もうすぐやってくる年末年始。慶びの時、今回は心穏やかに、和菓子をいただきながらのゆったりティータイムはいかがですか? 正統派からモダン系まで、お持たせや、歳末・新年の集まりにぴったりな、美味しくて可憐な和菓子の数々をご紹介します。
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
EDIT BY TM EVOLUTION.INC
❶ 驚くほどポップで、彩りが豊か。和菓子のイメージを覆すアイテムがこちら!
—— 和菓子 結 六本木ヒルズ店(ワガシ ユイ ロッポンギヒルズテン)
和菓子といえば“茶色”の世界……、そんな間違った固定概念を気持ちいいほどに裏切ってくれる、全く新たな和菓子店である。
西欧ケーキに負けないカラフルさと、マグカップやティーカップの脇でも存在感を発揮する、ポップでスタイリッシュなデザインフォルム。創業380年余りの歴史を持つ、名古屋の老舗御菓子所『両口屋是清』(りょうぐちやこれきよ)が展開する姉妹ブランド『和菓子 結』のラインナップだ。
このブランドは“手のひらサイズの日本の美”がコンセプト。日本の伝統、四季、歳時記を、誰もが分かる見た目で表現している。「お菓子は目で楽しめる」という事実を改めて思い起こさせてくれるはずだ。
もちろんベースとなるのは老舗和菓子店の確かな技術である。しかも微細な形にこだわる『和菓子 結』の商品には、職人の手作業が多いのだとか! チョコレート和菓子「ふゆうじょん」は、厚さ0.5ミリと、ギリギリの薄さでチョコレート掛けしているが、その理由は口溶けにある。揺るぎないこだわりは、和菓子職人ゆえなのだ。
この感動を、贈り先の方々と共有して、是非気持ちを“結んで”いただきたい。
PHOTO BY TAKUYA SUZUKI
❷ 創業200有余年、品のある京菓子の魅力を今に伝える
—— 鶴屋吉信 虎ノ門ヒルズ店(ツルヤヨシノブ トラノモンヒルズミセ)
都を彩った公家文化と茶の湯の文化。その中心にあった京菓子を今に伝えるのが、京都・西陣発祥の『鶴屋吉信』だ。このブランドは、とても上品。茶道で使われるお菓子を用意してきた背景から、包装が控えめなのだ。そして甘さも喉を突く鋭さがなく、素材の味わいを引き出した優しい餡を特徴としている。
中でも4代目が創案した「福ハ内」は、縁起の良い“お多福豆”を模したもの。昭憲皇太后をはじめ、皇室から愛されてきた由緒あるアイテムだ。白あんを桃山生地で包んだ柔らかな食感は、日本茶はもちろん、コーヒー、紅茶にもぴったり。年明け以降、節分までお贈りできる使い勝手の良さも人気の理由である。
昨今では、和菓子をモダンに解釈した「IRODORI」シリーズも注目を集めている。そして『鶴屋吉信 虎ノ門ヒルズ店』は、この「IRODORI」と『鶴屋吉信』の両ラインナップが揃う数少ない店舗なのだ。
PHOTO BY TAKUYA SUZUKI
❸ 丹波大納言の風味を生かした、透き通る甘味のつぶ餡が大評判
—— 桃林堂青山本店(トウリンドウ アオヤマホンテン)
大阪・八尾市で創業した『桃林堂』は、河内の肥沃な土壌で育まれた根菜類を蜜で炊き上げ、砂糖をまぶした和菓子「五智果」で名を馳せた老舗。その自然の風味を最大限に生かす姿勢は、その他の和菓子作りにも生かされている。餡については丹波大納言を、直接契約農家から買い付け、地元の天然水を用いて、熟練職人が丁寧に炊き上げている。
そのため『桃林堂』の餡は、格別に“ふっくら”。この丹波大納言の透き通るような甘味、絶妙な軽やかさは、池波正太郎先生をはじめ、大正・昭和の文人たちを虜にしてきたのである。ここだけの話、餡の炊き上げ作業は過酷であり、この作業を外注せずに今なお自社で行うところは、案外少ないのだ。
そして『桃林堂』のお年賀と言えば、「小鯛焼」が大本命。めでたい席でいただくお菓子として、鯛をモチーフに、頭から尻尾まで、つぶ餡がぎっしりと詰まっている。こちら、引き出物などでまとまった数を注文する場合は、事前予約がお勧めだ。
PHOTO BY CHISATO NOGUCHI (NDPP.)
※ 2021年12月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。
※ 六本木ヒルズ等各施設では、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、一部店舗・施設の営業内容を変更しております。営業状況は定期的に変更がありますので、ご来店の際には事前に各施設HPをご覧ください。
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