RAIN in monaco

ブラヒロシ六本木ヒルズ周辺——INSTANT FLOW extra #1

インスタで取り上げられた事象をリアルに体験する藤原ヒロシの連載「INSTANT FLOW」の番外編。たまには歩きながら話を聞くのもいいでしょう、ということでかつて登場した場所へ。歩くhfの姿をコマ送りでお楽しみください。

TEXT BY HF WATCHING COMMITTEE (HWC)
PHOTO BY SHOICHI KAJINO

傘が嫌いだから雨も嫌い。そんなhfの六本木の雨散歩

昨日までの晴天が嘘のような、シトシト雨が降り続く入梅の6月某日。(ちなみに翌日からは晴れ)hfの秘密の散歩道を教えてもらおうということで、我々は六本木ヒルズ内にあるロボロボ園(さくら坂公園)に集まった。降り続く雨の中、「本当にやるんですね」と、明らかにご機嫌じゃないモードでジャケットのフードを目深に被るhfが、傘もささずに歩く。その姿は……、あまりにも怪しい。ロボロボ園を出発し、南アフリカ共和国大使公邸前を足早に過ぎ、ドン突きを右手に逸れる。

ここ角度から。好き。

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そこに突如現れるのは、以前hfが「INSTANT FLOW#4」3月7日「好きな角度」で紹介していた写真を撮影したという場所、リゾート地みたいな階段の小道だ。

「モナコみたいじゃないですか?」と彼が言うのだから、きっとモナコはこんな感じのところなのだろう。人がやっとすれ違える程の細い小道。私有地のようなので、詳細は伝えられないが、雨に濡れた植栽や石畳に情緒を感じる。よいではないか、雨の散歩道。彼の同意は得られないけど。

「歩くのが好きなわけじゃないんで、散歩は基本的にしませんが、どこかへ行くのには歩いて移動することが割と多いです。この道も『エクアトゥール』を訪れるのに、Googleで検索したら出てきたルート。そう、Google先生に教えてもらったんです」(hf)。ちなみに「エクアトゥール」は食べログで星4.74をマークするフレンチレストラン。「さあ帰りましょう」(hf)。え。もう? 開始5分で散歩終了ー。

ちなみにhfが嫌いなのは、雨(傘を持つのと雨の雫がいやだから)とキュウリ。だそうだ。メロンやスイカも苦手という。嫌いなこと、嫌なことについての話が弾む楽しいひととき。

素敵小道を教えてくれたhfと足早に六本木ヒルズ方面へ戻る。彼が歩むルートをスタッフがゾロゾロとついて行く。さすが六本木ヒルザー歴15年ならではの裏道のオンパレード。森ビルのスタッフでも知らないルートばかりだ。いかに濡れずに目的地へ到着するか、明快な目的のためにかなり研究しているらしいことがうかがえる。

しかし、そんな彼をいまだに困惑させる道がまだ他にもあると言う。「ああいうのを、『狐につままれた感』って言うんでしょうね」と教えてくれたのが、「TOHOシネマズ 六本木ヒルズ」への道だ。

「六本木ヒルズ」は、「六本木ヒルズ森タワー」を中心に、居住棟の「六本木ヒルズレジデンス」、ホテルの「グランドハイアット」など様々な建物が集合して形成された複合都市だ。そのうちのひとつ、「けやき坂コンプレックス」に「TOHOシネマズ 六本木ヒルズ」がある。レジデンスからは階段(エスカレーター)で登るから、なんとなく遠くにあるイメージなのに、「エストネーション」横にあるエレベーターで上がるとすぐ目の前が映画館という現象にhfは困惑してしまうらしい(言葉で説明されても、我々には実はよくわからない)。「わざと迷路っぽく作っているんでしょ。意地悪(笑)」(hf)。いや、そうではなく、常に新しい発見がある六本木ヒルズ、と言い換えておこう。

hfが知らない道もまだまだ残されている。知っていることばかりではつまらないし、インスタも続かない。映えないことにも発見はある。こうして、第一回目の散歩は終了した。東京の迷宮探訪、またやるかどうかは、まだわからない。

profile

藤原ヒロシ|Hiroshi Fujiwara
1964年三重県生まれ。DJ、音楽プロデューサー、ファッションクリエイター。英米で触れたクラブ文化を80年代の日本に持ち込むなど、音楽とファッションの両軸で日本のストリートカルチャーを牽引。現在、デジタルメディア「Ring of Colour」を運営する。京都精華大学ポピュラーカルチャー学部客員教授。