クリエイティブな人たちは、得てして時間の使い方がうまい。なかでも、1日や2日という短期間で、驚くほど効率的に旅をする人は、セルフマネージメントの達人と言えるだろう。そうした賢人たちの行動例から、週末小旅行のアイデアを学ぶシリーズ。第5回目のゲストは、「テクノロジー×デザイン×マーケティング」の領域で躍動する、西村真里子さん!
TEXT BY ARINA TSUKADA
PHOTO BY MARIKO NISHIMURA
——世界各国をいつもアクティブに移動されている西村さんですが、これまで、どのようなショートトリップをされてきたのでしょうか?
西村 ここ最近で一番エクストリームな週末旅は、0泊3日のシンガポール滞在ですね。おおよそ、こんなスケジュールです。
1日目 金曜日
24:30
羽田空港発
↓
2日目 土曜日
6:00
シンガポール・チャンギ空港着
↓
7:00〜
セントーサ島で孔雀の親子と共にCapella Singaporeホテルで朝食をいただき、仕事とジャングルを楽しむ。
↓
25:30
チャンギ空港発
↓
3日目 日曜日
9:50
羽田空港着 シンガポールも日帰り(宿泊してないので)旅ができるんだなと、達成感を得られた旅でした。
——怒濤の弾丸旅行ですね! 国内でもショートトリップをすることはありますか?
西村 私は東京在住ですが、札幌や沖縄も日帰り旅行した経験があります。朝イチの便に乗り、現地でラーメンやソーキそばを食べてその日の最終便で帰ってくる。
麺類って地域性が高いので、現地で麺類食べると日帰り旅でも “旅の高揚感” がグッと高まります。土曜日を丸々使っても、日曜日にゆっくりできるので、日常ワークには影響がでずなん気楽です。
——一人旅もよくされますか?
西村 大人になって初めての週末一人旅は、JR東日本の特急列車「スーパーあずさ」で行った、長野への温泉旅行でした。
「大人の女性は、週末一人旅をフラッと楽しむもの」と思い込んでいた20代前半の私は、ある土曜日の朝、JR新宿駅発「スーパーあずさ」の始発に乗り込み、“イニシエーションの旅”を決行しました。目指すは乗鞍岳。終点のJR松本駅からレンタカーで3時間掛けて向かう道中は、細い山道も多く、トンネルに入る度に不安な気持ちになったのですが、「大人の女性は一人旅を楽しめるもの」と自己暗示をかけて、不安を解消したことを今でも鮮明に覚えています。
ようやく辿りついた末に、迎えてくれた10月の乗鞍岳は紅葉が美しく、温泉は旅の疲れと不安を癒やしてくれました。イニシエーションは成功したといえるでしょう。
——西村さんは、アウトドアがお好きなんですか?
西村 登山にはまっていた時は、日本百名山を制覇するべく、ほぼ毎週末、山登りに出る生活を2年程していました。そのころの、一番ひどかった週末登山旅のお話をしたいと思います。
金曜日に大阪出張があり、東京へ戻る最終の新幹線を逃してしまったのですが、山登りにどうしても行きたくて、23時台の大阪発の夜行バスに乗り、朝7時頃新宿に着き、そのまま寝ないで山を目指しました(笑)。ハマるとどっぷり行きたくなっちゃう性分なんですよね。でも、登山には睡眠が大事だなと、その時は痛感しました。
最近はVR空間で旅ができるので楽しいですよね。VR空間で仲間と宝探しに出たり、時空を越えて恐竜に会いに行ったりしました。VR空間で一緒に彗星を眺める体験をした仲間とは、VR体験後に信頼度が高まったのが意外な発見でした。旅の高揚感を体感する機会が、VRの登場によって増えて来たと感じています。
——現在は、どのような気分になったとき、ショートトリップへ出かけるのでしょうか?
西村 新たな視点を得たい時、(山登りやサーフィンといった)新たな特技を得たい時に、とりわけ旅に出たくなります。日常の中で新しい発見をすることも旅だとは思うので、新しい視点を得たら、それは旅視点だと思うようにしています。
——ショートトリップで得られることは何でしょう?
西村 人生の解像度が高まります。いままで見たことのない色、嗅いだことがない空気の香り、地球の呼吸。日常では閉じている感覚が刺激され、人生がアップデートできるので、週末のショートトリップは、解像度を高める上で大事だと思います。
——もし、いま3日間の余裕があるとしたら、どこへ行ってみたいですか?
西村 スリランカかな。建築家ジェフリー・バワのホテルに泊まり、自然と人造物の呼吸を味わいたいです。あとは伊豆七島の御蔵島。「一緒に泳いだイルカ達は元気かな?」と、たまに気になるので会いに行きたいです。
【関連記事】
西村真里子|Mariko Nishimura
株式会社 HEART CATCH 代表取締役。国際基督教大学(ICU)卒。エンジニアとしてキャリアをスタートし、その後外資系企業のフィールドマーケティングマネージャー、デジタルクリエイティブ会社のプロデューサーを経て2014年株式会社HEART CATCH設立。 テクノロジー×デザイン×マーケティングを強みにプロデュース業や編集、ベンチャー向けのメンターを行う。Mistletoe株式会社フェロー。SENSORS.jp 編集長。
SHARE