NON-ALCOHOLIC AND COURSE MEALS

お酒提供のあり方を覆す、本気のノンアル

新型コロナウイルスのまん延を機に、お酒の提供が出来ず、苦しんできた飲食店も多々。しかし一方で「こんな状況を楽もう」というレストランもあります。ノンアルコールドリンクを多数オンメニューし、ゲストに提案するレストラン。そこには、食を楽しむ新たな発見がありました。

TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
EDIT BY TM EVOLUTION.INC

❶ ドリンクは最後の調味料。料理の味わいを補完する究極のノンアルドリンク
——JEAN GEORGES TOKYO(ジャン・ジョルジュ トウキョウ)

フランス・アルザス出身、世界に39店舗を展開するジャン・ジョルジュ氏。彼の料理は、モダンフレンチにスパイスやハーブを用いる異色のスタイルに特徴を持つ。それは彼がフレンチシェフとしてタイに赴任した際に、タイ料理から大きな影響を受けたからだ。

ゆえに『ジャン・ジョルジュ トウキョウ』のノンアルコールメニューにも、スパイス、ハーブ、ビネガーの味わいを押し出した複雑味のあるドリンクが揃っている。これらは単に「アルコールを飲まない人」のためのドリンクにあらず、ドリンクが料理を完成させる調味料として機能する。料理の味、香り、余韻を増幅させ、料理の主旋律に対してパンチの効いたハーモニーを奏でるのだ。

この店舗がノンアルコールメニューをことさら充実させているのはそのため。『ジャン・ジョルジュ トウキョウ』では、敢えてノンアルコールを楽しむお客様も多いようだ。ドリンク類は、グラス注文はもちろん、コースに合わせノンアルコールペアリング(¥4,000〜)でお任せするのもお勧めである。

ちなみに『ジャン・ジョルジュ トウキョウ』は昼、夜共にコースのみ。昼はショートコースを含む2本立て、夜は9皿にデセールを加えた1本のみの設定となっている。カウンターキッチンというオープンな雰囲気の中で、洗練の極みを体現する料理の数々と、その味にマッチするノンアルコールドリンクを是非楽しんでいただきたい。

『ジャン・ジョルジュ トウキョウ』が提供するノンアルコールドリンクの多彩なラインナップ。もちろん、こちらはほんの一例。

アメリカの禁酒法時代に、お酒の代わりに飲まれていたビネガードリンクを現代風にアレンジ。フェンネル、アニス、ジュニパーベリーをはじめ、多彩なハーブとスパイスを調合。こちらは、「クラブダンプリング」と共に。「シュラブ」¥1,500。

「クラブダンプリング」。ワンタンの中身は、ズワイガニをセロリのシードと合わせたもの。その上に、マイヤーレモンのピールと、根セロリの細切りを飾っている。ソースはマイヤーレモン、セロリ、根セロリのジュースを抽出したものをやや甘く仕上げたもの。

ブドウ果汁をベースに、梨、昆布、チャイ、オリーブ、バニラ、アガベを使用。バニラの甘やかな香りを、大胆にも「岩手県産ほたてのトースト」と合わせている。「NONワインオルタナティブNo.2」¥1,600。

「岩手県産ほたてのトースト」。ベース部分は、サワードウの生地にトリュフ、ガーリックの香りを添えて、カリッと仕上げたもの。生ホタテに、秋トリュフをたっぷりとトッピングして、ロックチャイブ(ネギの新芽)を添えている。

クランベリーやチェリーの華やかな香り、深みのあるエレガントな果実味と滑らかなタンニン。このワイン同等の味わいをラムのローストと合わせたい。「ヴィンテンス カベルネ・ソーヴィニヨン」¥1,000。

「オーストラリア産ラムのロースト マッシュルームボロネーゼ ペコリーノチーズ」。しいたけ、マッシュルーム、トマト、玉ねぎ、香味野菜を煮込んだ、野菜だけのミートソース風!? ソース。ペコリーノチーズがコクを補っている。横に添えたスティックセニョールは、カリッとした食感がたまらない。

シェフたちのキビキビとした仕事ぶりも含めて、オープンな雰囲気を楽しめる1階カウンター14席。

2階には、プライベートな会話も楽しめる個室を用意。これからの季節は、けやき坂のイルミネーションを存分に楽しめる。

店舗はけやき坂に面していて、分かりやすい。1階のカウンター席は2フロア分が吹き抜け。圧倒的な天井高で、コンパクトながら広々とした設計となっている。

PHOTO BY CHISATO NOGUCHI (NDPP.)

JEAN GEORGES TOKYO(ジャン・ジョルジュ トウキョウ) 住所 東京都港区六本木6-12-4 六本木ヒルズ けやき坂通り1F 電話 03-5412-7115 営業時間 ランチ11:30〜15:00(L.O.13:30)/ディナー 17:00〜21:00(L.O.19:00) 定休日 無休 ※各種クレジットカード使用可

❷ 四季の味わいをイメージしたノンアルカクテルを、セイボリーとスイーツに合わせて
——ザ・ステーキハウス(THE STEAKHOUSE)

『ザ・テーキハウス』が提供する「フォレスト・ブースト」は、アフタヌーンティーとパワーランチのいいとこ取り。グリルミートや自家製シャルキュトリーを使用したセイボリー中心のメニュー構成で、むしろお腹を空かせて挑むのが正解だ。フィンガーサイズで見た目にも可愛らしく、会話に集中しながら、食事を楽しめるのが人気の理由である。

その「フォレスト・ブースト」にフリーフローで提供されているのが、オリジナルの新レシピによる4種類のノンアルコールカクテルだ。こちらはアフタヌーンティーにちなんで、全種類ともお茶ベース。森の自然を“春夏秋冬”でオマージュしていることから、是非とも順番通りに制覇していただきたい。春の甘酸っぱさ、夏の爽やかな味わいで気分は高揚、そして秋のほろ苦さ、冬の濃厚さがほっこりとした気分へと着地させてくれるはずだ。

ちなみに今回使用されるボックスは、同メニューのために新調したもの。手描きのイラストは、シェフのイメージをホテルスタッフが、自ら描いたそうだ。ボックスの天面に網を敷いている様は、まるでバーベキューグリルのよう! テーブルに運ばれてくる際にドライアイスの演出があるが、これは真冬の森の朝靄をイメージしている。

こうしたウイットに富む演出も「フォレスト・ブースト」の楽しみのひとつ。ノンアルコールカクテルで敢えて酔わずに、一流ホテルならではの、手間をかけたセイボリーとスイーツを頬張りたい。

春をイメージしたカクテル「タネ」は、植物の種を底に沈んだノンアルコールワインゼリーで表現。タピオカよりもプチプチしていて、まさに種のような食感だ。カクテルに加えたマンゴージュースの果実味が、チーズの旨味を際立たせる。

ジャスミンティーにアップル・レモンジュースを加えた夏カクテル「ワカギ」。シナモンステイックが樹木、ローズマリーが針葉樹の葉をイメージしている。リンゴの酸味をアップルソースに見立てて、豚肉料理を味わいたい。

秋カクテル「コウヨウ」は、アールグレイにグアバ・オレンジ・レモンジュースをミックス。まろやかなミルキータッチが、栗やベーコン、クロケットの旨味と溶け合い、相乗効果を引き出している。

冬カクテル「スタンプ」とは、切り株のこと。焙じ茶にホットチョコレートを加えた温かいカクテルは、きのこの香りにそっと寄り添う。合わせたのは「マッシュルームブリオッシュ」「トリュフバーガー」など。

「フォレスト・ブースト」は、セイボリー10種類、プチガトー7種類、フリーフロードリンク15種類。写真は2名盛り。

『ザ・ステーキハウス』とは、炭火焼きグリルを特徴とするアメリカンスタイルのステーキ専門店だ。今回提供されるプチガトーは、ホテルのペストリーチームが仕上げている。

PHOTO BY TAKUYA SUZUKI

ザ・ステーキハウス(THE STEAKHOUSE) 住所 東京都港区赤坂 1-12-33 ANAインターコンチネンタルホテル東京3F 電話 03-3505-1185 ※フォレスト・ブースト 開催時間 ①11:30〜13:30 ②14:00〜16:00 ③16:30〜18:30 ※3部制 開催期間 2022年3月27日までの木曜・金曜・土曜・日曜・祝日 ※料金1名¥5,966(税・サ込) ※各種クレジットカード使用可 ※提供期間及び提供時間は変更になる可能性があります。最新情報はHPよりご確認ください

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