Residential Trend in New York

世界のトレンドを引っ張る都市、ニューヨークの最新住宅事情

有名建築家による超高層コンドミニアムが立ち並ぶ都市、ニューヨーク。アートやカルチャーはもちろん、世界の住宅のトレンドもリードするこの街で、今どのような居住空間が求められているのか? 森ビル住宅事業部担当者が、最新の注目物件とともに紹介します。

PHOTO BY Toshiyuki Sanada
Photo (Top) : Alamy/Aflo
EDIT BY JUN ISHIDA

世界の住宅トレンドを引っ張るニューヨーク。有名建築家を抜擢した超高層コンドミニアムが立ち並ぶこの街では、今も街のあちこちで新しい建物の建設が進んでいる。ニューヨークを始め、ロンドン、香港など世界のリーディングシティの住宅事情をリサーチしている森ビル住宅事業部の真田年幸さんに、ニューヨークの最新住宅事情を聞きました。

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——世界でもトップの売買価格を誇るニューヨークの住宅ですが、最近でも価格は上昇し続けているのでしょうか?

真田 ピークアウトは過ぎましたが、最近4層で250億円という物件がネットにでました。まだ建設中の「220セントラルパーク」という超高層コンドミニアムです。全体としては少し落ち着いて来てはいますが、最高額のものはまだ値段が上がっていますね。

——エリアでは、セントラルパークが人気なのでしょうか?

真田 特にミッドタウンのセントラルパーク南側が旬です。ダウンタウンにもいくつかありますが、セントラルパーク付近のものと比べると価格帯が全く違います。最近、ダウンタウンの金融街のど真ん中に「30パーク・プレイス」というフォーシーズンズ・ホテルのプライベート・レジデンスが完成して、内容も非常によいのですが、えっ!というぐらいセンラルパーク付近のものと価格差があるんです。坪単価で言うと「30パーク・プレイス」は1500万円以上しますが、セントラルパークサウスにあるコンドミニアムは3000万円を超えます。

——NYで人気を集めるコンドミニアムの条件とはどういうものなのでしょう?

真田 まずはロケーションですね。建物のデザインには、大きく2パターンあると思います。最近人気なのは、「30パーク・プレイス」も手がけたロバート・スターンに代表されるクラシックなデザイン。アールデコなどのニューヨークの歴史を象徴するような外観に、内装も比較的クラシックな物件が高値を付けています。しかし一方で、現代的なものも人気があって、プリツカー賞受賞者であるクリスチャン・ド・ポルザンパルクの「One 57」やラファエロ・ビニョリの「432パーク・アベニュー」、ヘルツォーク&ド・ムーロンの「56レオナルド・ストリート」などがそうですね。

——クラシックか非常に現代的か、両極のものに分かれるのですね。

真田 ニューヨークでは普通のものを建ててもダメなように感じます。

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——有名建築家が設計者であることも重要ですか?

真田 有名建築家が建てたというのはひとつのブランドになりますからね。例えばヘルツォーク&ド・ムーロンの「56レオナルド・ストリート」を買う人にとってはまさにそうでしょう。購入者もタイプが分かれて、クラシックな物件を買う顧客はロシアやアラブ系に多く、ニューヨークの歴史そのものを買おうとします。対して、モダンで実験的な物件には建築家自体のファンも多い。「56レオナルド・ストリート」は室内も非常にモダンで、キッチンはモルテーニというイタリアのブランドの特注なのですが、建築家のディレクションで作っていることを好む人もいると思います。

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——超高層であることも条件の一つなのでしょうか?

真田 セントラルパークやダウンタウンでは、超高層じゃないと「眺め」が確保できませんからね。ソーホーやトライベッカ、あるいはハドソンリバーやイーストリバーなどのリバーサイドには中層、低層のものもあります。ただリバーサイドでも、複合開発が行われているハドソンヤードはやはり超高層です。ハドソンヤードはハイラインの起点・終点となり、注目を集めているエリアです。リレイテッドという意欲的な開発業者が仕掛けていて、トーマス・ヘザウィックの「ヴェッセル」というハニカム構造の塔など面白い仕掛けもありますが、コンドミニアム自体はノーマン・フォスターなど大御所建築家によるオーセンティックなものですね。

——力のある開発業者というのもポイントですか?

真田 そうですね。リレイテッドとボルネードという会社に特に注目しています。ボルネードは「220セントラルパーク」を手がけていますが、なかなか建物の中を見学させてくれないんです。本当に有望な顧客にしか見せない。

——サービスについてはいかがでしょう?

真田 サービスをいかにグローバルなトップレベルに近づけるかは我々の命題でもあるので、注目しています。ニューヨークやロンドンには、投資やセカンドハウスとして、いわば世界の中のポートフォリオのひとつとしてコンドミニアムを購入するケースが多い。「ペントハウスコレクター」という名称があるくらい、ペントハウスだけを狙って購入する人もいます。そういう方々に対するサービスと、日本のコンドミニアムに住む方々が求めるサービスは少し異なっていて、日本ではあまり仰々しくならない程度にフォーマルなサービスが好まれます。対して欧米では、最近のホテルのサービスと同様に高いところに行けば行くほど、インフォーマルで、しかしちゃんとリスペクトを感じるというものが多い。個人的な最近のキーワードは「リスペクタブル・インフォーマル」なのですが、相手のことを思いやった上でのインフォーマルというのが、究極なのだろうと思います。

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——ニューヨークと東京の高級コンドミアム市場の大きな違いとはなんでしょう?

真田 価格帯も購入目的もまったく異なります。ニューヨークには100億円超えの住居が多くあります。東京ではここ数年で10億円超えのものが増えてきましたが、他の都市に比べてリアルユーザーの方が多いですね。投資やセカンドハウスが目的となる場合、住みやすさというより、どれだけランドマークなのか、どれだけエクスクルーシブなのかということを主に考えるのではないかと思います。

——これから東京に求められる住宅はどのようなものになると考えますか?

真田 いくつかのタイプに分かれると思いますが、ハードとしての品質的には素晴らしい日本の住宅において、我々が目指していることの一つは、インバウンドの方々が増えてゆき、マーケットもオープンになってゆかざるを得ないときに、他都市との比較の中で日本らしいグローバルなサービスをいかに実現するかが目標だと思います。

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