cheese & specialty

フロマージュ&フォルマッジョ! 専門店で知る〈チーズ〉の新たな魅力

韓国料理やカレーといった各国料理とコラボレーションした変化球料理が人気を博した昨今の“チーズ界”ですが、2023年のチーズグルメは、基本に立ち返り、イタリアやフランス、イギリスから直輸入の、歴史が培った個性的チーズの数々にスポットが当たりそう。そこで今回は、そんな至高の逸品を揃える、チーズ専門店の魅力を発掘していきます。

EDIT BY TM EVOLUTION.INC

❶ オービカ モッツァレラバー
——本場イタリア産の各種モッツァレラを、超絶フレッシュな状態で提供

「3種類のモッツァレラ盛り合わせ」¥4,200。左下から順に、クラシカ、アッフミカータ、ストラッチャテッラ。週2回イタリアから空輸している、とびきり新鮮なフレッシュチーズならではの、プリっプリっの弾力感を楽しみたい。

水牛モッツァレラチーズをふんだんに使用。玉ねぎ、にんにく不使用のオービカ特製ミートソースは、食べ進めても重くならず、そして食べ飽きない。「トラディショナル ラザニア」¥2,000。

古代ローマ時代から作られている伝統レシピ“ピンサ”により、ピザ生地は、サクサクとした軽やかな食感。これが水牛モッツァレラの風合いにぴったり! マッシュルームペーストの濃厚さとウンブリア産トリュフの芳香さが、チーズの味わいを下支えする。「タルトゥーフォ」¥3,950。

イタリア本国の『オービカ』同様、イタリアンプロダクトにとことんこだわる。店内には、イタリア産の様々な食材が陳列され、非日常感覚を味わえる。

『オービカ』は、イタリア本国で作られる本場のモッツァレラを新鮮なうちに届けるべく、現在も週2回のペースで空輸を行う。日によって多少前後するが、このペースだと作りたてから最速2〜3日間で店に届く算段だ。やはり、フレッシュチーズは新鮮さが命。作りたては弾力があり、プリッとした歯ごたえは何物にも代えがたい。逆に時間が経つとフレッシュチーズは柔らかくなり、弾力感が落ちて食感のないものになっていく。

その圧倒的鮮度の良さを味わうために、この店ではフレッシュチーズを必ず注文したい。まずはプレーンな「クラシカ」。そして「クラシカ」を藁で燻製した「アフミカータ」はマストアイテムだ。このふたつを食べ比べて、燻製による違いを楽しむことから『オービカ』でのテーブルはスタートする。

そして、昨今人気の「ブッラータ」の中身だけを贅沢に食せる「ストラッチャテッラ」もおすすめ。「クラシカ」、「アフミカータ」が水牛のモッツァレラなのに対して、「ストラッチャテッラ」は乳牛のモッツァレラ。しかも生クリームで和えていて、凝縮したミルク感を味わえる。いずれも最初はそのまま、スプーンですくって。バケットにのせたり、オリーブオイルで味変するのは、後の楽しみにとっておこう。ちなみに3つのモッツァレラを盛り合わせた、お得なメニューも用意されている。

そして水牛モッツァレラの爽やかさを全面に押し出したピザやラザニアも、驚きの美味しさである。『オービカ』ではモッツァレラのフレッシュ感を阻害しないために、全てのメニューで、にんにくとオニオンを不使用。ゆえに、どのメニューも非常に軽やかなのが特徴だ。様々な野菜で下味をつけ、味わいの幅を出しているから、飽きることなく食べ進められて、しかも食べ疲れしない。まさに良質新鮮なモッツァレラチーズを、存分に味わえる店なのである。

オービカ モッツァレラバー|OBICÀ MOZZARELLA BAR
住所=東京都港区六本木6-4-1 メトロハット/ハリウッドプラザ 1F 電話=03-5786-6400 営業時間=11:00〜23:00(L.O.22:00) 定休日=無休 ※食事利用時はひとり¥500のテーブルチャージを加算(パン、オーガニックEXVオリーブオイルDOP、オーガニックバルサミコIGPを用意) ※QRコード決済、交通系IC決済、各種クレジットカード利用可
 
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
PHOTO BY HIDEHIRO YAMADA

❷ beillevaire 虎ノ門
——フランスのエスプリが香る人気のフロマジュリー

日本人の口に合いやすいチーズが、100gの真空パックになって販売されているので、買い求めやすい。右から「アルデショワ・ビショネ」¥1,080、「ミモレット」¥1,004、「トムブリュレ」¥1,339。

店で一番人気の発酵バターサンド「サンド・オ・ブール」は各¥540。発酵バタークリームに3種類のナチュラルチーズを合わせた「サンド・オ・ブール トロワフロマージュ」など6〜7種類の味が楽しめる。

「接待の手土産」に2年連続入賞したチーズスイーツ「タルト・オ・フロマージュ 」3P¥1,080。それぞれクリームチーズ、ミモレット、キャトルフロマージュの3つの味が楽しめる。常温保存が可能で、個包装もビジネス用の手土産として嬉しい。ほかに6P¥2,160 、9P¥3,240 、12P¥4,104も。

『beillevaire(ベイユヴェール)』は、発酵バターと高級チーズを扱うパティスリー&フロマジュリー。牧場やアトリエのあるフランス西部ののどかで小さな村、マシュクール村で1980年に創業、パリをはじめフランス各地に約60店舗、日本ではこの虎ノ門ヒルズ店を含め、5店舗を展開する。熟成士である創業者の名前を冠した店は、今や本国でも広く知られている。

日本の店では、本国フランスでは販売されていないスイーツも扱っていることから人気沸騰。メインのチーズは、常時7種類のチーズが揃っている。フロマジュリーとしては種類がやや少ない気もするが、日持ちの長いものや日本人の口に合うものだけを吟味し尽くして並べている。約100g単位と多過ぎず、適度な量で真空パックで販売されているところも、こちらのフロマジュリーの心遣いと言えよう。定番の「ミモレット」¥1,004をはじめ、お酒と相性抜群の「アルデショワ・ビショネ」¥1,080、堅いナッツの香りを感じる「トムブリュレ」¥1,339は特に店のお勧めだそう。今後はチーズの種類を増やし、子どもから大人まで愛されるチーズを日本のお客様に広く紹介していきたいそうだ。

そして、チーズだけでなく発酵バターを使った、一番人気だというオリジナルバターサンド「サンド・オ・ブール」各¥540も目が離せない。ミルクティー、ピスタチオ・クランベリー、プラリネナッツ、ラムレーズン、ショコラなどフレーバーも盛りだくさん。ミモレットのフレーバーもあるので、チーズ好きにもたまらない。その他、店自慢のしっとりと焼き上げたチーズスイーツ「タルト・オ・フロマージュ」3P¥1,080は、現役秘書が厳選する「接待の手土産」として連続受賞に輝くほどの人気。もはや殿堂入りといっても過言ではない。ヒルズという場所柄、商用の手土産に購入するお客様が多く、常温保存が可能で日持ちが効く点でも重宝されている。またお酒とも相性が良く、シンプルなパッケージも受けて、プライベート用に購入する男性ファンも多いのだとか。3種類の濃厚なチーズのフレーバーで味の違いも楽しめる、幅広い層に愛されるスイーツだ。

beillevaire 虎ノ門|beillevaire TORANOMON
住所=東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー 1F 電話=03-6268-8629 営業時間=平日10:30~19:30(土曜・日曜・祝日11:00~19:00) 定休日=不定休 ※IC決済、QRコード決済、各種クレジットカード利用可
 
TEXT BY AKIRA TANAKA
PHOTO BY DAISAKU NISHIMIYA(NDPP.)

❸ ランマス 六本木ヒルズ店
——本格派チーズと自然派のワインが彩る豊かな生活

イギリスの「スティルトン」¥1,380(100g) 。バターのような口どけとミルクの甘さが感じられる青カビのチーズ。味わい豊かで、青カビチーズの中では食べやすく、初心者にもお勧め。

フランスの「モンドール」¥5,400(1個)。フランスとスイスの国境にあるジュラ山脈にある「モンドール(金の山)」が名前の由来のウオッシュタイプのチーズ。もみの木や濃いミルクの香りが印象的で、秋冬に食したい芳醇な味わい。

イタリアの「パルミジャーノ・レッジャーノ5年熟成」¥2,600(100g)。「イタリアチーズの王様」と言われる、イタリア北部で作られるハードタイプのチーズ。2年程の熟成が多く見られるが、こちらは5年熟成。旨味成分のアミノ酸の結晶が表面に現れ、その美味しさが見た目にも分かる。

チーズに合わせてぴったりなワインも選んでくれる。「スティルトン」にはフランス・ローヌ地方の「ル・シュマン・デ・サリーヌ 2020 マス・メレ」¥4,400(右)、「モンドール」にはブラン・ド・ブランのシャンパーニュ「ルクレール・ティフェンヌ シャンパーニュ キュヴェ03 コンスタンタン グラン・クリュ ド・クラマン」¥10,780(中)、「パルミジャーノ」にはオレンジワイン「ビアンコヴィオラ アルド ヴィオラ2019年」¥4,400(左)を。チーズとワインを熟知したスタッフがそれぞれに合った1本をセレクト。

六本木店に設置されたワインセラーの中には、フランスやイタリアの自然派ワインが常時、約250種類並ぶ。

日本屈指のハイクオリティなチーズと自然派ワインを扱う『ランマス』。本店は三軒茶屋にあり、六本木ヒルズのこちらは一昨年の3月にオープン。種類豊富な本格派のチーズショップとして、たちまち近隣在住の方々を中心に人気店となった。オーナーもイタリアの「ルイジ・グッファンティ社」で働いていた経験もあり、今回紹介した、「スティルトン」はニールズヤードデイリー、「モンドール」はエルベ・モンス、「パルミジャーノ」はルイジ・グッファンティなど、イタリア、フランス、イギリスから厳選した熟成士や熟成工房より最高級のチーズを輸入して置いているのが何よりの特徴だ。上質な味を提供するため、塊からのオーダーカットで切り立てを販売している。

そしてチーズと言えばワイン! 同店では、ヨーロッパの自然派をメインに250種以上を用意。お求めになったチーズに合わせてワインも一緒に……というお客様も大変多いそうだ。チーズ初心者には、あえて選んだワインからそれに合うチーズをアドバイスしてもらうというチョイスもあり。もちろん、チーズやワインに精通したスタッフが、丁寧にアドバイスしてくれる。それは最高のマリアージュを約束してくれることにほかならない。

写真で紹介した3種類のほか、特にこの時期人気のチーズは、パリにある有名なトリュフ専門店『ラ メゾン ド ラ トリュフ』が監修している「ブリー・ド・モー・ア・ラ・トリュフ」100g2,300円。クセが少なく、日本人の口に合うチーズ「ブリー・ド・モー」も上質なものにこだわり、香り高い黒トリュフをバランス良く合わせた最高の逸品だ。こちらは、辛口スパークリングワイン、赤系果実の赤ワインなどと合わせていただきたい。どのチーズも輸入したら三軒茶屋のウォークインのチーズルームで食べ頃や美味しさのピークに焦点を当て、徹底的に品質管理されている。個性あるチーズ本来の口福を堪能していただきたい。

ランマス|LAMMAS
住所=東京都港区六本木6-12-1 六本木けやき坂通り 1F 電話=03-6447-0120 営業時間=11:00~20:00(金曜・土曜・祝前日~21:00) 定休日=月曜(月曜が祝日の場合は営業、翌日休業) ※QRコード決済、交通系IC決済、各種クレジットカード利用可
 
TEXT BY AKIRA TANAKA
PHOTO BY DAISAKU NISHIMIYA(NDPP.)

※2023年1月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。
※店舗により臨時休業や営業時間を変更させていただく場合がございます。詳細は「六本木ヒルズの営業状況について」「虎ノ門ヒルズの営業状況について」をご確認ください。