下さん。
そんな餃子は「愛農ナチュラルポーク」「梅香豚」、そしてイタリアの「チンタネーゼ」を使った3種類。基本の具材は豚肉とショウガ、ニラ、キャベツとオーソドックスだが、各食材を最高の状態で使うための下ごしらえは驚くほど徹底的だ。たとえば豚肉は何%の水分を抜くとおいしくなるかを研究し、その数値まで水分を抜いてから挽いて使用。ニラは特有の香りを残しながら余分な匂いを取り除くため、切った後、一定の時間おきにキッチンペーパーを変えるという。自家製のラー油にも、こだわりが満載。究極の餃子につけて味わってみて。
中華料理「餃苑 わさ」
場所 六本木けやき坂通り 3F
客席 18席
営業時間 18時〜23時(ラストオーダー22時)
PRICE 「餃苑 わさ」は10,000円〜、「けやき坂 わさ」は30,000円〜 SEATS 「餃苑 わさ」はテーブル席のみ、「けやき坂 わさ」はカウンター席のみ ATMOSPHERE 両店ともにモダンでスタイリッシュ。グルメな友人との会食や、記念日に CHEF 山下昌孝|Masataka Yamashita 1979年、神奈川県生まれ。調理師学校卒業後、広東料理店「福臨門酒家」を経て、四川料理店「epicer」で勤務。その後、岐阜「開花亭」で修業し、2009年に「わさ」開業
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