「子どもにとって、“あそび”は生きる上で大切なこと」という理念の下、あそびを通して子どもの成長に貢献してきた「ボーネルンド」。知育玩具のパイオニアである同社の取り組みをご紹介する第2弾では、オリジナルの“あそび道具”を取り上げます。
PHOTO BY Kenya Abe
Edit & Text by Ai Sakamoto
ボーネルンドが取り扱うあそび道具と言えば、海外から輸入された既製品というイメージが強いかもしれません。しかし、中には独自開発した商品もあります。赤ちゃんから小学生の発達段階に合わせた、多種多様な経験のできるあそび道具を網羅することを目指す同社。必要なアイテムが世界中を探しても見つからなかったり、あっても入手しづらい場合は、国内外のメーカーとコラボレーションしたオリジナル商品を製作しています。
魚の形をした木琴「おさかなシロフォン」もその一つ。子どものあそび心を刺激するデザインと叩きやすさ、正確な音階を兼ね備えた木琴が誕生したのは、30年以上前のことでした。
「子ども用に、よい素材できちんと調律された木琴を作りたいというのが、ボーネルンドの希望でした」と話すのは、木琴を製造する工房の責任者・小林昭義さん。そこには子どもが初めて出合う楽器、つまり初めて奏でる音だからこそ、きちんと調律された“本物の音色”であってほしいという思いが込められています。また、「子どもがより愛着を持てるように、ボディを魚の頭と尾、音盤(鍵盤)を骨に見立てた魚形を提案された時には、驚きました(笑)。今見ても色褪せないのもすごい」とも。
9名のスタッフが働く工房では、板材の成型から研磨、塗装、調律、仕上げまで約20の工程を経て、オリジナル木琴を製造。自然素材である木の個性を見極めながらの作業となるため、大半は人の手を介して行われます。
「木目の詰まり具合や、節などを見ながら手作業しています。小さなお子さんが触れるものですから、細かい部分までサンドペーパーをかけて滑らかにすることも欠かせません。木琴づくりで大切にしているのは、正しい音階はもちろん音の伸びや余韻。子どもたちの記憶に残る、よい音を作り出したいと思っています」
愛くるしい木琴に込められた“本物の音色”に対する両者の思い。多くの子どもたちに、長く愛されてきた理由がそこにありました。
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