FINE DINING WITH TRUFFLES

秋の味覚の王様、トリュフの奥深い世界を味わえるレストラン3選

秋といえば思い出す高級食材のひとつ、トリュフ。優雅なその香りと豊かな風味に包まれる秋だけの贅沢も、たまにはいいのでは? ここでは、この時季がまさに旬! トリュフにこだわる名店3軒をご紹介します。

EDIT BY TM EVOLUTION.INC

❶ イタリア・ピエモンテ州アルバ産を毎週空輸。世界最高ランクのフレッシュトリュフが楽しめる——イルブリオ

「タヤリン・アル・タルトゥフォ・ビアンコ」(白トリュフの自家製手打ちパスタ)参考価格¥15,000。バターにブイヨンを加え、塩と白胡椒で整えたシンプルな味付けながら、卵が練り込まれたパスタは程良くコクがあり、トリュフの香りを絶妙なバランスで下支えする。

「トーレ・ディ・マンゾ・コイ・フンギ・ポルチーニ・フレスキ・アル・タルトゥフォ・ネロ」(新鮮なポルチーニ茸と和牛ヒレ肉の重ね焼き 黒トリュフ添え)参考価格¥10,000。ピエモンテ州の黒トリュフとポルチーニ茸は相性抜群。ポルチーニ茸の香りが黒トリュフのフレーバーを数段パワーアップさせ、マデラソースと渾然一体となってヒレ肉に絡んでいく。

テーブルで削りたてを提供してくれるので、芳香なトリュフの香りが周囲に充満。トリュフは量り売りで、予算に合わせて好きなだけ削ってもらえる。

手前が白トリュフと黒トリュフで、奥が大きなポルチーニ茸。「イルブリオ」では旬のこの時期、世界最高級のアルバ産を毎週空輸している。トリュフの旬は、例年だと年明けまで。

『イルブリオ』で使用するトリュフは、全てイタリア・ピエモンテ州のアルバ産。世界の超一流店が渇望する最高級の白トリュフ・黒トリュフを、毎週、新鮮なうちに空輸しているのだ。朝採れたトリュフはその日のうちに日本に到着し、中一日もあればイルブリオのテーブルで提供されるスキームが組まれている。したがってトリュフの香りは、まるで採れたて。ほかの何モノにも代えがたい高貴な芳香を、思う存分に楽しめるというわけだ。

しかも『イルブリオ』のコンセプトは「As you like it(お気に召すまま)」。食材を好きな料理方法で、好きなだけ楽しめる趣向だ。トリュフについては仕入れ価格で変動する時価制となり、取材当日の白トリュフは1グラムあたり3,500円、黒トリュフは1グラムあたり1,800円で、削った分を正確に算出する明朗会計だ。なるほど、ゴージャス派も節約派も等しく大満足なのである。

「アルバ産の白トリュフは土の中で熟成が進むと褐色を帯びます。そうしたものは俄然、香りが立っています」とは、廣本シェフのコメント。店舗ではこの熟成香にこだわり、トリュフを軸にしたレシピを多彩に提案する。トリュフの繊細極まる芳香は、もしかしたら日本人の方が扱いが上手いのではないか――そんな気づきを得させてくれるほど、抜群のトリュフ料理を提供している貴重なお店だ。


イルブリオ
住所=東京都港区六本木6−10−1 六本木ヒルズ ウェストウォーク5F
電話=03-5414-1033
営業時間=平日11:00〜15:00(L.O.14:00)/14:30〜16:30(L.O.16:00)※カフェタイム17:30〜24:00(L.O.23:00)、土・日・祝11:00〜15:00(L.O.14:30)/15:00〜16:30(L.O.16:00) ※カフェタイム17:30〜24:00(L.O.23:00)、金・土・祝前日(ディナー)〜翌2:00(L.O.翌1:00)
定休日=無休
※各種電子マネー、交通系IC、各種クレジットカード利用可
 
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
PHOTO BY FUMIAKI ISHIWATA

❷ フレンチにこだわらない調理法でトリュフを贅沢に楽しめる専門店——テール・ド・トリュフ東京

トレーに乗せたトリュフの蓋をテーブルにて外してまずは、香りを楽しんでもらう趣向。左手前から時計周りに、アルバ産白トリュフ、ウンブリア産オータムトリュフ、オーストラリア産フローズンサマートリュフ、雲南省黒トリュフ。

「じゃがいものトリュフクリーム」は、ニース本店のスペシャリテ。バターは使用せず北海道産の脂肪分47%の生クリームをじっくり煮詰め、ローストした男爵いもとフローズントリュフを合わせた濃厚でクリーミーな逸品。ランチコース¥7,000/¥12,000、ディナーコース¥18,700/¥24,000全てのコースで提供(白トリュフ使用の場合 2g +¥7000)。

黒トリュフご飯。トリュフをふんだんに使用し、ストウブで炊き上げ、最後にトリュフを刻みご飯に混ぜ合わせていただく。ご飯には鶏のブロード・昆布、白醤油などの出汁が効いていてさっぱりといただける。卵(溶き卵に調味料)をかけるとより濃厚になり、味の変化も楽しい。少し加えているバターがトリュフの風味を引き立てる。写真はフローズントリュフを使用(現在はオーストラリア、季節によってイタリア産に変更)。ディナー¥18,700/¥24,000にて提供。

常陸牛フィレのロッシーニ風。トリュフをまぶしたフォアグラムースとフィレ肉の風味が絶妙だ。付け合わせは、マコモ茸と栗のペースト(使用するフレッシュトリュフは季節により変更)。個室の特別ディナーメニュー¥24,000にて提供。

『テール・ド・トリュフ』の本店はフランス・ニースにあり、トリュフ料理を心ゆくまで楽しめるビストロに近い雰囲気のレストラン。多くのフランス人をはじめ、世界各国の美食家たちが訪れる人気店である。その姉妹店となる『テール・ド・トリュフ 東京』は、2008年、六本木ヒルズけやき坂にオープン。2012年12月、外苑前駅から程近い南青山に移転オープンした。青山とは思えない、隠れ家的な立地と雰囲気で人気の日本初トリュフ料理専門店だ。店内には、3つの個室がありテラス席に面した個室は、4名まで利用可能、キッチンの雰囲気を感じるふたつの個室は、コネクトして2名から8名まで利用可能(個室利用はチャージなしで¥24,000の料理注文での予約)。

今年の3月に料理長に就任した比連崎氏は、フレンチにとらわれず和の食材・調味料も使用し、夏には素麺などを取り入れるなど、トリュフの香りと風味を最大限に生かしたクリエイティブなメニューを提供している。メニューは『シェフのおすすめコース』のみ。料理長が考案したトリュフの魅力を最大限に活かした至福の料理を堪能でき、メニューも2カ月に1回変更。使用するトリュフもスライス以外に千切りやみじん切りにしたりと様々な工夫を凝らし、口に入れた時の食感を大切にしている。

また、フローズンにするとトリュフの味が濃くなるなど、素材の変化を活かした料理へのアプローチも試みているなど、ここはまさに、フレンチではなくトリュフ料理専門店と呼ぶべき店だ。コースの中のメニューは、全て白トリュフに変更可能(+追加料金)。年によって違いはあるが、基本的には年内の提供となる。また、全てに白トリュフを使用した特別コースもある。この季節の醍醐味。秋の贅沢を是非ご堪能あれ。


テール・ド・トリュフ東京
住所=東京都港区南青山2-27-6Reve 南青山ビル1F
電話=050-1807-6980
営業時間=ランチ11:30〜15:00(L.O.13:30)/ディナー17:00〜23:00(L.O.20:30)
定休日=無休
※価格はサービス料別
※各種クレジットカード利用可(現金利用不可)
 
PHOTO BY HIDEHIRO YAMADA
TEXT BY MIYAKO SHIBUSAWA

❸ 焼肉レストランでいただく、驚きと楽しみのトリュフハーモニー——六本木焼肉 Kintan

『六本木焼肉 Kintan』の「和牛のトリュフ寿司」1貫¥980(別途サービス料5% ※写真は2貫)。黒毛和牛のサーロインで握られ、トリュフを飾った寿司は見るだけで非日常の特別感を楽しめる。シャンパンなどスパークリングワインと合わせるのがお薦めだ。

「KINTANトリュフロース」¥2,580(別途サービス料5%)。黒トリュフがふんだんに散りばめられた極上ロース。肉には厳選の塩がかかっており、焼いた後はトリュフの香りが引き立つように塩味のままいただく。

トリュフロースは、トリュフが中にくるように肉を折りたたみ、両面を軽く焼いていただく。溶け出した極上ロースの旨味とトリュフが渾然一体となった味わいを楽しめる。

ご飯ものの中で一番の人気メニューだという「フォアグラとトリュフの石焼ビビンバ(ベッタラ漬・シバ漬・青ネギ)」¥2,280(別途サービス料5%)。世界の珍味に韓国、日本の素材を組み合わせた、『KINTAN』でしか生み出せないメニューだ。

六本木交差点のすぐ裏手にあり、奥行きのある店内はニューヨークのブルックリンをイメージしたデザインになっている焼肉レストラン『六本木焼肉 Kintan』。カジュアル、そしてリッチに焼肉を楽しんでもらおうと、ワインとのマリアージュを意識したメニューが揃う店だ。

そんな『KINTAN』で楽しめるトリュフメニューには、寿司、極上ロース、石焼きビビンバの3品がある。まずは「和牛のトリュフ寿司」。黒毛和牛のサーロインで握られた看板メニューの牛肉寿司にトリュフが飾られている。輝く赤身ときめ細やかな霜降り、トリュフの色合いを目で楽しんだ後は、パクリとひと口で。ほろりとほどけるシャリに柔らかな肉の食感、ゆっくりと鼻に抜けるトリュフの香りが一度に楽しめる。シャンパンなどスパークリングワインと合わせるのがお薦めだ。トリュフを「焼く」という体験ができるのは「KINTANトリュフロース」。実際には肉の間に挟んで焼くという感じになるが、トリュフの香ばしさと極上ロース肉との一体感を味わえる。

締めには「フォアグラとトリュフの石焼ビビンバ」を。世界3大珍味のうちのふたつを石焼きビビンバに呼び寄せ、さらに和の素材として細かく刻んだベッタラ漬とシバ漬、青ネギを散らすという、食に驚きや楽しさを追求する『KINTAN』ならでは逸品だ。石焼きなのでご飯のお焦げもでき、全てを混ぜ合わせて食べると、トリュフの香りに加え、フォアグラの濃厚さ、それを中和させるような刻み漬物が絶妙なハーモニーを奏で、食感の変化も楽しめる。店名の『KINTAN』には金の舌(タン)を持つ食通も唸らせる、美味しい料理を提供するという思いが込められているが、工夫を凝らしたトリュフメニューからもその意志が伝わってくる。


六本木焼肉 Kintan
住所=東京都港区六本木6-1-8 六本木グリーンビル 2F
電話=03-3475-1129
営業時間=ランチ月〜金11:30~15:00(L.O.14:30)、土・日・祝11:00~15:30 (L.O.14:30)/ディナー月〜金18:00~23:15(L.O.22:45)、土曜17:00~23:15(L.O.22:45)、日・祝17:00~22:00(L.O.21:30)
定休日=無休
※各種電子マネー、交通系IC、各種クレジットカード利用可
 
TEXT BY TAKESHI KONISHI
PHOTO BY TAKUYA SUZUKI

※2023年11月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。