THE RICE PLANTING IN THE CITY

六本木ヒルズの屋上で、子どもの食育を考える

5月下旬のとある週末。六本木ヒルズ「けやき坂コンプレックス」の屋上庭園に約160名の親子が集まり、昔ながらの田植え体験を楽しんだ。「都心で日本の農を体験する」ことを目的にしたこの取り組みも今年で15回目。子どもへの食育としてますます関心が広がっている。

TEXT BY Yuka Uchida
PHOTO BY Manami Takahashi

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1/10力強く育った「いちほまれ」の苗。「コシヒカリを超えるお米を!」という合言葉のもと、6年間かけて開発された。
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2/10屋上庭園に上がると聞こえてくるカエルのコーラス。「ゲコゲコ」という大きな声は都心にいることを忘れるほど。
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3/10「いちほまれ」開発チームも一緒に子どもを先導。田んぼの感触を知ることも、都心ではできない貴重な体験。
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4/10泥だらけの手を嬉しそうに見せてくれた女の子。辺りには土の匂いが充満していた。
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5/10苗をぐっと泥に押し込むのは意外と難しい。最初はぬかるみに手を入れるのを怖がる子もいたが、慣れてくると真剣な表情に。
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6/10田んぼに生息するトウキョウダルマガエルは屋上庭園を作った際に、土に紛れ込んだ卵が自然と孵ったもの。
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7/10福井から苗を届けてくれた「いちほまれ」開発チーム。左から中岡史裕さん、富田桂さん、小林麻子さん。
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8/10「いちほまれ」のおにぎりを頬張る男の子。外国人の参加者も年々増えているという。
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9/10田植え体験の隣には、早乙女衣装を着る体験ブースも。可愛らしい衣装に女の子たちは満足げだった。
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10/10田植えを終えた、屋上庭園の田んぼ。遠くには東京タワーの姿が見える。半年後、稲穂が育った頃には、再び稲刈り体験が開催される。

誕生したばかりの福井県「いちほまれ」を栽培

前日の大雨が嘘のように晴れた、5月晴れの週末。映画館などが入る「けやき坂コンプレックス」の屋上庭園に大勢の親子の姿があった。通常は非公開の屋上庭園で、第15回目となる田植え体験が開催されるのだ。

このイベントは六本木ヒルズが開業した2003年からの恒例行事。「都心の真ん中で、日本の農の風景を再現する」ことを目指し、例年、全国の米どころとコラボレーションして行われている。今年、田植えのための苗を用意してくれたのは、コシヒカリが生まれた米どころとしても有名な福井県。地方コラボレーションが始まった2006年の第1回に続く2度目で、今回は6年間にも及ぶ品種改良を経て生まれたブランド米「いちほまれ」の苗を届けてくれた。

田植えをきっかけにした都心の“食育”

早速、会場の子どもたちに配られた、青々とした生命力溢れる苗。それを手に握りしめ、ゆっくりとぬかるんだ田んぼに入っていく。田んぼに足を付けた瞬間、初めての感触に驚いて泣き出してしまう子も。それを福井からやってきた田植えチームが優しく先導する。

都心にいながら自然の多様さを感じて欲しいと生まれた屋上庭園だが、特に田植えや稲刈り体験は、子どもの食育として関心が広がっている。普段食べているお米はどんな風に育つのか。自分たちの手で苗を植え、秋までゆっくりと成長を待つ。「大きくなるまでこんなに時間がかかるんだよ。お米は残しちゃいけないね」と話す親子の姿もあった。

また「参加をするのは今年がはじめて。いつもは泥遊びなんかしないんですが、自分からぬかるんだ田んぼに入っていってビックリしました」と娘の成長に驚く両親も。田んぼに生息するカエルを捕まえて遊ぶ子や、泥だらけの足で芝生を駆け回る子、ビオトープを真剣な眼差しで観察する子など、都会の屋上とは思えない、のどかな風景が広がった。

田植えを通して感じる、子どもの成長

最後に、福井県の開発チームから、炊きたての「いちほまれ」で作ったおにぎりが振るまわれた。「いちほまれ」の特徴は、白くつやつやとした粒と自然な甘み。噛むほどに、お米の豊かな味わいが広がってゆく。大きく口をあけ、おにぎりを頬張る子どもたち。秋にはこれと同じ、美味しい六本木育ちの「いちほまれ」が収穫できる予定だ。

「参加するのは5回目。最初は泣いて田んぼに入れなかったのに、今年は自分から率先して田植えを楽しんでいて、苗も上手に植えられるようになりました。大きくなったんだなぁと改めて感じています」と話す両親。恒例行事だからこそ感じられる子どもの成長もこのイベントの醍醐味だ。稔りの秋、育った稲穂を見て、子どもたちが何を感じるのかも楽しみだ。

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