六本木ヒルズのプレミアムなレストランが、豪華なテイクアウトをスタートしました。自宅でグルメを体験できるなら、最高のワインを合わせたいもの。そこで、ワインショップ・エノテカ 六本木ヒルズ店長の濱口裕子さんが、料理にぴったりのワインをセレクト。六本木ヒルズのグルメを自宅で楽しみましょう。
TEXT BY MIHO MATSUDA
PHOTO BY TOMO ISHIWATARI
スパイシーチキン&パエリアに、辛口白ワイン
スペイン料理の巨匠ジョセップ・バラオナ・ビニェス氏が監修する「ビキニ シス」は、スペイン・カタルニア料理と日本の旬の食材の融合が楽しめるお店。今、テイクアウトできるのは、5時間かけて作った鯛の出汁で仕上げたパエリアと、スペインの南、モロッコから伝わった伝統的な方法で調理した、オレガノ、ピメントン、クミンなどのハーブが香るスパイシーでジューシーなチキングリルのセットだ。こちらに合わせるのは、140年以上の歴史を持つスペインの名門ワイナリー「トーレス」の、やや辛口の白ワイン。ワインに使われるぶどうは、マスカットの甘みを感じるモスカテルと、ライチやバラの華やかな香りとスパイシーさが特徴のゲヴェルツトラミネールをブレンドしている。
「ハーブの香りがするスパイシーなチキンは、ジューシーで甘みも感じられ上品です。パエリアには鯛からとった出汁の旨味と甘みが凝縮されているので、ほんのり白胡椒の風味を感じる白ワインを選びました。ゲヴェルツトラミネールは、エスニック料理に合わせたり、スパイスを使った料理に合わせることも多く、また、甘みのあるモスカテルを使ったワインをスパイシーな料理に合わせると、料理の味わいをまろやかにしてくれるため、こちらのワインを選びました」(濱口店長)
濃厚で香ばしいな国産うなぎに、フルボディの赤ワイン
関西風に炭火で焼き上げる「地焼き」で、ふっくらした身と、香ばしい皮が楽しめるうなぎ専門店「鰻處 黒長堂」。贅沢にも国産うなぎを一本使った「国産うな重 上」は、肉厚でほどよい弾力のあるうなぎを、自宅でも楽しめる贅沢な一品だ。貴重なうなぎに合わせるワインは、イタリアを代表するファッションブランド「サルヴァトーレ・フェラガモ」ファミリー所有のワイナリーによる、上質なトスカーナワイン。
「ピアン・ディ・ノヴァは、スパイシーで力強い味わいのシラーに、ラズベリーなど赤系果実のフルーティーな風味があるサンジョヴェーゼというぶどうをブレンドしています。これはトスカーナの代表的な組み合わせなのですが、しっかりしたタンニンとスパイシーな風味が、炭火で焼いたうなぎと山椒の香りを引き立てます。うなぎの白焼きならば、白ワインが合いますが、砂糖醤油のたれや、甘じょっぱい和風の味付けをしたうなぎと相性が良いのは、実は赤ワインなんです。うなぎをたれでお召し上がりの際は、ぜひ赤ワインをお試しください」(濱口店長)
ステーキは、焼き加減によってワインは変わる!
ブラジルの本格的なシュラスコを味わえる「バルバッコア」。ここでテイクアウトできるのは、150gの赤身肉のステーキが乗った「シュラスコ屋さんのステーキ重」。力強い旨味と柔らかな肉質のステーキを、ハラペーニョ、にんにく、赤パプリカ、オリーブオイルの「ピメンタ」と、醤油ベースでにんにく、生姜、レモンを加えた「自家製和風ソース」という2種類のソースで楽しめる。ミディアムレア〜レアに焼き上げた肉料理に合わせるのは、芳醇な香りのトスカーナワイン。
「肉には赤ワインを合わせるのは定番ですが、実は肉の焼き加減によって、相性の良いワインは変わります。このステーキ重は、赤身肉の旨味をしっかり味わえる火通りで、ローストビーフのような贅沢さもありました。ワインは、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロを主体に、サンジョヴェーゼをブレンドした、赤ワインを選びました。カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロ由来のしっかりとしたタンニンは、ステーキの脂身をさっぱりとしてくれ、サンジョヴェーゼ由来のフルーティーさには、お肉の赤身の部分に大変よく合います」(濱口店長)
贅沢な卵料理には、ピュアな果実味が光るワイン
「フレンチ×洋食×ジビエ」を楽しめる、プレミアムビストロ「レグリス」。シェフの波多野猛氏は、東京とフランスの各地で研鑽を積んでおり、最先端のフレンチと、フレンチの技法で極めた洋食の要素が融合している。まさにレグリスならではとも言える「季節のトリュフオムライス」は、サマートリュフ、またはオーストラリア産のトリュフを、ふんだんに使ったオムライスだ。赤ワインをベースにしたソースをまとった卵とライスに合わせるワインは、ピュアな果実味が際立つピエモンテの赤ワインを。
「バルベラ・ダルバは、バルベラというピエモンテならではのぶどう品種を使ったワインです。フルーティでタンニンの渋みも柔らかく、アロマも繊細なので、卵料理にぴったりです。上品なトリュフの香りを邪魔せずに、優しい味わいの卵と酸味とコクのあるソースに合わせて、このワインを選びました。どんな料理にも合わせやすいため、地元ピエモンテでは人気が高く、イタリアの家庭料理や肉料理にも相性がいいワインです」(濱口店長)
休日や仕事帰りに、料理とワインを持ち帰って、今だけかもしれない、贅沢なグルメを自宅で楽しんでみてはいかがでしょうか。
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