秋の旬食材といえば栗、栗といえば「モンブラン」! 今年もヒルズエリアには、各店各様さまざまな工夫を凝らしたモンブランを提供してくれるお店がたくさん。中でも、目にも楽しい、綺麗で個性溢れるモンブラン、秀逸の5品を集めました。
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
EDIT BY TM EVOLUTION.INC
❶ 定番のルックスに、圧倒的な手仕事を込めるスイーツ界の“芸術品”
——LA BOUTIQUE de Joël Robuchon(ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション 六本木ヒルズ店)
『ジョエル・ロブション』 では、季節ごとに趣向を凝らした期間限定モンブランを提供しているが、こちらの定番「モンブラン」については通年販売。主役の栗は、フランスから取り寄せたもの。その上品な香りと優しい甘みを、ラム酒クリームが引き立たせている。
土台部分は、チョコレート、プラリネ、フィアンティーヌ(薄く伸ばしたクレープ生地を細かく砕いたもの)。さらにライスパフを加えてクリスピーな食感を生み出している。その上にマロンスポンジを挟み、中身のムースは2層の設計。ラム酒ムースに、刻んだマロングラッセ入りのマロンムースを重ねている。そして表面にはマロンクリーム。このマロンクリームにも、ラム酒を隠し味に効かせているのだそう。ラム酒は栗の甘みを引き立てると同時に、コクとアクセントを添えるのだ。
やはり『ジョエル・ロブション』のスイーツが格別なのは、繊細な手仕事を重ねているがゆえ。その圧倒的な完成度は、この定番アイテムにも通底している。
PHOTO BY CHISATO NOGUCHI(NDPP.)
❷ パティシエが目の前で手絞りしたばかりのマロンクリームの食感がたまらない!
——ATELIER KOHTA(アトリエコータ虎ノ門店)
「虎ノ門横丁」の入り口にて、カウンタースイーツを提供する『アトリエコータ虎ノ門店』。ここでは、アイスクリーム類を含む全パーツを専属パティシエが手作りしていて、注文を受けるごとにひと皿ずつ盛り付けている。
中でも「モンブランカシス」は通年提供の人気アイテム。タルト生地にラムアイスクリームをのせ、たっぷりのマロンクリームを手絞りした後、カシスのグラニテを削り、マロングラッセを和えた生クリームと共に乾燥メレンゲをのせている。フランス産の栗ペーストにカスタードクリーム、バターを合わせたマロンクリームは、上品な甘さを備えた、しっとり軽やかな食感だ。
『アトリエコータ』のカウンターからは、パティシエの丁寧な仕事が見て取れる。そのライブ感に浸りながら、出来たての極上スイーツをいただく幸福な体験は、ほかの何ものにも代えがたい。
PHOTO BY CHISATO NOGUCHI(NDPP.)
❸ モンブランのまろやかな味わいはそのまま、食感を軽快にした“オムレット”
——NEW STYLE GINZA SEMBIKIYA ROPPONGI HILLS(ニュウスタイル銀座千疋屋六本木ヒルズ店)
元々がフルーツ専門店だけに、ここ『銀座千疋屋』グループのモンブランは、秋冬だけの限定アイテム。但し、例えば昨年の新作マロンアイテムは8種類、しかも2週間毎に切り替わるという力の入れようで、毎年大盛況となっている。
中でも六本木ヒルズ店限定で今年度初登場するのが「マロンオムレット」だ。プレーンなオムレット生地にメレンゲを敷き、その上に生クリームとマロンクリームをアソート。濃い紫色の粒はカシスジャムであり、仕上げに粉雪のような粉糖と、栗を丸々ひとつ添えている。
クリームは店頭でのせ、作りたてのふんわり感にこだわるが、高さがないフォルムなので、持ち帰るときに多少揺れても崩れにくい。夕方以降は売り切れてしまうこともあるので、午後早めの時間帯までに訪れるか、電話で予約注文することをお勧めしたい。
PHOTO BY TAKUYA SUZUKI
❹ 上質な丹波栗を使用する、プレミアムな“和製モンブラン”
——NAKAJIMA TAISHODO(中島大祥堂)
ミネラル豊富な大地、昼夜の寒暖差が大きい兵庫県丹波地方。作物を育てるのに絶好の条件が揃うこの地方の中でも、“丹波三宝”と称されるのが「丹波栗」「丹波黒豆」「丹波大納言小豆」だ。そして、この丹波三宝を使って、珠玉のスイーツを提供しているのが『中島大祥堂』である。
そんな『中島大祥堂』の一番人気は、茅葺屋根を模した「かやぶき」。織田藩の家臣とその家族が住んでいた古民家を改築した丹波本店の外観にちなみ、その様相を和製モンブランとして仕立てている。まさに茅葺き屋根の部分がマロンクリーム。その上質な丹波栗の甘みを優しい味わいの生クリームが引き立てる。
いま自社農園では新栗が最盛期を迎えている。旬な「かやぶき」(通年商品)を是非試していただきたい。
PHOTO BY TAKUYA SUZUKI
❺ 古民家を改装した癒しの空間でいただく、レトロテイストなモンブラン
——Ujien URASANDO GARDEN(宇治園 裏参道ガーデン店)
1869年に創業した老舗茶舗『宇治園』で楽しめる、搾りたて「モンブラン」は、直径1.5ミリの糸のような細さのモンブランクリームを勢い良く絞り出すことで、極上のふんわり食感を生み出した人気アイテムだ。
その「モンブラン」は、栗、いも、かぼちゃ、抹茶、ほうじ茶の5種類が楽しめる。それぞれのテイストに合わせて、トッピングやモンブランクリームの製法も変わってくるが、裏参道ガーデン店における一番人気が抹茶味だ。宇治抹茶ならではの濃厚な香りと、ほろ苦い味わいが甘さを引き締め、味わいのバランスが素晴らしいと評判なのだ。
抹茶味のスポンジをベースに、軽やかなホイップクリームをのせ、その上から和栗、白あん、宇治抹茶を調合したモンブランクリームをたっぷりとかけた仕上がりは、和皿にぴったりフィット。トッピングとして、ふた粒の小豆を飾っている。原宿の喧騒とは無縁のほっこりとした空間で、この「モンブラン」を存分に楽しみたい。
PHOTO BY FUMIAKI ISHIWATA(NDPP.)
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