IKUKO’S METHOD

オンスタイルは、定番の罠に気をつける——スタイリスト 地曳いく子のおしゃれメソッド 01 

キャリアは30年超え、著書はベストセラー。ファッションに費やした時間やお金は誰にも負けないという人気スタイリスト 地曳いく子が、独自の視点で切り込む大人のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。第1回のテーマは、“定番”や“一生もの”という謳い文句に惑わされがちな仕事服。春夏を颯爽と着こなすための5つの“いく子流おしゃれメソッド”を、ヒルズワーカーに伝授します。

STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA

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ワーキング服は、賢くトレンドを盛る

“定番”や“一生もの”と言って、高価なブランド品を買っていたのは、もはや20世紀の話。実際のところ、一生着られる定番なんて、数少ないのが現実。今コスパを考えるのなら、何年着られるかではなく何回着られるか。そう思って買ったものが、たまたま5年、10年と活躍したら、それはそれで儲けものですよね(笑)。さあ、賢く春夏トレンドを取り入れ、オンスタイルのワードローブにヘビロテ必至なひとつを選びましょう。

地曳いく子が伝授する
春夏のヘビロテアイテム5カ条 [オン編]

❶ ベーシックものこそアップデートせよ

オンスタイルで注目したい今季のトレンドは、トレンチコートの復活。ド定番のひとつですが、このベーシックアイテムこそ、注意を怠ってはいけません。定番だからと安心して、数年前のコートを引っ張り出してくると、かえってやぼったく見えるという落とし穴も。一見は同じトレンチコートでも、肩幅や身幅、丈やウエストまわりの絞り具合で着た印象がぐっと変わってくるのです。

今季なら、フェミニンな軽やかさもある膝丈トレンチがおすすめ。トレンドの柄や色ものに手を出す前に、アウターやジャケットなどのベーシックものをアップデートすることこそ、正しいトレンドの取り入れ方なのです。

❷ 真面目に見えるネイビーだから遊ぶ

リクルートスーツの代表格でもあるネイビー。オフィスシーンには無難すぎて退屈、なんて思っている人もいるかもしれません。でも、この落ち着いて見えるネイビーだからこそ、少しぐらい羽目を外して遊んでも大丈夫。

ラッフルがデザインされたジャケットもネイビーならきちんと感が出ますし、ニットのワンピースもカジュアル過ぎずに好印象をゲット。背の高い人なら、ウルトラワイドなパンツを、プレーンなトップに合わせても素敵です。

真面目に見えるネイビーだからこそ、仕事用のワードローブにもひと癖あるトレンドをどんどん取り入れられるのです。

❸ 一枚で何役もこなすトップを選ぶべし

毎年1枚は欲しい白のトップ。でも、ここで声を大にして言いますね、「白トップは消耗品!」。高温多湿なこの日本の環境下では、黄ばみという敵には勝てません。それが白トップの宿命。だからこそ、何年着られるかよりも、今年何回着られるかが大事なのです。

今季ヘビロテしたいのは、甘辛バランスが絶妙なクリーンなノースリーブ。スカートにもパンツに使え、オンにもオフにも着こなせるので、週2、3回でも登場可能。カラーものなら、ネイビーやベージュとも相性のよいラベンダーがおすすめ。

春夏のトップはフル回転させ、ワンシーズンで着倒すぐらいの勢いで選びましょう。

❹ バッグはコンパクトでクールに持つが基本

通勤バッグにA4サイズが必須だったのは昔の話。スマホやタブレットの登場で、働き方が変わったのと同時に、持ち物も七つ道具から三つ道具ぐらいに減っているのではないでしょうか。時代に見合うバッグなら、断然小ぶりがスマート。サイズは通勤電車で座ったときに膝幅からはみ出さないのが鉄則。どうしても荷物が多い日は、トートバッグやエコバッグで2個持ちするという割り切りが必要です。

コンサバベーシックタイプの人は、上質な仕立てのレザーで攻めましょう。仕事はバリバリするからバッグぐらいは個性的でも許してねという人には、チェーンアクセントがきいたショルダーバッグなんていかがでしょうか?

❺ インパクトな小物で差をつける

ワーキングスタイルには難しいスタッズやアニマル柄のトレンドは、小物や靴で。ハードなスタッズは、お財布やバッグの中のパーソナルなアイテムで思いっきり遊ぶのができる女。スネークスキンのシューズは、シンプルなパンツの足もとに覗かせると、かわいくフェミニンに。小物でさりげなく春夏のインパクトを盛って、自分らしさを極めましょう。


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地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、そのキャリアは30年超えを誇る。数多くの女優のスタイリングも手がけ、大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評がある。独特の語り口も魅力で、現在はテレビやラジオでのコメンテーターとしても活躍中。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)など多数。