コース料理のラストに華やかさを添えるデザート「アシェット・デセール」。テイクアウトやデザート単体での注文はできない、コースならではのラグジュアリーなひと皿とは? シェフの想いがこもった特別なデザートでスペシャルな秋の1日を過ごそう。
PHOTO BY TOMO ISHIWATARI (JEAN-GEORGES TOKYO)
AYAKO MASUNAGA (L’ATELIER DE JOEL ROBUCHON/RESTAURANT THE MOON)
TEXT BY MIHO MATSUDA
アートピースのような美しいデザート
スイーツ好きにとって、憧れであり少々ハードルの高いデザートといえば、フルコースの最後に供される「アシェット・デセール」だ。パティスリーで選んで持ち帰るケーキや、午後のひとときにカフェで味わうスイーツとはひと味違い、フルーツやアイスクリーム、焼き菓子などパティシエがひと皿ずつ丁寧に仕上げる、テーブル上の芸術作品とも言える。9月からは続々と秋らしい食材を使ったデザートが登場。本来ならばコース料理を味わった人のみが知るエクスクルーシブなひと皿だが、今回はその内容を特別にご紹介。一足先に知っていれば、ビジネスや親しい人との会食で、ひそかに胸を張ることができるかもしれない。
❶ ジャン・ジョルジュ トウキョウ
「フォレ・ノワール(ブラック・フォレスト)」
9月10日(月)よりエグゼキュティブシェフに望月良一を迎え、新体制となるジャン・ジョルジュ トウキョウ。ランチとディナーのプリ フィクスコースに、秋の季節限定で登場するデザートが「フォレ・ノワール(ブラック・フォレスト)」だ。チョコレートの葉が舞い降りたアーモンドのメレンゲが、濃厚なチェリーのコンポートとバニラのクリームを包み込み、半球のチョコレートの器には酸味と甘みが力強いチェリーのソルベが隠れている。
❷ ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション
「ヴァシュラン フリュイルージュのムース 柚子の香るフランボワーズのクーリと共に」
メレンゲとクレームシャンティ(生クリーム)、アイスクリームというフレンチの伝統的なデザート「ヴァシュラン」をモダンに再構成。抹茶、フランボワーズ、ターメリックのパウダーを載せて低温で焼き上げたディスク上のメレンゲはアートピースのような繊細さ。色鮮やかなフランボワーズの甘酸っぱさとクリームのまろやかさの対比、ソースの柚子の爽やかな香りなど、五感を刺激するデザート。都会的な軽やかさと遊び心のあるひと皿だ。
❸ レストラン ザ ムーン
「梨、アーモンド、キャラメル 秋の訪れ」
刻一刻と表情を変える東京の空をバックに、モダンスタイルのフレンチを提供する「レストラン ザ ムーン」。柔らかい肉質のミルクフェッド仔牛をメインにした、コースの最後に登場するのは季節のフルーツを使ったデザートだ。9月4日(火)からは梨を主役に、香ばしいナッツやキャラメルを合わせた。フレッシュ感を残した梨のコンポート、食感が楽しいアーモンドやピスタチオ、メレンゲなど、スプーンを入れる場所によって楽しみ方も様々。温かみのある色彩からは、秋の訪れを感じるだろう。
❹ 鉄板焼 けやき坂
「ウ・ア・ラ・ネージュ」
マーケットのようにディスプレイされた食材から好きなものを選び、熟練のシェフが仕上げるという鉄板焼「けやき坂」では、9月30日(日)までの期間限定で「ウ・ア・ラ・ネージュ」を展開中。「ウ・ア・ラ・ネージュ」といえば、茹でたメレンゲをアングレーズソースとカラメルで食べるフレンチの伝統的なデザートだが、パフェのようにグラスに盛った「けやき坂」の「ウ・ア・ラ・ネージュ」は、目の前の鉄板でメレンゲを蒸して作る。ふわふわのメレンゲを、冷たいマンゴーアイスクリームの上に乗せるとアイスがとろり。国産のフレッシュマンゴー、ビターなカラメルと一緒に、メレンゲに絡めながら食べる贅沢な大人のデザートだ。目の前で繰り広げられる鉄板焼ならではのプレゼンテーションも、一見の価値あり。
SHARE