近頃話題のクラフトビール 。国、地域や生産者、また醸造方法によっても味わいは千差万別。ここではそんな、奥深い楽しみが満喫できる、クラフトビールのお店3軒をご紹介します。
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❶ 世界最古の食品法”ビール純粋令”を守って造られたドイツビール
——SCHMATZ BEER DINING(シュマッツ・ビア・ダイニング)
「ビールは麦芽、ホップ、水、酵母のみを原料とすべし」という法律がドイツにはある。これは1516年、当時のバイエルン公国(現在のドイツ南部)で制定された「ビール純粋令」。現在でも有効な世界最古の食品法と言われるが、2人のドイツ人オーナーが営む『SCHMATZ』のビールは、この「ビール純粋令」を守って造られている。ただしビールは輸送すると新鮮さが失われるため、日本国内のブルワリーと提携しドイツのレシピで醸造、冷蔵トラックで輸送して店で提供している。
クラフトビールは期間限定品も含めて7〜8種類+ボトルビール1本を用意。最高級アロマホップを100%使用したピルスナーや、フルーティーなアロマのペールエール、まろやかな味わいの飲みやすい黒ビールなど、本格派ドイツビールが飲める。
料理はソーセージの盛り合わせ、豚肉を薄く叩いてのばしたポークカツレツ「シュニッツェル」、「ジャーマンタルタル」など、ドイツ料理にアレンジを加えたもので、ビールをより美味しく飲めるよう誰もが好きなメニューを揃えている。
TEXT BY YOSHIKO NAKASHIMA
PHOTO BY SHO KATO(DAISAKU NISHIMIYA OFFICE)
❷ 浅間山麓の醸造所から直送される新鮮なクラフトビール
——よなよなビアワークス新虎通り店(ヨナヨナビアワークス シントラドウリテン)
今、日本で一番規模の大きいクラフトビールメーカーである長野県佐久市の『ヤッホーブルーイング醸造所』から直送された、様々な種類のエールビールを提供する店。
エールビールは、エール(上面発酵)酵母を使い、常温で発酵させたビール。日本で日常的に飲まれているラガービールに比べて、フルーティーな香りとしっかりとした味わいがあるのが特徴だ。
熟練のビール醸造士が試行錯誤を重ねたビールは、「インドの青鬼」「水曜日のネコ」などとネーミングもユニーク。「インドの青鬼」はインディアンペール(IPA)で、IPAは18世紀にイギリスからインドにビールを輸送する際、劣化防止目的でアルコール度を高くするため、ホップを大量に入れたのが始まりと言われる。香りが良くフルーティーなのにしっかり苦味があるのが特長だ。「よなよなエール」は、なめらかで喉にスムーズに入っていく感じで、苦味がありつつアロマホップの華やかな香りに包まれる。
一週間の半ば、疲れが出る水曜日に飲んでホッとしてほしいという気持ちを込めて造られた「水曜日のネコ」は、ベルギービール酵母が醸し出すフルーティーな香りと、小麦麦芽による柔らかい口当たりが特長。いずれも炭酸ガスを充填していないので、これまでビールが苦手だったという人でも、するすると喉に入る飲みやすさと美味しさに驚くことだろう。
TEXT BY YOSHIKO NAKASHIMA
PHOTO BY AKIKO TANAKA(DAISAKU NISHIMIYA OFFICE)
❸ 国産樽生地ビールが常時20種類‼ 毎日ラインナップが変わるビール好きにはたまらないバー
——Craft Beer BAR Ant’n Bee Roppongi(クラフト ビア アントン ビー ロッポンギ)
六本木交差点の至近、所狭しとビール樽が置かれた狭い階段を降りると、細長いこじんまりした店がある。国産のクラフトビール・地ビールが味わえる『アントンビー六本木』だ。現在、国内のブルワリーが増えていると共に、それぞれのオリジナリティが発揮されており、そんな珍しい樽生地ビールを求め、常連から初めてさん、海外のお客さんと連日賑わっている。
日本各地から集めた樽生地ビールは、常時20種類を取り揃え、毎日ラインナップが変更する。メニューにはその日揃えているビールの簡単な解説がついている。“アルコール度数”や“苦味の程度”、“スタッフのおすすめポイント”などが書かれているので、好みのビールを見つけやすい。初心者の方は遠慮せずスタッフに聞いてみて。また、料金は一律で、Smallサイズ ¥756、Regular ¥972、Large ¥1,296となっているため、色々な種類が飲みたい時は“S”だったり、じっくり味わう時は“L”だったりなど、その日の気分に合わせて選べるのがうれしい。
おつまみにもこだわっており、ケチャップ以外はすべて自家製とのこと。スナック類からズッシリした肉料理、パスタまでメニューも豊富。おすすめなのがパーティープラン。クラフトビール20種が飲み放題。朝まで営業しているので、オープンから飲み会もよし、深夜や朝方にひとりゆっくりもよし、使い勝手がいいお店だ。
TEXT BY HANAKO ASAKURA
PHOTO BY TAKUYA SUZUKI
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