クリスマスの前後は、多くのレストランがクリスマスコースに統一される季節。本音を言えば、そんなお仕着せのメニューに辟易している方も多いはず。そこで、ここでは、クリスマスでもアラカルト可能、自分だけのコースをオートクチュールできる、プライオリティ・レストラン3軒をご紹介。早めにご予約を!
TEXT BY YOSHIKO ENDO
PHOTO by YUJI YAMAZAKI(DAISAKU NISHIMIYA OFFICE)
EDIT BY TM EVOLUTION.INC
❶ ワゴンから選んで組み合わせる、自分だけのコースを
——ILBrio(イルブリオ)
煌めく東京の夜景を眺めながら食事ができる、六本木ヒルズ内のスタイリッシュなイタリアン。「As you like it~お気に召すままに」がコンセプトで、ワゴンサービスで運ばれる前菜やパスタ、メイン、デザートから好きな料理、食材を選び、お客様自身がコース内容を決めることができる。
「メインは魚や肉などの食材をワゴンでお見せして、調理方法のご希望を伺います。今の時期は魚ならノドグロ、伊勢海老、甘鯛など、なるべく旬のものを揃えるようにしています。パスタは種類や具材、好みのソースを選んでいただいて作ることもできます」と廣本シェフ。
メニューブックもあるが、多くのゲストがメニューを見ないで注文するとか。前菜を3〜4品、デザートを好きなだけ、など枠にとらわれないオーダーをする人も。とにかくお客様の要望に応えたい、という想いから生まれたサービスを、是非一度体感してみてほしい。12月21日から24日は個室のみでワゴンサービスを、12月25日からは通常通りのワゴンサービスを提供している。
❷ プロの技術が凝縮した芸術的なパテとテリーヌ
——CHARCUT(シャルキュ)
フレンチに精通している方でも、この店のシャルキュトリーはわざわざ食べに行く価値がある。シャルキュトリーとは、パテやテリーヌ、ブーダンノワール、リエットなど食肉加工品の総称で、その地方独特のものがあるのが特徴。
「シャルキュトリーには、ほかの料理では使わない肉の部位も使いますが、手間をかけるほどに美味しくなるので、やりがいがあります」と町筋健彦シェフ。使用する素材によって焼き上げ後の熟成を2週間から3週間と調整したり、提供前に美しくカットしたりと、料理人の技量が問われる料理だという。写真のカイエット・プロヴァンサルはプロヴァンス地方で食されているテリーヌで、まろやかな塩気と深い肉の味わいがクセになる。パイ包み焼きは軽い口当たりでサクッとした食感が秀逸。濃厚な鶏レバーは、店が推薦する貴腐ワインに合わせたい。ワインは、ブルゴーニュ、コートデュローヌ、ボルドーなどがオンリスト。シャルキュトリーは10種類以上用意され、おまかせの盛り合わせプレートもオーダー可能だ。
メニューは、ほかにも温かい前菜にエスカルゴや濃厚な魚介のスープ、メインには鴨胸肉のポワレや豚肉の低温煮込みなどバラエティ豊か。丹念に手間と時間をかけられた料理とワインで、特別なひと時を楽しみたい。
❸ シェフのスペシャリテと、お気に入りのワインに酔う
——Osteria-Vineria La Coppola(オステリア・ヴィネリア・ラ・コッポラ)
予約至難なイタリアンの人気店『トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ』の姉妹店。ミラノ『スカレッタ』で3年半修業、日本でも長いキャリアを持つ筒井力丸シェフが、料理とワイン、そして店の切り盛りを統括する。この店では一般的な夕食時間のディナー利用、仲間とわいわい小皿を囲んでワインを飲みたい時、さらに遅めの時間からの2軒目利用と、お客様それぞれの立場に沿ってサービスを考え、あらゆるシーンに対応してくれる。クリスマスも通常通りアラカルトメニューのみの営業で、ディナーは自分の好みで料理を選び、自分だけのコースを作ることができる。
料理はイタリア北部を中心に、新鮮な日本の食材とイタリアの食材をバランスよく織り混ぜ、日本人向けにアレンジしたメニューを提供。軽いおつまみなら、角切りモッツァレラや揚げなすのマリネなどが¥500で注文できるのも嬉しい。
気さくなシェフのもと、スタッフも温かい雰囲気で、記念日ディナーやデートはもちろん、ひとりでもふらりと行きやすく、何かと使い勝手のいい店だ。
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