STARRED CHEFS TAKE NEW ROADS

隠れ家カフェにフローズンミール! 「六本木ヒルズ」出身シェフたちの新展開

『ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション』立ち上げメンバーの3人の女性。また『ジャン・ジョルジュ東京』創業時のシェフだった米澤文雄シェフ。六本木ヒルズ出身のクリエイターが今、新たな活躍の場を得ている。「料理人としてのあなたの今は?」を聞いてみました。

TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
EDIT BY TM EVOLUTION.INC

❶ 旬素材の鬼盛りパフェが大評判! 桜の名所に佇む隠れ家カフェ
—— SPROUT Café さくら坂

 

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1/8「冬限定の古都華いちごのパフェ」¥1,980は、ビジュアルも映え!
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2/8「冬限定の古都華いちごのパフェ」。華やかでボリューミーなパフェは一瞬、ひとりで完食できる? と不安になるが、爽やかな甘さと軽やかな食感で、案外ペロリっといけるのでご安心を!
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3/8パフェの内容を詳細に説明したリーフレット。これがあれば、次はどんな層があるのかが一目瞭然。
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4/8「クロックムッシュ」¥1,650はラクレットチーズを使用。キャロットラペ、ポテトサラダ、グリーンサラダなど、付け合せの野菜もたっぷり。ほか、サンドイッチや季節のキッシュ、ドリアなど食事メニューも充実している。
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5/8大きなガラス窓越しに外の景色を楽しめる。室内にいても開放的で居心地がいい。
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6/8店内は、高い天井とお洒落なインテリアで、まるで友人の家に来たかのように寛げる雰囲気。
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7/8ペット同伴可能のテラス席。「ほとんどが常連の方で、中にはお散歩中のワンちゃんが先に入ってくるほどなんです(笑)。昔は隠れ家的と言われていましたが、今は多くの方にご来店いただいています」と、マネージャー井上さん。桜の季節はテラス席希望のお客様で満席になるそう。
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8/8『スプラウトカフェ』の紅茶は、天日干しした狭山茶を使用している。茶葉の購入も可能だ(¥1,188)

赤坂アークヒルズエリアにある、“新芽”と名付けられた『スプラウトカフェさくら』。2019年にオープンしたこのカフェは、六本木ヒルズのミシュラン星付きの名店『ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション』の立ち上げメンバーだった3人の女性が、力を合わせて開いた店舗だ。

フレンチレストラン界のトップブランドでありながらも、『ジョエル・ロブション』のメンバーにはファミリー的な側面がある。ゆえに『ジョエル・ロブション』を卒業しても、当時の仲間や上司と頻繁に連絡を取り合い、繋がっているそうだ。そうした絆の中で、ロブション出身者は新たな挑戦の舞台を見つけていくのだろう。

営業中の忙しい中、3人揃って店舗前に並んでいただいた。左から、代表の野崎照美さん、シェフ・パティシエの吉田順子さん、マネージャーの井上さん。『SPROUT Café さくら坂』は、この3人の女性の力で運営されている。

さて『スプラウトカフェさくら坂』の看板メニューは、シェフ・パティシエの吉田順子さんが作る季節の素材を生かしたパフェである。今なら、「冬限定の古都華いちごのパフェ」がお勧めだ。“古都華いちご”とは、市場にはあまり出回らない苺。2011年に品種登録された奈良県を代表する高級品種であり、やや硬めの果肉で甘酸っぱく、艶やかな紅色が印象的で、まさにパフェの主役にピッタリである。この希少な品種を、「スプラウトカフェさくら坂」では、奈良県天理市の中井農園から直接仕入れている。

トップには冬のイメージのホワイトチョコ。そしてバニラアイス、古都華のソルベ、フリュイルージュのソルベと続く。この溢れんばかりの盛り付けは、今、流行りの“鬼盛り”そのもの。それに黄金色のバニラアイスは、黄色というよりも、むしろオレンジ色に近い気もする。「バニラアイスの色にもこだわり、下北半島から卵を取り寄せています。この卵黄は本当にオレンジ色なんですよ」と、シェフ・パティシエの吉田順子さん。同店では、この卵をアイスやプリン、ショートケーキのスポンジ生地に使っている。

また『スプラウトカフェさくら坂』はフードメニューも充実しているが、フードを注文した方々には、プラス¥660でミニパフェを提供。食事の後でも無理なく完食できるように、パフェの分量を調節している。食事もパフェも両方存分に食べたいなら、こちらのセットがオススメだ。

ところで吉田シェフ・パティシエは、『ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション』時代の経験をこう振り返る。

「今のパティシエとしてのベースの9割は、ロブションで培いました。お菓子に対する考え方が、ガラッと変わったのです。素材をシンプルに生かす。必要以上に色々な味を混ぜない。3種類以上の材料を加えずに作りなさいという当時の教えは、今もなお、自分自身の基本姿勢になっています」

冬の季節限定パフェは、3月半ば頃まで。桜の便りが届く頃には、ピスタチオなど新緑のイメージを取り入れた春のイチゴパフェが登場予定だ。また今現在は、古都華いちごのフルーツサンド、ショートケーキ、スムージーも提供中。こちらもとても魅力的なラインナップである。

SPROUT Café さくら坂
住所 東京都港区六本木1-3-37 アークヒルズアネックス 電話 03-6229-3690 営業時間 11:00〜17:00 定休日 火曜 ※各種クレジットカード、IC決済利用可
PHOTO BY CHISATO NOGUCHI(NDPP.)

❷ 安心・安全で美味しい「フローズンミール」で、食の新たな選択肢を提案
—— nonpi A.R.U

 

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1/6米澤シェフが手掛ける試作品のひとつ。赤魚の切り身を主菜としたシーフードメインのプレート。
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2/6大豆ミートハンバーグを中心としたプレートの試作品。きのこのソテーや、芽キャベツの温野菜サラダ、ズッキーニとパプリカの和え物をプレートに収め、これひと皿で大満足のボリューム。
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3/6例えばワインと一緒に楽しむのもお勧め。上質な味付けで、心も十分に満たされる。
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4/6プレートをお皿に盛り付けすれば、突然のホームパーティーなどにも焦らず対応できそう。
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5/6『nonpi A.R.U』は、袋を切って必要な時間レンジ加熱するだけ。家庭用レンジでも1プレート6分程度で完成する。
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6/6米澤シェフが考案したヴィーガンレシピの数々は、今も多くの女性たちに支持されている。こちらは柴田書店から発売中のレシピ集『Vegan Recipes』

20代で渡米、NYの三ツ星レストラン『Jean-Georges』(ジャン・ジョルジュ)の副料理長を日本人で初めて務め、帰国後は六本木ヒルズの『Jean-Georges Tokyo』料理長として活躍。2018年に自身がプロデュースするグリル&ヴィーガンレストラン『The Burn』をオープンさせた米澤文雄シェフ。

NYの三ツ星レストラン『Jean-Georges』(ジャン・ジョルジュ)の副料理長をを務め、帰国後は六本木ヒルズに開業した『Jean-Georges Tokyo』(ジャン・ジョルジュ東京)料理長に就任。現在は、フリーランスとして精力的な活動を行っている米澤文雄シェフ。

その米澤シェフは今、『The Burn』を離れ、フローズンミール『nonpi A.R.U』の開発などを手掛けている。これまでの冷凍食品とは違って、主菜・副菜を網羅する1食分がひとつのプレートに収まり、お弁当を温めるように1回の電子レンジ加熱で手間なく食事が完成するのがフローズンミールのコンセプトだ。しかも安心・安全な食材を用いて、美味しさにも徹底してこだわり抜く。『nonpi』とは、製品化を手掛ける企業名、『A.R.U』とは、”Always Ready For You”の意味が込められている。

米澤シェフはこう語る。

「基本的に僕は自炊推奨派ですけど(笑)、日々の食生活を100%自炊だけでまかなうのは、現実的ではないですよね。ストイックになったところで、豊かなライフスタイルは実現しません。そこで、これからは、なかったものがある世の中になっていくと思うんです。リアルな生活に合わせて、新たな製品がどんどん生まれてくる。これまでの冷凍食品は、便利だけれども、品質や美味しさについては疑問が残りました。そうした課題を解決していこうというのが、フローズンミール『nonpi A.R.U』のテーマです」

フローズンミールは、SDGsの観点からも利点がありそうだ。

・フードロスが出にくい
・洗い物が出ないので、水を使わない
・都度買い物をしないから、食品配送時の各種コストが低減できる
・高齢者の食生活サポートに貢献する
・災害時に備え、大量の食事を保管。低コストで運搬・提供できる

「もちろん、フローズンミールだけでSDGs目標が満額達成できるとは思いません。それでも、豊かなライフスタイルを実現するための一助になる。ジャン・ジョルジュさんも、そういう考えの人でした」

フレンチはハレの日の食事。シェフが腕によりをかけたひと皿と対峙するのはこの上なく楽しいが、そんな食生活は続かない。思い起こせば、米澤シェフが『Jean-Georges Tokyo』を卒業し、自らプロデュースしたレストランも、カジュアルなレストランだった。しかも、“肉料理とヴィーガン”という対照的な2枚看板を掲げ、注目を集めたのである。

「当時は飲食業界バブル。私が『Jean-Georges Tokyo』を辞めたときは、『次は自分の名前で、高級フレンチを出すんでしょう?』って、皆さんから言われました。でも、僕はそういうお店はやりたくなかったんですよね。ハレの日のフレンチなら、もうほかにいくらでもあるから。

翻って、今、家庭用冷蔵庫の冷凍庫スペースが大きくなっています。食品を冷凍保管するニーズの現れですよね。『腐らずに長期間保存できる』『手軽におかずを作れる』という利点が今の時代に必要とされているのだと思います。ならば、その課題に正面から向き合い貢献したいというのが、料理を生業とする僕の考えです。時代に沿う提案をしていきたい」

自身を振り返り「料理人としての修行先として、NYを選んだことは、間違いではなかった」と米澤シェフ。フランスやイタリアを西欧料理の修行先に選ぶのが一般的かもしれないが、その一方で、時代に対する先見性は、NY修行時代にジャン・ジョルジュ氏のもとで培うことができたという。しかも、NYで触れた食トレンドは、確実に世界に波及しているとも。

「コロナ禍を経て、飲食業界も変化します。食材価格はこれ以上、下がることはないでしょうし、人件費などを考えても、かつての業態を今後再現できるとは考えにくい。牛肉が高級な嗜好品になって、大豆ミートに置き換わっていくことも現実的に起こるでしょう。そんなタイミングでも、食に対する選択肢を数多く提供していくのが僕の仕事だと思っています」

nonpi A.R.U
トップシェフが手掛ける洒脱なフローズンミール。500kcal以下、保存料・合成着色料不使用と健康的。電子レンジで温めるだけで、美味しいおかずが出来上がる。配送周期や配送食数は、一人ひとりの生活リズムに合わせて組み合わせ可能、共働きで食事の準備が難しいけれどおいしく健康的な夕食を用意したい、リモートワーク中のランチに簡単でおいしい食事を摂りたいなど、幅広い用途での活用が期待されている。
PHOTO BY HISAKO HAGI

※ 2022年2月現在の情報となります。
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