人気スタイリスト・池田尚輝さんが今、気になるファッションアイテムって？ 日常に着るスポーティアイテムはすでに市民権を得ていますが、このところ「スポーティ」の楽しみ方がちょっと変わってきたという池田さん。どういうことか聞いてみました。
PHOTO BY SHO UEDA
EDIT & TEXT BY RCKT/ROCKET COMPANY*
鮮度を高めるスポーティアイテム
「スポーティアイテムって普通に取り入れれば“コンフォタブル（快適）”になる。そこが人気なのだと思うのですが、選び方によってはファッション的な鮮度が出せるということを伝えたい。スポーティだからといってスニーカーを合わせるのではなく（もちろん合いますが）、レザーシューズを合わせることでさらにスポーティな要素が映える。そんな、スタイリングのスパイスとなるようなスポーティアイテムを探してみました」
❶ 王道ディテール×黒一色で大人に似合うスタジャン——ソフ
ジャケット¥69,300＜9/29発売予定＞（uniform experiment／ソフ／六本木ヒルズ ウェストウォーク 4F）
「スタジャンといえば、最近ではバーシティジャケットという呼称も拡まってきたレトロスポーツを代表するアイテム。なかでもアメリカンヴィンテージとしての文脈と、90年代以降のストリートファッションとしての文脈とがあるのですが、このソフによるユニフォーム エクスペリメントのスタジャンは後者。ヴィンテージとしてのスタジャンといえばネイビーに白レザースリーブのものが典型例ですが、これは黒一色。形やディテールは王道のスタジャンなのに、オールブラックというのがストリートの歴史的な要素をうまく拾い上げるユニフォーム エクスペリメントならでは。黒のフード付きのスウェットと黒のパンツの上にがばっと着たり、グレーの霜降りスウェットに合わせたりするのがおすすめ。ベタなスタジャンだとコスプレっぽくなるけど、こういうモダナイズされたものだと洒落た雰囲気に仕上がります」
❷ モータースポーツのディテールでひねりを効かせて——N.ハリウッド
フーディ¥22,000、バッグ¥18,700（N.ハリウッド コンパイル／N.ハリウッド／六本木ヒルズ ウェストウォーク4F）
「N.ハリウッド、特にこの“コンパイル”ラインにはデザイナー尾花さんの嗜好が色濃く反映されていて面白いです。尾花さんは今、スポーツカーやモータースポーツにはまっているらしくて、レーシングギアにインスピレーションを受けたデザインが今季出てきています。フーディと袖口にさりげなく付いた、オリジナルのグラフィックを用いて作られたタグやロゴワッペンが効いているし、クロスボディバッグにはシートベルトのような織ネームがつけられています。フーディは品のいいベージュと、スムースな素材感で何にでも合う。だぶっと太めのジーンズに合わせてもいいし、クラシカルなアウターを羽織ってもスポーツスタイルがアクセントになる。バッグも黒と黄色の配色でパンチがあり、これ一つで“おっ”と思わせるスポーティな雰囲気が出ます」
❸ スラックス見えするトラックパンツできれいめレトロ——ビーセカンド 六本木
トラックパンツ＜ビーセカンド別注＞¥23,100（ニードルズ／ビーセカンド 六本木／六本木ヒルズ ウェストウォーク4F）
「ビーセカンドで大人がきれいめに履けるトラックパンツを見つけました。人気のニードルズのパンツはナローとスタンダードがあるのですが、こちらはスタンダードのほう。ややワイドなシルエットで、落ち感が出てスラックスっぽく履けるところが好きです。トラックパンツというと昔の体育教師的なイメージもあるかもしれませんが（笑）ニードルズのパンツは近年アメリカのラッパーから支持されたことがきっかけとなり、世界的なトレンドになりました。幅広のテープやレトロな配色にブランドの個性を感じます。脚長効果もありますね。ニードルズのデザイナー清水さんが“昔の映画でお父さんがジャージのパンツにツイードジャケットを羽織って慌てて家を出るシーンを見てジャージパンツを作りたくなった”と聞いたのですが、確かにクラシックアウターと合わせたくなるアイテムですね。足元はスニーカーはもちろん、クラークス的なクレープソールのスエードシューズなども合うと思います」
❹ 技ありカレッジスウェットは合わせやすい活躍アイテム——アールアンドコー
スウェット¥24,200（アンダーカバー／アールアンドコー／六本木ヒルズ ウェストウォーク4F）
「スウェット自体スポーツ由来ではあるけど、そんなにスポーツを意識せずとも着られるアイテム。だけど、アールアンドコーで出会ったこのアンダーカバーのスウェットのようにカレッジセーターからサンプリングしたワッペン要素を強調すると、スポーツテイストが光ってくる。所属している学校のクラブのものだから着る、スポーツが身近にあるから着るんだろうなという想像が働くせいでしょうか。ちょっとベタなスポーツ要素なので、レトロな雰囲気でかわいいんですよね。黒スウェットは何にでも合う便利なアイテムで、例えばワイドのデニムパンツとの相性もいいですが、アイビーリーグの人みたいにスラックスやチノパンにローファーを合わせて王道のアメカジスタイルで着ると、ロゴの大きさが際立って洒落感が高まります」
❺ 小ぶりなリュックがスタリングの新鮮なアクセントに——フェリージ
リュックサック¥126,500（フェリージ／フェリージ／六本木ヒルズ ウェストウォーク4F）
「フェリージといえばナイロンとレザーコンビのバッグが有名ですが、実用的でありながらハイテクの方向にいかずイタリアらしいクラフト感を堅持しているのが魅力。このリュックは“サファリ”コレクションの新作で、イタリアンミリタリーをテーマにしたもの。スポーティなナイロン素材をベースにしつつ、上質なレザーの部分使いがクラシカル、かつ大きなポケットがつくるころんとしたシルエットがかわいいです。そして、なんといってもこのサイズ感がいい。ものをたくさん運ぶというリュックの本来的な機能に反する小ぶりなサイズで、オーバーサイズのコートに合わせるといい意味での違和感が生まれて洒落た感じに。ほかにも紺のブレザーとジーンズに合わせると80年代に流行ったレザーリュックを彷彿させ“わかってる”スタイリングに仕上がります」
池田尚輝｜Naoki Ikeda
スタイリスト。ファッションだけに留まらず、建築、工芸、アートと興味は幅広い。近年は“池田尚輝撰“と題し局所的な物や事にフォーカスしたイベントも開催している。
※ 2023年9月現在の情報となります。
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