LE CHOCOLAT ALAIN DUCASSE

フランス料理の巨匠 アラン・デュカスがショコラ専門店にこだわる理由

世界中のショコラ好きを魅了する「ル・ショコラ・アラン・デュカス」が4月27日に六本木ヒルズのけやき坂にニューオープン! ゆったりとしたブティックと、パリで大人気のショコラをその場で堪能できるル・サロンからなるショコラ専門店にかける思いを、フランス料理の巨匠 アラン・デュカスと六本木店のエグゼクティブ・ショコラティエのジュリアン・キンツラーに聞いた。

TEXT BY Megumi Komatsu
PHOTO BY Kiichi Fukuda

ル・ショコラ・アラン・デュカス 六本木 
六本木店は、ゆったりとしたブティックと24席のル・サロンからなるショコラ専門店。パリで人気のショコラは、アラン・デュカスの料理と同様、良質な素材の味わいと香りを表現したものばかり。またフィナンシェなどの焼き菓子とル・サロンのデザートは日本限定となる。

Alain Ducasse|Chef
ショコラの仕事こそ、18歳の時からの夢でした

——デュカスさんがショコラを手がけるようになるきっかけは?

デュカス 私は若いころミッシェル・ゲラールのレストランで料理の修業していたのですが、閑散期の冬は掛け持ちでパリの「ルノートル」でも働いていました。ショコラの仕事をしたいと思うようになったのは、18歳の時に「ルノートル」のシェフ・ショコラティエ、ミッシェル・ショーダンの下で仕事をしたのがきっかけです。

昔の職人は業者から仕入れたクーベルチュール・チョコレートを使ってショコラを作っていましたが、ミッシェル・ショーダンはクーベルチュールも自分で作っていました。当時は自分でクーベルチュール作りを行なう職人が5人しかいなかった時代です。私はショーダンの仕事に魂が揺さぶられるような衝撃を受け、ショコラの道に進むべきか料理の道に進むべきか迷いました。その時は結局、料理の道を選びましたが、いつかカカオ豆からショコラを作りたいという思いはずっと変わらず、2013年にパリに「ル・ショコラ・アラン・デュカス」をオープンするに至りました。

——パリ本店と六本木店の違いとは?

デュカス パリ本店の工房ではカカオ豆からクーベルチュールを作っていますが、六本木店のブティックで販売するショコラはパリから輸入したクーベルチュールを使い、東京工房で作ったものです。

——子ども頃のお菓子の思い出を聞かせてください。

デュカス 私は15歳の時にはすでに料理の道に進むと決めていましたが、当時の思い出のお菓子といえば「ミルフィーユ」です。ミルフィーユは作るのが最もむずかしいお菓子で、これがうまく作れればパテシィエとして1人前と言われるほどなんですよ。東京の「ル・ショコラ・アラン・デュカス」のサロンでは、生地とクリームの両方にショコラを使ったミルフィーユ「ミルフィーユ・トゥ・ショコ」をご提供しています。カカオ豆に由来するショコラのフレーバーと、軽くてサクッとした生地の食感をぜひお楽しみください。

profile

アラン・デュカス|Alain Ducasse
シェフ/1956年、フランス南西部ランド県の農家に生まれる。16歳から料理人の道へ。90年、モナコのレストラン「ル・ルイ・キャーンズ」の総料理長として、当時『ミシュランガイド』史上最年少の33歳でホテル内のレストランとしては史上初の3つ星を獲得。現在はパリ、モナコ、ロンドン、東京など世界各地にレストランやオーベルジュを展開。

「ショコラのフレーバーは原料のカカオ豆のフレーバーによって決まるので、どの国に最高のカカオ豆があるかをチェックすることが大切なのです」とデュカスさん。

Julien Kientzler|Executive Chocolatier
ショコラティエに聞く、六本木店のこだわり

——「ル・ショコラ・アラン・デュカス 六本木」の特徴とは?

キンツラー 六本木ヒルズのけやき坂通りにオープンする六本木店の1階はブティック、上層階には厳選した紅茶やコーヒーとともにショコラを使ったメニューを楽しめるル・サロンがあり、六本木限定の商品も発売予定です。

——東京工房のシェフ・ショコラティエとして心がけているこだわりのポイントとは?

キンツラー アラン・デュカスは、ショコラも料理と同じく、良質な食材を活かすことを重視しています。ショコラにおいて最も大切なのは、食材であるカカオ豆の味わいを活かすことです。そのためには、ボンボン・ショコラやガナッシュの材料となる乳製品や、ドライフルーツを厳選する必要があります。ドライフルーツの質というのは、ショコラと組み合わせた時にごまかしがききません。また、カカオ豆の味わいを活かすために砂糖の使用量を抑え、加熱を完璧にし、食感を追求することも心がけています。

——ジュリアンさんの子ども頃のお菓子の思い出を聞かせてください。

キンツラー 15歳の時、パティシエの見習いとして修業を始めたのですが、当時大好きだったお菓子といえば、母が作ってくれた地元アルザスの伝統的なケーキ「フォレ・ノワール」です。これはドイツ南西部の森林地帯「黒い森(シュバルツバルト)」の特産品のさくらんぼを使用したチョコレートケーキで、もとはドイツ生まれですが、シュバルツバルトから近いアルザス地方でもよく作られています。

profile

ジュリアン・キンツラー|Julien Kientzler
エグゼクティブシェフ・ショコラティエ/「ジュリアンは、パリ本店のシェフ・ショコラティエ、ニコラ・ベルジェの薫陶を受けています。アルザスの製菓専門学校を卒業後、「ダロワイヨ」「ル・ムーリス」で経験を積み、「ベージュ アラン・デュカス 東京」でシェフ・パティシエを務めた才能ある若手です」(アラン・デュカス)

ル・ショコラ・アラン・デュカス 六本木