ヒルズエリアの有名料理人・飲食店オーナーたちが、普段から食しているお気に入りのラーメンをご紹介。それぞれの個性を写し出したセレクションは、“なるほど!” と納得するものばかり。ホリデーシーズンの気分転換に、お正月料理に飽きてきた年明けに味わってほしい、一流料理人お薦めのラーメン店を一挙公開します!!
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
EDIT BY TM EVOLUTION.INC
女性シェフ目線で選ばれたヘルシー志向の一品。爽やかなラーメン?と疑うかもしれないが、これホントなのだ。鮎出汁で旨味を引き出しているから、とってもヘルシー。味わいも軽やかなのである ——まるごと一尾を載せた「鮎丸ごとラーメン」¥1,100。そして鮎脂をたっぷり染み込ませた醤油による「味付卵」¥100をトッピング。
「鮎の味を引き立たせる黄金色の優しいあっさりとした爽やかなスープと、縮れ麺がとても美味しいんです!」(大澤シェフ)
ラーメンなのに食後が爽やか!
その秘密は、干した鮎の旨味脂!!
『鮎ラーメン+』は、二子玉川で創業して10余年の『鮎ラーメン』が「虎ノ門ヒルズ」に出店した新店舗。飛騨高山出身の創業者が、幼い頃から親しんできた鮎の味わいと、飛騨高山ラーメンを掛け合せたのが始まりだ。麺は細縮れが特徴の高山麺を使用。これに地鶏ガラと鮎の焼干しで取った澄み渡るスープを使用している。
鮎は蛋白な川魚だが、干すことによって旨味が凝縮。“香魚”と言われるほど香りが立つ魚だが、その香りは干すことによっておだやかに落ち着き、臭みが除かれ、まろやかな旨味に変わる。ゆえに「鮎の塩焼き」をイメージするとちょっと異なる。苦味がなく、軽やかな旨味だけが、口中を洪水のように押し寄せてくるからだ。しかもヘルシーな魚脂だから、ラーメンなのに“ギルティフリー”なのである。
1/5具材の鮎の一夜干しは、焼き立てを提供。香ばしい香りと共に、脂がスープに染み出してくる。
2/5鮎のヘルシーな脂がキラキラと煌めく、澄み切ったスープ。
3/5麺は細縮れ。飛騨高山ラーメンの特徴でもある。
4/5鮎の骨出汁で炊いた米に、自家製の鮎ふりかけを混ぜ、鮎の醤油で焼いている「焼きおにぎり」¥200。しっかりとした鮎の旨味を堪能できる。
5/5ベースに鶏ガラを使用しているものの、鮎と香味野菜、果物でスープを作っている。動物性食材が抑えられ、ラーメンなのにヘルシー。
さらに、どんぶりに鮎の一夜干しを焼いてスープに入れることで、焼き立ての鮎から脂がどんどん染み出してくる。この焼鮎は、“丸ごと一匹”、“一匹の半身”、“一匹の1/4”から選択可能だ。もちろん、お薦めは旨味がだんぜん強い“丸ごと一匹”。中骨はもちろん、細かな腹骨も取り除いているから、アタマから尻尾まで丸ごと食べられる。
ちなみに、お腹に余裕があるなら、「焼きおにぎり」¥200を合わせて注文したい。鮎の骨出汁で炊いた米に自家製の鮎ふりかけを混ぜ、鮎の醤油で焼いているから、格別に香り高く、香ばしい。こちら、そのまま食べるも良し、スープの中に落として、崩しながら、お茶漬けのようにして食べても絶品である。
鮎ラーメン+ 虎ノ門ヒルズ店
住所 東京都港区虎ノ門1-17-1虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー3F 虎ノ門横丁 電話 090-1533-1053 営業時間 平日 11:30~15:00 / 17:00~23:00(L.O.22:30)、土曜・日曜・祝日 11:30~15:00 / 17:00~22:30(L.O.22:00) 定休日 無休 ※各種クレジットカード、交通系IC、QRコード決済利用可
PHOTO BY TAKUYA SUZUKI
❷ 虎ノ門ARBOL(虎ノ門ヒルズ)|古田崇オーナーシェフのお薦めは?
利尻昆布ラーメン くろおび
“お魚愛”にあふれる古田シェフのこだわりは、以前にも「HILLS LIFE DAILY」の記事で語っていただいたが、その古田シェフが『利尻昆布ラーメン くろおび』を選ぶとは、これまた納得のセレクトである ——『利尻昆布ラーメン くろおび』の一番人気、「くろおびラーメン」¥1,100。同店のトッピング具材を全て網羅する盛りだくさんの構成。
「昆布の旨味たっぷりのスープがとにかく美味しいです」(古田オーナーシェフ)
京都の料亭で使用する高級利尻昆布を、
惜しみなく贅沢使用
店名の『くろおび』とは、柔道経験者の先代店主が、利尻昆布を“黒帯”に見立てたことから命名。もともと港区・大門エリアで営業していたが、ビルの老朽化をきっかけに、およそ5年前に虎ノ門エリアへと移転した。オーナーが北海道の利尻島に出向いた際に食したラーメンの味が忘れられず、東京でラーメン店を開業するまでに至ったという経緯だ。利尻昆布の出汁の旨味で勝負するため、味付けは“淡麗”で攻めている。
つまり昆布出汁の旨味を最大限に引き出すために、余計な味付けをしない主義。ゆえに食後に後味を引かないさっぱりとした心地良さはダントツ。京都の料亭クラスの貴重な食材を、ラーメンに惜しみなく使うとは、なんとも大胆なアイデアだ。
1/41メートルはありそうな大振りの利尻昆布。この高級食材を惜しげもなく使用している。
2/4昆布出汁の濃厚な旨味を邪魔しないように、スープの味わいは淡く軽やかに抑えている。したがって、こちらのラーメン、胃もたれとは無縁だ。
3/4『利尻昆布ラーメン くろおび』の麺は、低加水タイプで、スープによく絡む。
4/4防腐剤・漂白剤を不使用のヒノキ製割り箸。こちら、実は一般的な割り箸とは桁違いに高価なものなのだ。
具材は、バラ肉とロース、2種類のチャーシュー、穂先メンマ、長ネギ、味付け玉子、海老ワンタン。「くろおびラーメン」は、その全ての具材が入っている。麺はストレートタイプの細麺。しかも加水率を低めにすることで、スープが染み込みやすくしている。“味変”アイテムは、シンプルに胡椒とお酢のみ。化学調味料無添加スープゆえに、お酢を注ぐと酸味がぐっと引き立つはずだ。これが化学調味料使用のスープだと、お酢が甘く変化してしまうそうだが、『利尻昆布ラーメン くろおび』では、もちろん、そんなことはない。
そして、この店舗は、なんと割り箸にもこだわっている。防腐剤・漂白剤を一切使用していないヒノキのお箸なのだが、「せっかくこだわっている無添加スープに染み出さないように」と、考えたそうなのだ。この無類のこだわり、食べて納得なのである。
利尻昆布ラーメン くろおび
住所 東京都港区西新橋1-20-11安藤ビル1F 電話 03-6435-6647 営業時間 平日11:00〜15:00(L.O.14:45)/ 17:00〜23:00(L.O.22:30)、土曜・祝日 11:00〜15:00(L.O.14:45)/ 17:00〜21:00(L.O.20:30) 定休日 日曜 ※エックスコイン利用可
PHOTO BY CHISATO NOGUCHI(NDPP.)
繊細なフランス菓子に日頃から向き合っている髙橋さんは、やはり繊細な味わいのラーメンを好むのだろう ——「柚子塩ラーメン」¥1,080は、『AFURI』のシグネチャーラーメン。黄金色に輝く淡麗スープに爽やかな柚子の香りが広がる、『AFURI』を代表する一杯だ。
「すっきりとしたスープに、爽やかな柚子の香りが好きでよく食べに行ってます!」(髙橋エグゼクティブシェフパティシエ)
厳選素材の繊細なスープに、
柚子の爽やかな香りが広がる
六本木ヒルズ『ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション』の髙橋和久エグゼクティブ シェフパティシエが、「普段から好んでよく食べています」と紹介してくれたのが、六本木ヒルズ メトロハット/ハリウッドプラザB2Fにある『AFURI六本木ヒルズ店』の「柚子塩ラーメン」だ。
国産の丸鶏、魚介、香味野菜を、神奈川県・阿夫利山の天然水で炊き上げた『AFURI』のスープは、数多あるラーメンスープの中でも群を抜き繊細さを極めたもの。このスープの仕込みを『AFURI』では店頭では行わず、神奈川県厚木市七沢に構えるセントラルキッチンで管理している。わずかに沸騰するだけで味も香りも変わってしまう、ストライクゾーンがピンポイントのレシピを頑なに守り、さらに当日の天候や湿度にも合わせて、火加減を調整しているそうだ。
1/3セントラルキッチンで管理された新鮮な材料を用いて素早く提供。だから、『AFURI』では、店頭でお客さんを待たせない。
2/3徹底管理されたレシピを店頭で実践するのは、『AFURI』の優秀なスタッフたち。
3/3ラーメン店らしからぬ!? スタイリッシュな空間設計もまた、『AFURI』ならではの特徴だ。
特製の塩ダレ・醤油ダレはもちろん、チャーシューなどもセントラルキッチンで仕込み、『AFURI』ではベストな食材の味わいを徹底追求。一枚一枚、丁寧に炙ったチャーシューも、ほかでは味わえない抜群の出来だ。そして麺は、麦の香りが上品に香る細麺。柚子の香りが鼻腔を抜ける繊細なスープの味わいには、やはり細麺がマッチする。
この「柚子塩ラーメン」にもう一品追加するなら「炙りコロチャーシュー飯」¥580はいかがだろう? ジューシーに炙った豚脂の甘みを柚子風味の大根おろしでさっぱりといただくご飯もので、「柚子塩ラーメン」のスープにもぴったり。このカップリング、お腹も心も大満足出来るだろう。
AFURI六本木ヒルズ店
住所 東京都港区六本木6-4-1六本木ヒルズメトロハット/ハリウッドプラザ B2F 電話 03-3408-1880 営業時間 11:00~23:00(L.O.22:00) 定休日 無休 ※各種クレジットカード、交通系IC、QRコード決済利用可
❹ 赤身専門 にくがとう(六本木ヒルズ)|GO MIURA オーナー兼プロデューサーのお薦めは?
楽観 NISHIAZABU GOLD
さすが焼肉店オーナー、ガツンと肉を喰らい、アルコールを嗜んだ翌日の賢い対処法に長けているのだ!——黄金お出汁のスープを醤油味で仕立てた「特製琥珀とくせいこはく」¥1,150。『楽観』一番人気のシグネチャーラーメンだ。
「醤油ラーメンのすっきりしたコクのある味が、二日酔いにも効いて(笑)美味しいんです」(GO MIURA オーナー兼プロデューサー)
極上のお出汁で支える、
旨みたっぷりの醤油ラーメン
お次のラーメンは、六本木ヒルズ『赤身専門 にくがとう』のオーナー兼プロデューサー、GO MIURA氏が紹介してくれたもの。
「日本のお出汁文化を広めたい」という思いから、スープ作りに鰹節、昆布、新鮮野菜を使用。試行錯誤して辿り着いた旨味たっぷりの黄金お出汁スープが特徴だ。
「特製琥珀とくせいこはく」¥1,150は、『楽観 NISHIAZABU GOLD』のシグネチャーメニュー。独自の黄金スープをフィーチャーした、シンプルな醤油ラーメンだ。もちろん、“シンプル”といっても、この旨味、ちょっとほかでは味わえない代物。スープのコクが並大抵ではなく、しかも後味スッキリ。ラーメンの域を超え、料亭お出汁の域に達しているのではないか……というほど圧倒的だ。
しかも「特製琥珀」は、ノーマルの「琥珀」と異なり、チャーシューがたっぷりと3枚(ノーマルは2枚)。このチャーシューは、木桶仕込みの一等醤油に長時間漬け込んだものだ。熟成した肉質は、口に入れるとホロリとこぼれていく。そして肉厚の支那竹と海苔も、黄金スープとの相性抜群だ。
このラーメンにプラス一品するなら、「焼豚丼」¥480がお薦め。焼豚に添えられたマヨネーズの酸味が、スープの味をビビッドに引き立ててくれること間違いなしだ。この『楽観』は、2022年4月に下北沢駅前店が新しくオープンする予定。ますます注目されること間違なしのラーメンを、今のうちに試してみてはいかがだろう?
端麗なスープ作りを日々探究する、店主兼エリアマネージャー、國元駿さん。
楽観NISHIAZABU GOLD
住所 東京都港区西麻布1-8-12 電話 090-1533-1053 営業時間 11:00~16:00/18:00〜22:00(日曜のみ11:00〜17:00) 定休日 無休 ※PayPay利用可
「分厚いチャーシューが非常にジューシーで、絶品のつけ麺です」(外国人シェフ)|こちらシェフは匿名希望だが、やはり外国人シェフが選ぶのは、いかにも味わいが際立った“ハードボイルド”なメニューだった ——ひと口目から胡椒の存在をハッキリと感じさせる、スパイシー麺が魅力の「虎嘯つけ麺」¥1,220。
胡椒を麺に練り込んだ、
パンチの効いたスパイシーさが魅力
お次は、麺をガッツリと食したい時にお薦めの“絶品つけ麺”である。こちら、なんと麺に胡椒が練り込んであり、ズバ抜けてスパイシーでパンチが効いている。「虎嘯つけ麺」¥1,220は、中火炊き鶏ガラベースのスープと弱火炊き魚介ベースのスープを合わせた、鶏味のほうがやや勝るWスープ。あっさりとした口当たりなのに、しっかりとしたコクを感じるスープとなっている。
この特徴のあるスープに、胡椒を練り込んだ、もちもちの太平打ち麺が絡みつく。麺を噛んだ時に胡椒の香りがフワッと鼻に抜ける感覚は唯一無二であり、この独特な麺は、この店でしか味わえない。
チャーシューは、最新のコンベクションオーブンでふんわり蒸し上げ、特製タレで煮込み、提供直前に、鉄板でカリカリっと表面を焼いている。故に口に含めば、表面はカリッ、肉質はトロッ、肉汁がジュワッと溢れるのだ。
そして、“味変”には「海老七味」がお薦め。スパイスや唐辛子をブレンドした特製七味で、桜海老の香りが食欲を増進させること間違いなしだ。もうひとつ、「飴柚酢」は、甘めの柚子酢。このお酢をかけると、口の中がサッパリとリセットする。ちなみにリピーターの中には、「海老七味」と「飴柚酢」をブレンドして“酸っぱ辛い”サンラータン風を好む人も多いとか。
「特製のメンマダレで煮込んだしっとり穂先メンマ、生の柚子の皮を最後に摺り下ろして散らしたりと、こだわりの詰まった一杯です。是非ご賞味ください」とは、『麺屋武蔵』代表取締役の 矢都木二郎さん。
「虎嘴つけ麺」と同レシピのラーメン版もあり。
六本木 麺屋武蔵 虎嘴住所 東京都港区六本木4-12-6内田ビル1F 電話 03-3497-0634 営業時間 平日11:00〜22:30、土曜・日曜・祝日 11:00〜22:00 定休日 無休
❻ 鰻處 黒長堂(六本木ヒルズ)|藍葉信之 店長のお薦めは?
「黒胡麻担々麺」
蒼龍唐玉堂 六本木
見るからに濃厚さが伝わってくる担々麺である。さすが六本木ヒルズの鰻処、『黒長堂』の藍葉店長のお薦めだ!——白湯スープにたっぷりの黒胡麻を使用した「黒胡麻担々麺」¥968。
「『蒼龍唐玉堂』といえば、定番の「黒胡麻担々麺」。平たいモチモチした麺に、辛さと旨さが“ガツン”とくるスープが、よく絡みます。担々麺のバリエーションが多いところも気に入っています」(藍葉信之 店長)
溢れるコク、そして濃厚な旨味。
六本木エリアで担々麺を食すならココ!
コクを求めるなら、やっぱり担々麺! 中でも六本木ヒルズエリアなら、『蒼龍唐玉堂 六本木』で決まり!!
「黒胡麻担々麺」¥968は、白湯スープがベース。お酢を少しだけ入れると味に丸みが出るのが特徴だ。この担々麺、『マトリックス』最新作で、人気再燃中のキアヌ・リーブス氏もお気に入りなのだそう。
担々麺専用の平たい麺を使用しているから、濃厚なスープがよく絡む設計。そしてトッピングは、肉そぼろと刻んだニラ、粉山椒、最後に辣油をひと回し。辛味を追加したければ、無料で麻辣醤をトッピングできる。
一品メニューは「やみつき餃子(6個)」¥396、「大餃子(3個)」¥429が人気だ。ランチタイムなら110円プラスで、やみつき餃子4個をセットメニューとして担々麺に付けられる。
『蒼龍唐玉堂 六本木』では「黒胡麻担々麺」のほかにも、辛味がマイルドな「白胡麻担々麺」、一番辛い「無頼漢担々麺」、さらには「トマト担々麺」や「海老みそ担々麺」など、13種類の担々麺を用意。奥深い担々麺の世界を存分に楽しめるのも、この店の強みである。
個性的な担々麺を数々提供している、木村料理長。
蒼龍唐玉堂 六本木
住所 東京都港区六本木7-17-16米久ビル1F 電話 03-3470-0451 営業時間 日曜・月曜・火曜・水曜 11:30〜22:30(L.O.22:00)、木曜・金曜・土曜 11:30〜4:00(L.O.3:30) 定休日 無休
#ラーメン#虎ノ門ヒルズ
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