MODERN URBAN VILLAGE

2023年、虎ノ門・麻布台エリアに新しい街が誕生する!

アークヒルズに六本木ヒルズ、虎ノ門ヒルズ。つねに「次の東京」を提案してきた森ビルの、同社史上最大規模の都市再生事業となる「虎ノ門・麻布台プロジェクト」の概要が発表された。“緑に包まれ、人と人をつなぐ広場のような街”を目指すというこの計画の意義と具体的な内容をいち早くリポートしよう。

TEXT BY MARI MATSUBARA
All Images © MORI BUILDING

森ビルが30年の歳月をかけて取り組んできた都市再生事業「虎ノ門・麻布台プロジェクト」の全貌が明らかにされた。場所は既存のアークヒルズと虎ノ門ヒルズ、六本木ヒルズを結ぶちょうど中間地点といえる東京・港区の虎ノ門・麻布台地区。8.1ヘクタールもの広大な土地に、オフィスと住宅、ホテルなどを収容する超高層ビルを3棟、オフィスと住宅のほか商業施設や文化施設が入る低層棟1棟、さらにインターナショナルスクールを擁する一大プロジェクトだ。その多岐にわたる構想を一つ一つ見ていこう。

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1/8桜田通りに面する東側エントランス(イメージ)
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2/8低層部のデザインはトーマス・ヘザウィックが担当。
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3/8約4,000㎡の大規模なフードマーケット。
4/8約6,000㎡の広さを誇る緑豊かな中央広場(イメージ)
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5/8オフィスエントランス(イメージ)
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6/8外苑東通りに面する北側エントランス(イメージ)
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7/8中央広場をのぞむホテルのレストラン(イメージ)
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8/8幅員12mの地区幹線道路2本も整備。

六本木ヒルズに匹敵する巨大プロジェクト

このプロジェクトは、広大な敷地に延床面積86万平方メートル。その中で約2万人が働き、約3,500人が住み、そして年間2,500万人以上の来街者を見込むという、規模としては六本木ヒルズに匹敵する巨大なものだ。3棟の超高層タワーのうち、メインタワーは64階建て、高さ約330メートル。竣工時点では日本で一番高いビルディングとなる。7階〜52階がオフィス、54階〜64階に約90戸のハイグレードな住宅が入る。その他の東棟(53階建て)・西棟(64階建て)のほとんどは住宅で、低層棟(8階建て)の住宅も加えると総戸数1,400戸にも及ぶ。六本木ヒルズのレジデンス数が約840戸であるのと比較すれば、このプロジェクトの壮大さが理解出来るだろう。

東棟の1階〜13階には日本初進出のラグジュアリーホテルが入る予定だが、1,100坪の大規模なスパを擁し、スイートルームの割合が高い約120室のホテルであることだけが発表され、ブランド名は明かされていない。

低層棟に連なる24,000㎡の商業エリアにはファッション、ビューティー、カルチャー、アート、ウェルネスなど多彩な分野の約150の店舗が入り、地下にはラグジュアリーなフードマーケットが展開される予定だ。

コンセプトは<モダン・アーバン・ヴィレッジ>

森ビルの都市開発は、その目的がビルを建てることだけにとどまらない。「住む」「働く」「遊ぶ」「学ぶ」「憩う」がすべて集約され、多様な人を集める“磁力ある”都市作りと、そうして生まれた街そのものを育むという点を重視している。その根底にはつねに「都市はどうあるべきか?」の問いがあり、今回あらためて人を中心に発想し、人間らしく生きるための都市のあり方を考え直した。その結果導き出されたコンセプトが<モダン・アーバン・ヴィレッジ>だ。

コンセプトを支える柱となるのが、“グリーン”と“ウェルネス”。緑に囲まれ自然と調和した環境の中で、多様な人々が集いコミュニティが形成される「広場」のような街を目指している。豊かな緑を実現するためにとられる手法が、森ビルがこだわる「ヴァーティカル・ガーデンシティ(立体緑園都市)」という考え方。300戸の平屋が立ち並ぶよりも、住居を高層ビル1棟に集約することで足元に広大な緑地を確保できるという提案だ。

これにより、低層部の屋上植栽も含めて約2.4ヘクタールの緑地と、約6,000㎡の中央広場を生み出し、グリーンが施設や建物ごとに途切れるのではなく、すべてがシームレスにつながったランドスケープを創造する。また医療機関を核に、スパやフィットネスクラブ、レストラン、フードマーケットなどをつなぎ、人々の心と体の健康をサポートするという。

街の動線も変わり、ヒルズ同士がつながる?

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1/3「ヒルズ」がつながり、都心部に新たな文化・経済圏を創出する。
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2/3「虎ノ門・麻布台プロジェクト」の平面図。
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3/3上空より見た「虎ノ門・麻布台プロジェクト」(2019年初夏)

今回の「虎ノ門・麻布台プロジェクト」は地域のインフラ強化にも取り組んでいる。桜田通り、外苑東通り、麻布通りに囲まれながら、通り抜ける交通網が未整備だったこのエリアに、東西・南北の道路が整備される。さらに六本木一丁目駅から神谷町駅まで、バリアフリー&アンブレラフリーの歩行者用通路が設けられる予定で、この辺りのアクセスがますます便利になるだろう。

設計・デザイナー陣にも注目!

3棟の超高層タワーの外観デザインは、これまでに「愛宕グリーンヒルズ」や「アークヒルズ仙石山森タワー」を手がけて森ビルと縁の深いアメリカのPCPA(ペリ・クラーク・ペリ・アーキテクツ)が担当した。PCPAは大阪の「あべのハルカス」も設計した会社だ。メインタワーに見られる、ビルの中ほどがほんの少し膨らんだシルエットが特徴的で、最上部には王冠のような造形が加えられる。

また低層棟と商業施設、インターナショナルスクールの設計を含むランドスケープを担ったのは、なんとイギリスのトーマス・ヘザウィック。ロンドン五輪の聖火台や、近年ではニューヨークの垂直公園<Vessel>など、ユニークな発想で話題を巻き起こしている建築家の、日本で最初のプロジェクトになる。低層棟はグリッド状の構造の一部がイレギュラーに歪み、崩れ落ちるような非常にユニークな造形で、屋上から壁面まで緑化し、植物が育って絡み合い全体が「ガーデン・パーゴラ」となることを目指しているという。超高層ビルが並ぶ冷たいイメージを打破するような躍動感をもたらし、様々な人々が集い、行き交うダイナミズムを誘致するだろう。

ほかにも商業空間デザインを日本とフランスを拠点に活躍する建築家の藤本壮介が担当し、住宅インテリアデザインにはローマの「フェンディ・プライベート・スイーツ」などラグジュアリーを得意とするイタリアのマルコ・コスタンツィらが名を連ねる。建築やデザインの視点からも注目度合いが高いプロジェクトだ。

完成は2023年3月末を予定

プロジェクト発表の記者会見で、森ビル株式会社代表取締役社長 辻 慎吾氏は「激化する都市間競争に勝つためには、いかに人・モノ・金を集める磁力を高めるかが重要な鍵であり、都市再開発は東京という都市の総合力を上げるために必要不可欠である」と語った。竣工は2023年3月末を予定している。テクノロジーが進歩し、大きく変化していく私たちの働き方や暮らし方に応える “未来のヒルズ”に期待したい。

※ “辻”のしんにょうの点の数は一つです(お使いのPC環境等によっては、点が二つで表示される場合があります)



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