大小のビルが立ち並ぶ東京の足元は、アップダウンの多い土地でもある。とりわけ港区は“坂の町”ともいうべきで、区の資料によると大小86もの坂道が存在する。そんな港区で魅力的なギャラリーやカフェに立ち寄る、坂道多めのサイクリングコースを『トレックバイシクル 六本木』スタッフに案内してもらった。
PHOTO BY KENYA ABE
EDIT & TEXT BY AKIO MITOMI
MAP BY KENJI OGURO
坂道も楽に登れるE-BIKEで六本木ヒルズを出発
初夏のような陽気の4月上旬、六本木ヒルズ けやき坂テラスの『トレックバイシクル 六本木』に、スタッフの松本海斗さんを訪ねた。
「今日はこのE-BIKE〈FX+ 2〉でご案内したいと思います。一見スタイリッシュな普通のクロスバイクですが、後輪のモーターがアシストしてくれるのでダイレクトな走行感が楽しめます」
プライベートでもホビーライダーとして、ロードバイクやクロスバイクを楽しんでいる松本さんのセレクトだ。では早速、「六本木ヒルズ」を出発しよう。
最初に立ち寄ったのはアーティストの村上隆が主宰するKaikai Kiki Gallery。ニューヨークを拠点とするアーティスト、エリック・フォスの日本初個展が開催中だ。
「普段はあまり展覧会を見に行く機会がなく、上野の美術館に時々行く程度ですが、身近にギャラリーがあるのはいいですね。エリック・フォスの作品は初めて見ましたが、エアブラシで描かれた輪郭がぼやけているところに目が吸い込まれるようです」
松本さんが惹かれたフォスの技法は、美術学校に通わず独学で描き続けてきたもので、モチーフのヘビは大衆文化のアイコンとして繰り返し作品に登場してきた。いわばストリートから生まれたアートである。
楽々と坂を越え、次の立ち寄りスポットへ
Kaikai Kiki Galleryを後にした松本さんは有栖川宮記念公園を反時計回りに囲むルートを選んだ。
「アシストが効いているので、普通のバイクなら立ち漕ぎするような場面でも、お尻をサドルにつけたまま坂を登れます」
仙台坂を下り、麻布から三田を一気に駆け抜けると、三田一丁目交差点で桜田通りに。正面には東京タワーがそびえている。赤羽橋交差点を過ぎ、東麻布一丁目交差点の手前で松本さんは自転車を降りた。目指したのはビルの8階にあるイタリアの照明メーカー「アルテミデ」のアポイント制ショールームだ。
「最初に目に入った〈トロメオ〉シリーズが、クラシカルなのにモダンな雰囲気のデザインでとても気に入りました。〈ティチオ〉の50周年記念モデルも、クレーンのようなデザインで心をくすぐられますね!」
折り返し地点でカフェブレイク
サイクリング前半はあと少し、桜田通りを「虎ノ門ヒルズ」方面に進んで行く。途中、「オランダヒルズ」の向かい側では、目立つ建物の工事が進んでいる。英国人建築家のトーマス・ヘザウィックが設計した「麻布台ヒルズ」の低層部だ。曲線的な小山のような外観はランドスケープと一体になったデザインのため、植栽も始まっている。
虎ノ門ヒルズ駅の工事が進む虎の門三丁目交差点を右折すると、「虎ノ門ヒルズ」正面と向かい合う場所に「グッドモーニングカフェ&グリル虎ノ門」が現れる。
「ここはトレックのスタッフに教えてもらったのですが、バイクラックがあるので自転車乗りには便利なカフェなんです。しっかりしたラックだから、今日乗っている〈FX+ 2〉の重さでも大丈夫ですね」
カフェブレイクをはさんで、帰路についた松本さん。後半のルートも前半に負けず劣らず坂が多い。「東京タワーの下を通る坂道はけっこうキツいので、あえて通るルートにしました」と松本さん。その後も永坂のアップダウンや、新一の橋交差点を右折して「六本木ヒルズ」に至る都道319号線のなだらかな登りをクリア。ゴールの『トレックバイシクル 六本木』に到着した時点で走行距離は約9.6km、3つのスポットに立ち寄りながらの所要時間は約2時間だった。
「今日はコースをご案内していて自分も楽しかったです! 天候もサイクリング日和でしたね。E-BIKEでなくても、ロードバイクやクロスバイクなら18段変速機が付いているので、坂道も楽に登れると思いますよ」
これからの気持ちよい季節に、心身の健康と環境への配慮を兼ねて、自転車で港区を巡ってみては?
※2023年4月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。
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