日本のみならず、ポピュラーな中国料理。そんな中でも東京のチャイニーズは、世界中から高い評価を集めるレベルにあります。ここでは、そんな独自の路線で進化を続け、健康にも配慮した、モダンでお勧め出来る中国料理店3軒をご紹介します。
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
EDIT BY TM EVOLUTION.INC
❶ 隠れ家のような異空間で、現代中華をスタイリッシュに!
——modern chinese VERT(モダン チャイニーズ ヴェール)
『モダン チャイニーズ ヴェール』は、中目黒のモダン焼き鳥『いぐち』の姉妹店としてオープン。『いぐち』は、スペインのピンチョスのように、ひと口サイズでスマートに食べられるスタイルから評判となった店だが、そのスタイルを中華で踏襲する同店では、大皿提供をせず、食べやすさと、少人数でも多品目を食せる満足度にこだわる。
店名の“ヴェール”とは、フランス語で“緑”の意味。中国では幸運を運ぶ石とされる翡翠をイメージして命名、「訪れた人々が料理で幸せになってもらえたら」という気持ちが込められている。また同店の前身は、天才と評された中華料理人・山下昌孝シェフが率いた期間限定店『わさ』。その山下イズムを引き継ぎつつ、リーズナブルな価格設定を実現したのが同店だ。
メニューは、2種類のコースのみ。「おまかせコース」(¥5,980)は、15〜17品目を女性でも食べ切れるように小さなポーションで提供。もうひとつが「火鍋コース」(¥6,980)で、こちらも前菜から点心までは、おまかせコース同様に多彩な料理がラインナップする。そのほか、一部の料理はアラカルトで追加でき、お腹の具合に合わせて量を調節出来るので、しっかり食べたい派も安心だ。
ペアリングはワインを中心に、紹興酒、日本酒、焼酎なども提供。客の好みも聞きつつ、提供銘柄を都度、変えていく。しかも10種類前後のドリンク数で、ペアリング代 ¥5,980と、こちらもかなりのお値打ち価格だ。
PHOTO BY FUMIAKI ISHIWATA (NDPP.)
❷ 洗練された中華料理の極みを、ソムリエが勧めるワインと共に
——MINAMIAOYAMA Essence(南青山 エッセンス)
広東料理をベースとしたモダン中華料理とワインのペアリングを徹底追求する『エッセンス』。シェフ自ら、上級クラスのソムリエ資格(エクセレンス)を取得し、昨今の伸びやかなワインの風味に沿う、爽やかな中華を突き詰めている。
中華とはいえ、素材選びにも決して手を抜かない姿勢は、農林水産省の顕彰制度「料理マスターズ」を受賞した事実が示す通り、日本各地に秀逸な直接取引先を持つまでに至っている。ワインの繊細さを味付けで消さないためにも化学調味料を一切使用せず、様々な食材から手間をかけて旨味を抽出。油通しの代わりに湯通しするなどして油の使用量を抑え、“中華料理らしからぬ”爽やかな味わい、重すぎない食後感を表現している。
“コラヴァンシステム”により、ワインリストの多くはグラス飲みが可能。フランス産ワインはもちろん、コストパフォーマンスに優れるアメリカ産のボトルも多数用意している。1本につき ¥2,000のチャージでボトルの持ち込みも出来、お気に入りのワインに合わせた料理をリクエストする常連客も多いそう。
PHOTO BY CHISATO NOGUCHI (NDPP.)
❸ オーナーシェフの創作世界が広がる、軽やかで旨味が凝縮した中華料理
——modern chinese 亮(モダン チャイニーズ リョウ)
一流ホテル、中華料理の名店で修業を積んだオーナーシェフが、満を持して2018年にオープンした『modern chinese 亮』。長きに渡って研鑽を積んだその腕と、海外の名シェフの仕事を今なお注視してアップデートを怠らない姿勢が、最先端の中華の形へと繋がっている。
ふたつの個室とカウンターだけの小さなダイニングのような雰囲気だが、六本木の中華料理の名店を食べつけた常連客をも唸らせるその味は確かなもの。中でも、高級食材の鮑、黒トリュフを惜しげもなく使用した看板メニュー「蝦夷鮑と黒トリュフの中華風リゾット」は、締めご飯として必ず注文したい一品だ。
コース料理は ¥5,000から。飲み放題を付けたスタンダードコースも ¥7,000と、お値打ちのプライス設定である。ワインは常時12種類程度を用意。ただし香辛料がきつい料理には、ワインにこだわらず、紹興酒や焼酎をお勧めしているそうだ。
PHOTO BY FUMIAKI ISHIWATA (NDPP.)
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