FOOD THINKERS 11

鉄板焼きレストランだからこそ実現! この冬イチ押しの鍋料理は《鉄板鍋》で決まり

鉄板焼きレストランでありながら鍋料理!? この魅惑的なパラドックスに挑んだ冬の新作メニューが登場! ニッポンの食材を再発見する今月の“ひと皿”は、鉄板焼「けやき坂」(グランド ハイアット 東京)の本多シェフによる、鉄板焼のイメージを覆す逸品です。

PHOTO BY Takahiro Imashimizu
edit & text by Jun Okamoto

今月の“ひと皿”のために厳選された旬の食材は?

タラの白子 真鱈の白子は産卵期を迎える1月〜2月が旬。濃厚でクリーミーな味わいは鍋にも最適。北海道から東北にかけて水揚げされる。

クエ 大きなものは50㎏を超えるハタ科の魚で“幻の高級魚”とも言われる。主要な産地は九州、四国など。とくに鍋料理が絶品とされている。

下仁田ネギ 群馬県甘楽郡下仁田町周辺の名産品。白根が太いのが特徴で、生では辛みが強いが火を入れると甘くなり、とろりとした食感に。

日本の食材を再発見する今月の“ひと皿”
——鉄板焼「けやき坂」の《鉄板鍋》

この時期に甘みが増す下仁田ネギ、豆腐は鉄板でこんがりと焼き上げ、クエのあらでとった濃厚な出汁でクエや白子と合わせて野菜を煮る。
料金 3,500円(税・サ別) 場所 鉄板焼「けやき坂」(グランド ハイアット 東京 4F) 提供期間 1月7日〜2月末

料理をひきたてるおすすめワインは?

ラフィーユ 樽甲州 現存する日本最古のワイナリー「まるき葡萄酒」が造る白ワイン(辛口)。甲州の特徴である柑橘の香りと樽由来のバニラのニュアンスが感じられる。グラス2,000円(税・サ別)

牛を育て、畑を巡り、厨房を
飛び出すことで見えてくる料理の世界

本多良信|Yoshinobu Honda 鉄板焼「けやき坂」料理長。調理師学校で和食と洋食を学び、卒業後はホテルのシェフとして働く。8年前に「けやき坂」の厨房に入ってからはジャンルにとらわれない新しい鉄板料理に取り組んでいる。現在は料理長として腕をふるいながら、自ら全国に食材を探しに行くなど、新しい鉄板焼きの形を模索している。

鉄板焼きと聞けば、一般的には和食を思い浮かべる。しかしここ「けやき坂」はジャンルにとらわれない自由な発想で、鉄板焼きをクリエイティブに進化させている。前菜から最後のデザートまで、すべてを目の前の鉄板で仕上げるスタイルやその柔軟な発想は、ゲストを魅了し喜ばせている。

「鉄板焼きでできるものは何でも挑戦してみようと思っています」と本多シェフ。素材を生かす鉄板焼きでは素材選びも重要だが、そのひとつがスタッフ全員が牧場に通い、肥育にも関わる“けやき坂 ビーフ”。東京都のブランド牛・秋川牛に独自の飼料を与えて育てているという。

またマルシェのように並ぶ野菜や陳列されたフルーツも全国から厳選したものばかり。「日本の食材はやはり優秀です。実際に生産者にお会いして、どのように作られているのかを知り、自分の料理に生かせる食材を選んでいます」。

モンブランのようなデザートまで鉄板で仕上げるチャレンジャーな本多シェフは、鉄板焼きの熱源を使って、揚げ物や塩釜にも意欲的に取り組む。さらに、新しい鉄板焼きの世界を広げる試みを続けている。

※初出=プリント版2019年1月1日号
※掲載の情報は変更になる場合があります。詳しくはお出かけの際に店舗にご確認ください。

鉄板焼「けやき坂」 和からフレンチまで多彩なジャンルのエッセンスを取り入れた料理。それを前菜からデザートまですべて目の前の鉄板で仕上げる異色のレストラン。カウンターに並ぶ全国から選りすぐった食材はオーダーメイドで調理できる。