IKUKO'S METHOD

今年のカーキはちょっとちがう——地曳いく子のおしゃれメソッド26

ファッションのご意見番ことスタイリスト・地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは大人のためのカーキです。

STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA

オールマイティーな色へと進化

注目したいトレンドカラーの代表がカーキ。カーキといっても、オリーブっぽい色から茶色、ベージュに近いものまで様々登場(今や定義はあいまいに)。以前はカーキ=ミリタリーのイメージでハードな印象でしたが、今年はシフォンや柔らかいコットンガーゼなど素材の展開も豊富。カーキのカラートーンの幅が広くなっています。カーキが似合わないと思っていたオトナ女史の皆さま、ゴツくないカーキを今年は試してみませんか。

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1/10今年はゴツくないカーキが多く登場。フェミニンなシルエットもカーキだと甘すぎずオトナクールに着こなせます。ワンピース¥30,000(エストネーション/六本木ヒルズヒルサイド1F&2F
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2/10コクーンシルエットで、きれいなV開きのツートーンワンピース。そのままシンプルに着ても、レギンスと合わせてもOK。ニット素材なので着やすく、合わせる靴とバッグによってはオンでも可。ワンピース¥36,000(ルーム エイト/ビームス/六本木ヒルズウェストウォーク3F
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3/10持っていると便利なセットアップ。トップをインにすればきちんと感。アウトであればカジュアルに。別々に着ても今年らしさをコーディネイトに盛り込めます。シャツ¥24,000、スカート¥21,000(アストラット/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズウェストウォーク2F
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4/10カモフラージュとレースの合わせ技ジャケット。バックサイドは総レースで、前を開けて羽織ると程よいフェミニンさに。中に着るものによってもニュアンスに変化がつきます。ブルゾン¥62,000(メゾン ミハラヤスヒロ/表参道ヒルズ本館B1F
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5/10バルーンスリーブのボリュームと優しい素材感、落ち着いた色味など、大人フォークロアにぴったりな一枚。これを着てゆっくりと過ごして癒されたいです。(服を着ることで気持ちを切り替えるのも大切!)ブラウス¥28,000(アール ジュビリー/アーバンリサーチ/表参道ヒルズ本館B3F
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6/10量感のあるパフスリーブがかわいいカットソー。ピスタチオぐらいの色味だと柔らかな印象に。カーキが似合わないと思っている人でも取り入れやすいかも。トップ¥24,000(ボーフィー/ビームス/六本木ヒルズウェストウォーク3F
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7/10一見ミリタリー色が強いですが、後ろを向くと透け感のあるシフォンのデザインでエレガント。スカートやデニムはもちろん、ハイウエストのワイドパンツにタックインしても素敵です。シャツ¥16,000(ジースター ロゥ/ジースターストア/表参道ヒルズ本館2F
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8/10ハリのある素材感をいかした美しいシルエットのスカート。フルレングスに近いですが、腰回りが細めなのですっきりとみえます。スカート¥24,000(エストネーション/六本木ヒルズヒルサイド1F&2F
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9/10異素材の切り替えがユニークなスカート。ギャザー部分は紐でボリュームが調整可能なので、気分によってイメージを変えてみても。スカート¥23,000(アストラット/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズウェストウォーク2F
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10/10サイドベルト付きのシャープなラインのハーフパンツ。ボーイッシュにも着こなせますが、光沢のあるカーキなのでカジュアル過ぎずオンにも活躍してくれます。パンツ¥39,000(コート/エストネーション/六本木ヒルズヒルサイド1F&2F

地曳いく子が指南するカーキ選びの心得

❶ 素材感とニュアンスで変化をつける

カーキ入門編として狙うなら、コットンやパリっとしたカジュアルな素材ではなく、シフォンのような柔らかなものを。または、レースなど異素材との合わせ技のあるデザインだとニュアンスに変化がつき取り入れやすくなります。少し前で紹介したパステルとの相性も抜群。オトナクールなスタイルへと引き上げてくれます。今年のちょっとちがうカーキは、この時季から初夏まで活躍する万能カラーです。

❷ 顔に当て鏡の前でのカラー診断

日本人の肌は同じようにみえても、赤みの強さで肌の色は微妙に異なってきます。そのため同じカーキでも、人によってポンと顔が明るく見えたり、沈んで見えたりしてしまいます。そこにはカーキの中に含まれる青みや赤み、黄みの割合が関係しているのです。カーキを手にしたら、まずはお顔に当てて鏡を見てみましょう。肌が引き立つ色味と、ひっぱられてくすむ色味がすぐに分かります。今年はバリエーションが豊富なので、まずは自分に合うカーキを見つけてから、試着しましょう。

❸ 5段階のお買い物ジャッジポイントをつけるべし

カーキに限らずですが、シーズン毎に服を買うかどうかは最低でも5段階のジャッジポイントをクリアしてからにしましょう。まず値段との折り合いがつくもの。次はトレンドかどうか。3つ目は(先述しましたが)服の色が顔の色味に合うか。4つ目は素材感が好きか。最後にシルエットとサイズ感が今の気分なのか。全部クリアしていたらヘビロテするはずですが、ひとつでも引っかかるものがあったらすっぱり購入は諦めましょう。カーキがトレンドだと思って買ったのに、色味や素材感がなんだかしっくりこないと登場回数も減りますし、無難なものを選んでもトレンドの気分に乗れなければやっぱり着なくなります。2、3か月でもヘビロテして着倒したほうが満足感は大きいはず。来年も着られたら儲けものという気持ちぐらいで考えましょう。

❹ 自分のキャラを把握する

「何を合わせたらいいですか?」という質問をよく受けます。それに対する私の答えは、「まずは自分のキャラを把握すること」です。カーキはフェミニンなアイテムと合わせたほうが着こなしやすいと言われますが、もともとその人がより女性らしい雰囲気を持っていれば、全体をハードにしたほうがフェミニンに見えたりもします。服のコーディネイトだけでなく、自分のキャラまで合わせて全体の甘辛バランスを考えみてください。


profile

地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、そのキャリアは30年超え。女優のスタイリングも数多く手がけ、大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評あり。独特の語り口も魅力で、現在はテレビやラジオでのコメンテーターとしても活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)、『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)など多数。11月には黒田知永子との共著『おしゃれ自由宣言』(ダイヤモンド社)を上梓。