SUMMER TABLE SETTING

料理家 谷尻直子が六本木で探す、夏を彩る器。

つるっとした喉ごしの冷たい麺料理や、さっぱりと酢の効いた和え物。そんな夏の料理を引き立ててくれるのが、ガラスや磁器の涼しげな器です。夏らしいテーブルセッティングに合わせて、器を選んでくれたのは料理家の谷尻直子さん。六本木周辺にある、センスのいい器のショップを巡りました。

TEXT BY Yuka Uchida
PHOTO BY Kiyoko ETO

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    1/3柳宗理デザイン 出西窯の丸皿・大|designshop 出西窯は1947年に開かれた窯場。柳宗悦の民藝運動に感銘を受けた若者5人が立ち上げ、今でも“無名の実用雑器に宿る美”という精神を受け継いで活動している。土、釉薬、薪木などすべてが地元由来のもの。プレートのデザインは柳宗理(各¥5,800)

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    2/3岩手の磁器 てまる|designshop 磁器のひし鉢セット。岩手に工房を構える大沢和義さんが、福祉食器としてつくったもので、縁が内側に傾斜しているため、料理がすくいやすい。磁器のほのかな青みが目にも涼しさを届けてくれる(3.5寸¥1,300、4寸¥1,600、5寸¥2,300)

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    3/3山中漆器・たに屋の応量器|designshop 福井県の曹洞宗総本山・永平寺で、精進料理を食べるために使われている漆器。6つの椀が入子状になっており、応量器(おうりょうき)と呼ばれる。洗朱塗りのものは主に祝い事に使われるという(¥39,167)

赤、白、黒。色で夏の食欲を刺激する

最初に訪れたのは、南麻布の閑静な住宅街にある「designshop」。柳宗理やイームズ、アアルトといったデザイナーが手がけたプロダクトや、熊本で作られる柿渋を塗った〈渋団扇〉や南部鉄器の鉄瓶など、民芸の品を扱っている。その中から柳宗理がデザインした、出西窯のプレートを手にした谷尻さん。

「引き締まった黒に料理が映えそう。おおらかな雰囲気は、今日つくる麺類にもぴったりだと思います」

続いて手にした2つは、入子状になった椀ものの器。青みがかった磁器の器は目に涼しく、洗朱塗りは鮮やかな赤が活力を与えてくれる。例えば夏野菜はカラフルな食材が多い。黒の器なら色に負けないインパクトが、磁器の器ならテーブル全体に爽やかさが、そして朱塗りの器なら素麺などのシンプルな料理にも華が生まれる。

デザインショップ|designshop 2003年にオープン。日用品のセレクトショップの先駆け的存在。世界的デザイナーの手がけた日用品と、各地の民芸などアノニマスなデザインを並列して扱っている。メインはオンラインショップで、家具から調理器具、食品まで300点以上をセレクト。南麻布のショップはショールームとして機能している。

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    1/3松岡ようじのたわみ鉢|SAVOIR VIVRE 松岡ようじの吹きガラスは、形が正確で、同じサイズならスタッキングが可能なのが特徴。オリーブオイルのような黄緑がかった色合いで、どこか優しげな雰囲気がある(中鉢¥7,000、小鉢¥3,500)

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    2/3鎌田克慈の漆皿〈uneri60〉|SAVOIR VIVRE 布を漆で固めながら重ね、それによって自由自在に形をつくる「乾漆」という技法でつくられた器。作家の鎌田克慈が生み出した碧色の漆が、深い海のような質感をつくっている(¥42,000)

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    3/3高橋禎彦の片口と、加藤委のぐい呑|SAVOIR VIVRE 吹きガラスの技術力に定評がある、高橋禎彦。有機的なラインを描く片口は、置いた姿も注いだ姿も美しい。加藤委は白磁の器を手がける作家。洋食器に使われる純白の素地により、透明感のある青が浮かび上がる(片口¥9,000、ぐい呑¥8,000)

ガラスや磁器、ツヤのある漆で食卓を涼しげに

続いて向かったのが、六本木のアクシスビルにある「サボア・ヴィーブル」。40年近くこの場所に店を構える器のギャラリー&ショップで、個性の光る作家ものの器を扱っている。谷尻さんが真っ先に手にしたのは、神奈川で活動するガラス作家・松岡ようじの鉢。

「やっぱりこの時期はガラスの器が気になりますね。松岡ようじさんの器は形がきれい。いつも器選びでは、シンプルだけど、シルエットにどこか有機的な美しさを感じるものを手にすることが多いです。鎌田さんの漆のお皿はまさにそう。手仕事が生んだ美しい形で、ほんのり青みがかった漆に料理も映えそうです」

例えば透明なガラスの器も、透明度の高いものか、うっすらと緑がかったものかで雰囲気が異なる。漆も形や艶の質感が変わるだけで、夏らしさを感じるものに。

六本木や麻布は器の店が意外にも多いエリア。お気に入りの一軒を見つけて、季節ごとに器選びを楽しんでみたい。

サボア・ヴィーブル|SAVOIR VIVRE 六本木で40年近く続く器のセレクトショップ。若手からベテランまで、作家性の強い器が見つかる。中にはアートピースのような斬新な器も。日常使いできるシンプルな器であっても、技法に個性が光るものが多い。ギャラリースペースでは月に2回、展覧会が開催される。

谷尻直子さんの「豚とアスパラの辛い辛い麺」

  作り方(2人前)
  豚ばら薄切り——160〜250g
  アスパラ————3本
  ニンニクの芽——3本
  中華麺—————100〜150g
  ラー油—————適量
  白胡麻—————適量
  塩———————適量
  パクチー————適量

① アスパラは根元の約4cmはピーラーで皮を剥く。アスパラもニンニクの芽も、3cm程度に切って、2〜3分熱湯で茹でる。茹で上がったら自然塩をふって、馴染ませておく。
② 豚肉をサラダ油少量で炒める。火が通ったら、自然塩をふって、馴染ませておく。豚肉は色が変わったらすぐに火を止めるようにして長時間炒めない事がポイント。
③ 中華麺は茹で時間通りに茹で、冷水でしめて、ほぐす。
④ 中華麺、ニンニクの芽、アスパラ、豚肉の順に皿に乗せ、白胡麻をかける。おいしいラー油をたっぷりかけて完成。好みでパクチーをのせても良い。

profile

谷尻直子|Naoko Tanijiri
料理家、予約制レストラン「HITOTEMA」主宰。ファッションのスタイリストを経て、現職に転身。幼少期から傾倒してきた食の世界では、自身がベジタリアンだった経験や、8人家族の中で育った経験を生かし、カラダ作りに気を配った献立を提案している。

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