ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子が、独自の視点で切り込む大人のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のお題は、雨の日のおしゃれがテーマ。憂鬱な梅雨を“いく子流メソッド”で乗り切りましょう。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
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どんな天候でもいつものテンションをキープする。
とうとう梅雨の時季の到来です。気のせいかもしれませんが、この数年雨の日がなんだか多くなったように思いませんか? 昨年なんて5月末から7月半ばまでずっと雨だったような……。そして、この時季の憂鬱といえば毎日の服選びですよね。朝からドカッと降っていればそれなりの服装でも許されるけれど、一番困るのが「降るの? 降らないの?」という日なのではないでしょうか。実はその悩みの原因、“雨用の服”という概念に捉われているからなのです。雨の日でも普段のスタイルを諦めない! これが梅雨を乗り切るコツなのです。
地曳いく子が伝授する、梅雨に負けないスタイル5か条
❶ 服選びの悩みは足もとから解決すべし
雨の日は通勤でも長靴という人もいるぐらい市民権を得た長靴。でも、長靴って服を選ぶんですよね。だらだらと雨が続く梅雨の時季。暴風雨以外は普段と変わらないテンションで服選びをしないとただ疲れるだけ。そこでぜひ買い足して欲しいのが、ハイクオリティなデザインのレインシューズ。ローファーからショートブーツ、バレエシューズまで、「えっ!? これって雨用なの?」というくらい普段履きOKな靴がたくさん登場しています。
足もとで、全体のスタイルが決まってしまうほど靴は大事なもの。何を着るかで悩む前に、トラッド好きならローファー、ラブリー系ならバレエシューズと、まずは自分のスタイルに合ったレインシューズを一足手に入れましょう。そうすれば、いつもの服でいいのです。
❷ 気分をアゲて開き直るが勝ち
濡れると張り付く服のペタペタ感。雨というだけで気持ちが下がっているのに追い打ちをかけるように嫌な気分になりますよね。こんな雨の日、私はあえてレースのスカートを穿くようにしています。レースなら、乾きやすく張り付きにくい。何より自分の気持ちをアゲてくれます。雨の日に赤いレースのスカートなんて穿いたらかわいいと思いませんか? 気分の下がる日こそ盛り上げる、そんな開き直りが大切です。
❸ 素敵な傘は大人のたしなみ
ビニール傘はもはや公共のもの。傘立てにあるビニ傘を誰がどれを持っていこうと、自分のものが短くなろうと、そこはもう気にしないというのが暗黙のルール。そんな時代だからこそ、自分の傘を持って大切にするということが、大人のたしなみとなるのではないでしょうか。個性的な大人傘(素敵な傘)であれば間違う人もいないでしょうし、何十本とビニ傘を買うより晴雨兼用の折りたたみ傘を持つほうが賢明だと思いませんか?
❹ 暴風雨はしっかり守ってスマートに
雨の時季の定番といえばトレンチコート。でも、雨風が強い時は濡れると重く、乾きにくいので結構厄介になるものです。そんなときはスーツの上からもスポッと被ってしまえる撥水加工のおしゃれアウターが大活躍。オフィスに着いたらさっと拭いて、ロッカーの中でお留守番させておきましょう。
❺ バッグは心配無用の実用重視で
雨の日は傘というお供がいるので、バッグの条件は「軽くて手が空く」が必須。素材はビニール系であればもちろん問題ないのですが、そうはいかないのが大人女子。とはいえレザーのバッグは雨ジミや色うつりと心配だらけ。そんなときのために、完全防水ではなくても表面がコーティングされた、たとえシミになっても気にならない柄物をひとつ持つことをおすすめします。私はバッグにバンダナを一枚忍ばせておき、室内に入ったらささっと水滴を拭くよう心掛けています。
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地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、そのキャリアは30年超えを誇る。数多くの女優のスタイリングも手がけ、大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評がある。独特の語り口も魅力で、現在はテレビやラジオでのコメンテーターとしても活躍中。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)など多数。
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