IKUKO’S METHOD

もうパーカーとは呼ばないで! 春のフーディ、フーディ——地曳いく子のおしゃれメソッド37

ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回は、進化したフーディについてのお話です。

STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA

01_img_1630
1/12リネンの透け感が軽やかなインナースリップ付きワンピース。前を開けてコートのようにして羽織っても素敵ですし、ベルトでアクセントをつけても。大人のフーディとして取り入れたい一枚。ワンピース¥52,000(エブール/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F
02_img_1649
2/12スウェットのフーディとプリーツスカートが合体(ちなみに、別々にはなりません)。これを着るだけでスタイルが完成する便利な一着。ベルトをするとドレッシー。外してカジュアルに着てもOK。肌寒いうちは、ショートブーツに合わせてもかわいいですよね。ワンピース¥56,000(メゾン ミハラヤスヒロ/表参道ヒルズ 本館B1F
03_img_1613
3/12Aラインのシルエットがフェミニン。後ろ下がりのヒップを覆い隠すデザインは、オトナ女史の強い味方。これならレギンスが苦手な人も、スポーティーなスタイルを楽しめます。ジップアップフーディ¥27,000(リラクス フォー ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F
04_img_1635
4/12爽やかな印象のフード付きブラウス。この透け感を活かし、夏はノースリーブのワンピースの上に合わせても素敵です。ブラウス¥34,000(エブール/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F
05_a_img_16381636
5/12前が短く、後ろがコクーンになったショート丈フーディ。ボリュームのあるマキシスカートや、ハイウエストなワイドパンツとの組み合わせて、かっこいい大人のカジュアルを。フーディ¥33,000(ワイスリー/表参道ヒルズ 本館B1F
06_a_img_16081605
6/12前はシンプルでストイック。でも侮ることなかれ。バックに日本のカルチャー背負っています(笑)。フーディ¥40,000(ワイスリー/表参道ヒルズ 本館B1F
07_img_1640
7/12ダメージの穴あきまわりにはキラキラのチェーン装飾。ロックですが、白のフーディを選べばエレガントな雰囲気も。フーディ¥36,000(メゾン ミハラヤスヒロ/表参道ヒルズ 本館B1F
08_img_1645
8/12ノースリーブのフーディとスウェットを融合させた個性的な一着。ノイズのある遊びがお洒落心をくすぐります。フーディ¥33,000(メゾン ミハラヤスヒロ/表参道ヒルズ 本館B1F
09_img_1615_2
9/12光沢感がエレガントなブルゾン。ドルマンスリーブの七分丈の袖をクシュっと絞って捲り上げ、全体的にバルーンなシルエットで楽しんでください。着てみると、ふわっとしたボリューム感が可愛いです。ブルゾン¥57,000(セヤ/エストネーション/六本木ヒルズヒルサイド1F&2F
10_img_1616_2
10/12可愛いと思って手に取るとウールリッチのものが多く、今季気になるブランドのひとつ。カジュアルな印象ですが、細身のデザインなので大人っぽいシルエットに。コート¥59,000(ウールリッチ/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F
11_img_1620
11/12かなりユニークなデザインのナイロンコート。独創的なフォルムだと、黒でも地味になり過ぎずスタイリッシュに着こなせます。ナイロンコート¥55,000(ワイスリー/表参道ヒルズ 本館B1F
12_img_1604
12/12薄めのブルーがきれいなフード付きコート。ふわっと羽織ったら春気分に。襟の立ち具合も美しく大人のカジュアルを演出します。コート¥76,000(タトラス フォー ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

もうパーカーとは呼ばないで

フード付きのスウェットシャツ。これを日本ではパーカーと呼び、長い間その呼び名で親しまれてきました。ところが、いつの間にか“フーディ”と本来の意味で呼ぶことが、ファッショニスタの間で基本となりつつあるようです。やはりそこにもファッションの多様化の波が押し寄せてきているからではないでしょうか。フード付きのアイテムも素材や形が進化し、今までイメージしていたものだけではなくなったからこそ、日本でもフーディが定着しつつあるのだと思います。フードと言えば、かつては若い子の特権でありカジュアルなアイテムの代名詞、または、マウンテンパーカーしかり機能性を備えたアウトドア用アウター(本来のparkaはこちらの意味)でした。けれども、最近展示会を回っていて気になるのは、フード付きのワンピースやブラウス。パーカーと呼ばれたフーディも、袖や裾がリブオンリーではなく様々、シルエットもコクーンタイプが出てきたりと、オトナ女史にもすっと馴染む進化型が多くあります。そこで今回は、多様化する春のフード付きのアイテムをセレクトしてみました。

地曳いく子が指南する
オトナ女史向けフーディのススメ

❶ 首は人それぞれ

実は首って驚くほど個体差があるんです。長かったり、細かったり、ぱっと見ただけで、その人の印象を決めてしまうほど。ですが、首が短くて太いからフードは似合わない、なんて思わないでください。要は、首とフードのボリュームとのバランスなのです。「フードが付いていると顔が小さく見える都市伝説」もあるぐらい、フードは首の個性を補う有効アイテムでもあるのです。首回りのフードの量感や、立ち具合で印象は変わってきます。肩の落ち方や、袖の長さとのバランスでも全く違います。一見ハンガーに掛かっているとどれも同じに見えますが、フーディを侮ることなかれ。とにかく気になったら試着。自分にしっくりとくるバランスを探してみて下さい。

❷ フーディで体型カバーができる時代

着丈のバランスやシルエットに幅があるのが今年。特に気になるのが、前上がり後ろ下がりのコクーンシルエット。かつてのパーカーは、なぜか腰骨の一番太い位置という中途半端な丈が多く、デニムと穿くと残念な気持ちになることが多かったのですが、今年は絶妙なトレンド感で思いっきり隠してくれます。不得意なところは隠す。得意なところは出す。フーディで体型カバーができる時代がやってきました。

❸ ノイズこそが今年らしさ

素材や形のバリエーションが増えたフーディ。かなり個性的なデザインや、ちょっと大きすぎるかなと思うぐらいのボリュームの違和感を取り込むのがポイント。春だからこそ新しさを取り入れたい。そのためにも、ベーシックなものより、ノイズがあるアイテムを選ぶと今年らしさがアップします。

profile

地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持つ。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)、『買う幸福』 黒田知永子との共著『おしゃれ自由宣言』(ダイヤモンド社)(小学館)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)など多数。