DJ、音楽プロデューサー、ファッションクリエイター、その他いろいろとして活躍する藤原ヒロシ(hf)。彼のInstagramをhfウォッチャーが本人に深堀り取材する連載の第5回(月2回更新)。2018年3月後半にポストされた画像からお届けします。
INSTAGRAM & TALK BY HIROSHI FUJIWARA
original 'ELVIS' photo on top by Taro Hirano
TEXT BY HF WATCHING COMMITTEE (HWC)
2018年3月16日——ゲットー ガストロ
「ゲットー ガストロが来たんで、『チキンキッチン』に行ったんです」(hf) ブロンクスを拠点に活躍するシェフ集団「ゲットー ガストロ」のために、期間限定だった(今はすでに終了)『チキンキッチン』をスペシャルオーダーした、もしくはその母体である『ビーフキッチン』へ行ったということではないかと思われます。もっとちゃんと取材しろよ、自分。でも、なんか興奮しちゃうじゃないですか。ゲットー ガストロですよ。
3月17日——この本面白すぎる
「なりきりエルビス写真集。出てる人たちもすごいけど、この人たちを撮影して写真集を作ろうっていう人もすごい。気に入りました。みんなめっちゃ楽しそう」(hf) 写真家、平野太呂による、エルビス・プレスリーのトリビュート・アーティスト(モノマネをしている人々)を撮影した写真集『The Kings』。「ON READING」で購入できます。たろさん、ヒロシのハートを鷲掴み。
3月17日——凄い映画
「この問題の始まりがよくわかる映画。RBSSという名前のジャーナリスト集団のドキュメンタリー。スマホを武器にテロリストと戦う」っておっしゃってます。この問題って? 「シリア問題ですね。IS(イスラム国)がシリアのラッカに最初に攻めてくる。その前からのドキュメンタリー映画」(hf) アマゾンのオリジナルムービー。アマゾンプライム会員なら今すぐ観れます。和名タイトルは「ラッカは静かに虐殺されている」 劇場でも公開中。凄いです。
3月17日——Les Créations de Narisawa
我々が行けない方のナリサワですね。「そう、行けない方の。桜餅みたいに見えるけど苺ご飯なんですよ。デザート。ダミアン・ハーストみたいでしょ」(hf) ダミアン・ハースト(みんな知ってるイギリスの現代美術家)のあのホルムアルデヒド作品を思いながら美味しいものを食べられるあなたはやっぱり只者じゃない。こちらのナリサワは、3/4に訪れた「bee’s bar by Narisawa」の本拠地(!?) 東京・南青山のレストラン。
3月18日——カフェ マルディ
「池の上にあるスタジオの上のカフェ。バタートーストを頼んだら、塩が出てくるの、ちょっと気が利いてるじゃない〜って」(hf) へえ。「トーストに塩、かけないですか?」(hf) え、かけますか? 「バタートーストに塩はめっちゃ美味しいですよ」(hf) それ、普通? 「うん。海外では割と。やってみてください」(hf) はい、血管切れない程度に。
3月20日——ゲットーボックス
「AMBUSH®︎のショーで配られた、ゲットー ガストロのおしゃれ弁当」(hf) Amazonのダンボールのランチボックス。なんか、ショーも、ランチボックスも、Amazonも盛り上がってますねえ。「東コレ自体がね、いっぱいお金かかってる感じもすごいですよね」(hf) 違いますよ、ヒロシさん。東コレなんて言わないんです。ファッションウィークです。
3月21日——今日の財布
「新しいお財布は『NEIGHBORHOOD』のジップロック。各ブランドの皆さん、ぜひ作ってください」(hf) いつものよりちょっとでかくないですか? 「ジャストサイズだと、出し入れしにくいんですよ。ちょっと大きめの方が便利なんです」(hf) 意外と主婦目線のテレビショッピング風リコメンド。でもこれ、なんか落としそうですよね。「落としたことないですよ。これ落とすなら、財布だって落とすでしょ」(hf) なるほど正論。
3月21日——UFOとペヤング一騎打ち
どうしてこんな(どうでもいい)ことを? 「友達とどっちが美味いかって話になって、僕はペヤング以外考えられないし、友達は絶対UFOだって言うしで、食べ比べてみた」(hf) 結果は? 「結局、僕は完全ペヤングで、彼はUFOでした。でも、味が全然違って結構びっくりしました。こんなに……みたいな」(hf) ポイントはソースの味らしいです。とまあ、こんな平和な夜でしたが、この後大変なことが……。
3月21日——今から
「で、ペヤング食べてたら友達からラインが来て、『(サカナクションの)山口さんが、テレビで『もうすぐ藤原さんが来ます』って言ってますよって。その日の昼間に『夜NHKの生放送なんですけど、来てくれます?』『いいよ、全然』っていう会話をしたのをすっかり忘れてたんです。そしたら山口くんのスタッフからも連絡が来て、急いで渋谷へ』(hf) この日、NHKの「おやすみ日本 眠いいね!」を見逃した人は取り返しのつかないことをしましたね。でも、観た人が嬉しさのあまりにいいね!を押しすぎて、あっという間に放映が終了してしまったということですが(50万いいね!で番組終了ルールあり)。ヒロシさん、テレビとか出ない人だと思ってました。「あまり出たことはないですね。楽しかったですよ。でも、誰の番組なのかわからなかったんで、『誰がレギュラーなんですか?』って聞いちゃいました。ピエール瀧さんも山口くんもゲストだったんです。僕はゲストに呼ばれたゲスト。ゲスゲスですね」(hf) いつか笑点も出てください。
3月22日——ヘルベチカ
「『卒業』のCDを買ってみました。文字の組み方も綺麗じゃないですか? やっぱヘルベチカいいなあって。これに“”つけたら、ヴァージル・アブロー」(hf) なるほど! “HIROSHI FUJIWARA”はこのジャケットでそんなこと思うのかあ。座布団1枚。よくわかんなかった人はヴァージル(カニエ・ウェストのクリエイティブディレクターで建築家でアーティストでデザイナー)の作品観てみてください。
3月23日——サラ
「(元コレットの)サラ・アンデルマン。ファッションウィークで東京に来たので、表参道の『茶洒 金田中』にてミーティングをしました」(hf) 何でモノクロ? 謎は謎のままに。
3月23日——天つゆの醍醐味
「天ぷらって東京に来て、『塩で食べるんだ!』って驚きがあったんです。それとか最近は、僕はネオ天ぷらって呼んでるんですけど、肉や魚の切り身を揚げたり、いろいろ凝った天ぷらがあるでしょ……、名古屋の『くすのき』、静岡の『成生』、東京の『たきや』なんかは有名だし、それはそれで美味しい。んだけど、天ぷらに関しては割と、なんでも美味しいでしょうって思っているんです」(hf) えええええ、まさかの 天ぷらIQ低い発言。「回転寿司と美味しい寿司屋の差は分かる。けど、天ぷらに関してはジャッジがなかなかできないんです。実はうなぎも焼き鳥もそう。みんなが言うほど僕は美味しいのベクトルに達してないなあって思うんです。」(hf)
で、新富町の『佐が和』。「感動的な天ぷら屋さん。行った方がいいですよ。ここは最初から最後までずっと天つゆなんです。雪のような大根おろしを入れて、ちょっと濃いめの天つゆにさっと通して食べる。それが初心に返ったような気にさせてくれる。天ぷらってコレだったんだ!って感動するんです」(hf) 天ぷら放浪記。天つゆの向こうに何を見たのか。「昔からある実家みたいな天ぷら屋。テレビとか新聞とか置いてあるような。白洲次郎が通って、マリリン・モンローも来たらしいです」(hf) 自信があるからこそのノーガード戦法。天ぷら食べたい。
3月24日——玉露タイム
またまた『茶洒 金田中』。だってヒロシはお茶♡なんだもん。「玉露の旨味って信じられないくらいすごい。もはやお茶の味じゃない。ファーストドリップとセカンドドリップの差がすごい。60度のお湯で2分とか、そこまでこだわってやるかっていうのも面白い」(hf) 圧倒的に褒める。さすがお茶の恋人。
3月24日——ジェンガ花瓶
「スイスの大学の生徒が作った作品です」(hf) 渋谷のギャラリー「THE MASS」で(4/22まで)開催中の「ECAL Design for Luxury & Craftsmanship」から。ECAL/ローザンヌ美術大学の学士または修士を取得した学生の作品が展示されてます。確かにひっぱりたくなります。
3月25日——初夏の曲。いや、真夏の曲
「ホルヘ・サンタナは、カルロス・サンタナの弟。70年代にディスコで流行った(曲が収録された)CDです。夏っぽいいいアルバムです」(hf) Sandy!当時の男子たちはこのLPのジャケットを隠してレジに持って行ったそうです。恥ずかしいことが減りましたね。ただ、このピクチャーディスクの穴の位置に関してはちょっと言いたいことがあるような、ないような。
3月26日——初めて香港に来た時はイギリスだった
その頃にかかっていた曲のひとつがこれだったという思い出の。「夏っぽいCDシリーズでもあります」(hf) ブルー・ロンド・ア・ラ・タークの『チュウイング・ザ・ファット』。日本タイトル『踊れば天国 アイアイアイ』。ファンカラティーナ=ディスコ=盛り上がるという、幸せの形がシンプルだった時代。この日からhfは中国の香港入りしました。
3月28日——NIPPON代表
何で香港かっていうと。「Asia’s 50 Best Restaurants授賞式に出席するシェフたちとマカオの二つ星中華『Jade Dragon』でのランチ会へ行きました。写真は(左2番目から)東京「イル・リストランテ ルア・ファンティン」のルカ・ファンティンさん。大阪「HAJIME」の米田 肇さん。東京「NARISAWA」の成澤由さん。東京「日本料理 龍吟」の山本征治さん。福岡「ラ メゾン ドゥ ラ ナチュール ゴウ」の鳥越 毅さん。東京「傳」の長谷川在佑さん。大阪「ラ・シーム」の高田裕介さん。東京「フロリレージュ」の川手寛康さんです」(hf) サンペレグリノとアクアパンナがメインスポンサーを務める「アジアのベストレストラン50」の受賞式が3月27日の夜、マカオで開催されたのでした。
3月28日——香港の歩き方
「香港で100年くらい続いている飲茶屋さん『蓮香楼』。来年閉店してしまうみたいです。烏龍茶で食器を洗ってから使うのがここのルール」(hf)
「街角の金魚スタンドです。いわゆるショッピングモールって、もうどこも一緒だから行かないじゃないですか。旅の仕方が随分変わった気がします。その土地の独特なものを見たい」(hf) 地元の人しか知らないところ。例えば東京で、そういうところ連れてってと言われたら? 「山谷とか? 随分変わりましたよ。綺麗ではないけれど、危険な感じはありません。ホームレスが市民権を得てるんです」(hf)
3月28日——WOOL
「ちょうど『アートバーゼル香港』が始まった日で、それには行かなかったんですけど、ウールのコレクター主催の食事会に誘われて行ってきました。めっちゃすごかったです。ウールの作品に囲まれての食事」(hf) ウールというのは、現代美術界の暴れん坊、クリストファー・ウール。1点数億円ですから、この会場全部で……。
3月30日——カモフラージュ
「日本に帰ってきて『日本橋蛎殻町 すぎた』へ。」(hf) 何だろう。ホタルイカの大きいやつ? 「ホタルイカです。小さいです。皿と同化してまさにカモフラージュ!」(hf) イカカモ。渋め系。
3月31日——カモフラから飛び出した
あれ? ホタルイカが2匹になって大きくなってる。「違う店です。『寿司さいとう』です」(hf) 同じものを毎日食べないでください。そんなヒロシの春でした。
藤原ヒロシ|Hiroshi Fujiwara
1964年三重県生まれ。DJ、音楽プロデューサー、ファッションクリエイター。英米で触れたクラブ文化を80年代の日本に持ち込むなど、音楽とファッションの両軸で日本のストリートカルチャーを牽引。現在、デジタルメディア「Ring of Colour」を運営する。京都精華大学ポピュラーカルチャー学部客員教授。
SHARE