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特集テック・カンパニー「メルカリ」がつくるライフスタイルの未来

Interview 1

CREATIVE VALUE FOR EVERYONE

メルカリの未来を担うスペシャリスト集団「R4D」とは何か?

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「メルカリで売ったら?」というフレーズもすっかり定着。これまで難しかった個人売買を安全で簡単なものにして、誰でも安心して取引できるようにしたメルカリ。自分にとっては不要品でも誰かにとっては必需品。物に新しい価値を与えるサービスは、今や経済の流れも変えつつある。今回はメルカリの秘密を探るべく六本木ヒルズのオフィスを訪問。そこから見えてきたものは未来を見すえたテック・カンパニーの姿だった。

photo by Koutarou Washizaki
text by Rie Noguchi

諸星一行|Kazuyuki Morohoshi 株式会社メルカリR4D XR Research Engineer, Manager。日本バーチャルリアリティ学会認定VR技術者。「XR Tech Tokyo」というVR/ARの開発者向けのコミュニティの主宰者も務める。めぐるーまーで雛乃木神社氏子。

XR時代のCtoCマーケットプレイスとは?
Looking ahead into The Next CtoC Marketplace

——諸星さんの名刺には「R4D」や「日本バーチャルリアリティ学会認定VR技術者」など、おもしろそうな肩書きが並んでいますが、メルカリではどんなお仕事をしているのですか?

諸星 「R4D」は2017年12月に発足したメルカリにおける研究開発組織です。一般的には「R&D」(研究開発/Research & Development)と言われていますが、多くの研究開発組織が研究して終わりになりがちな中、わたしたちは社会実装までをしっかりと見すえています。研究(Research)をし、設計という意味での広義のデザイン(Design)をする。そして開発(Development)を進めて、それを社会実装(Deployment)します。さらに必要に応じてつくったものは壊しましょう(Disruption)と。そこまでのミッションを含めて、「R」ひとつと4つの「D」で「R4D」です。

——具体的にはどのようなことをしていますか?

諸星 『攻殻機動隊』のような“スペシャリスト集団”をイメージしてもらえるとわかりやすいと思います(笑)。それぞれがブロックチェーン、人工知能(AI)、マシンラーニング、ロボティクスや衛星データなどを研究しています。わたしが研究しているのはXR(AR/VR/MRの総称)という分野で、よく「〇〇リアリティ」と呼ばれているものですね。XRチームではVR/AR/MRを当たり前に使う時代が必ず来るであろうと信じて研究に取り組んでいます。

R4Dは、最先端技術を扱うスペシャリストで構成されている。ブロックチェーン、人工知能(AI)、マシンラーニング、ロボティクスや衛星データ、量子コンピューターなど、それぞれが多岐にわたるジャンルの最先端技術を研究。未来のメルカリのサービスを担う、屈指のテック集団だ。

——どのくらい先の未来を見すえているのですか?

諸星 それぞれのスペシャリストは10年、20年先を見ている人もいれば、XRのような比較的近い未来を見ている人もいます。わたしの場合、メルカリはCtoCマーケットプレイスをやっているので、XR時代にふさわしいCtoCマーケットプレイスとは何かを研究し、それに付随する開発、プロトタイプをつくることがミッションです。今後メルカリがVRやAR空間で使えるようになるかもしれません。

——買う・売るという体験自体が変わりそうですね。

諸星 そうですね。AR的な使い方だと、商品の画像をアップロードすると、その画像から何かを推定し、検索して返してくれる。それができるといずれスマホのカメラに物をかざしただけで物が持つ情報を認識できるようになります。わたしたちは膨大な商品データを持っているので、メルカリで買ったらいくら、メルカリで売ったらいくら、ということがわかるようになるかもしれない。

VR的な世界観でいくと、ヘッドセットをかぶれば、いまいる場所とは別の空間で買い物ができるようになったり。いまメルカリは基本的にアプリを使ってひとりでやるものです。でも、例えばみんなが違う場所にいても、ソーシャルVR空間に集まれば、みんなで一緒にメルカリの検索結果を見て「これいいね」と言いながら買い物をする、といった新しい買い物体験ができるようになればおもしろいと思っています。

——ということは、自宅でひとりでゴロゴロしていても、みんなで買い物に行けるという(笑)。

諸星 多くの人は、AR/VRというのはゲームのイメージが強いと思います。でもメルカリは「ノンゲーム・非エンターテインメント」企業で、お客さまの年齢層や性別も本当に多種多様です。その中のデジタルに詳しくないような人たちも普通にVRやARを使うようになったら、それは革新だろうと思っています。VRの技術でいくと、“場所”の制限がなくなるので都市部と地方の格差なども薄まっていくんじゃないかと思いますね。

——実際にすでに研究が形になっているものはありますか?

R4D 諸星一行さんの3つの[MISSION] ❶ XR時代のCtoCマーケットプレイスのあり方を見すえる ❷ 未来に向けて面白いものをドンドン生み出す ❸ テック・カンパニーを牽引する最先端技術を開発する

諸星 まだプロトタイプではありますが、「Vuzix Blade(ビュージックス・ブレード)」というサングラス型のデヴァイスを用いたプロトタイプをCES(ラスベガスで開催される家電見本市)で発表しました。これは、サングラスをかけて物を指さすとメルカリでの価格がわかるというものです。

現在スマホでメルカリを見るときは、まずはスマホを取り出す動作をすると思いますが、このプロトタイプだと、友達の家で「これいいな」と指さすと、その場でその値段がわかり、お気に入りに登録できたりします。

——映った物すべての値段がわかってしまう?

諸星 いえ、プライバシーの問題にも配慮しなければならないので、物を認識するために「指をさす」という動作を入れました。人に指を向けるのは失礼にあたりますが、物に対してはふだんから意識せずにやっていますからね。このプロトタイプでは人の動きを認識して、指をさす、などのジェスチャーに反応して動くようにしています。

——まさにメルカリの未来を担っているんですね!

諸星 それ以外にも、メルカリ社内ではVR面接やVRオフィスツアーを始めています。新しい技術やデヴァイスについては社内で体験会を開いて共有をはかりつつ、2週に1度はスタッフに試してもらって改良に役立てるなど、社内交流をはかりながら、よりよいサービスにつなげられたらと考えています。

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