とうとうこの連載でも令和を迎えました。相変わらずhfのInstagramの謎の部分を掘り下げ取材する連載の第27回! 2019年5月前半にポストされた画像からお届けします。
INSTAGRAM & TALK BY HIROSHI FUJIWARA
TEXT BY HF WATCHING COMMITTEE (HWC)
5月4日——ミュンヘン
あれ、フランクフルトではなく。フランクフルトとはどこか違う。「ミュンヘンはドイツの中でもお金持ちエリアです」(hf) そっか。ティビリシへはミュンヘン経由だったんですね。
5月4日——tbilisi朝4:00
ファッションウィークのサポートを?「サポートじゃないよ」(hf) 関わってる?「関わってないよ。呼ばれただけ」(hf)
5月4日——“the Khinkali”
「キンカリって読めるけど、ヒンカリです」(hf) ヒンカリ屋やろうって言ってたのに(2018.11.05参照)忘れちゃいますね。でも食べたことないからなあ。「美味しいよ」(hf) え〜作ってくださいよお。「知人がヒンカリ教室に行ってたから、作ってくれるんじゃない?」(hf) ヒンカリ教室! いいなあ。ヒンカリの中身は何なんですか?「色々あります。マッシュルームとかチーズとか肉とか」(hf) おにぎらずみたいに流行りそう。わかんないけど。
5月4日——顔顔顔
「なんか顔がいっぱい置いてあったんです。なぜこんなことになっているのかはわからないですけど、10年前戦争をしていた国なので……」(hf) なんか、ある種の思惑は感じられますね。顔を並べておきましょうって。半年ぶりのティビリシですか? 「ですよね」(hf) 季節が違いますね。「そうかも」(hf)
5月4日——ところで、先日送られてきたノートルダムデザイン by ゴンズ先生。マーク ゴンザレス 大好き
マークゴンザレスから送られてきた…原画?「写真です。ノートルダムの屋根をデザインしたよって話です。かわいいでしょ」(hf) かわいい。ゴンザレスノートルダム。
5月5日——おはようティビリシ
ジャンルとして確立してきましたね。「朝盛りねw 海外に行くとやる朝盛り」(hf) だんだん量が増えてきて、ヒロシもたくさん食べれるようになりました。お母さんは嬉しい。ヒロシは赤いものが好きなんですよお。「青いものはあんまり好きじゃない」(hf) こらっ。
5月5日——全く覚えのない写真。記憶の欠如が著しい
いつ頃のものなんですか?「全然覚えのない写真がたまにアップされるんですけどね。何用の撮影だったかも分からない」(hf) だいたい何年くらいだったかとかは?「DJやってる頃だから、十何年か前じゃない?」(hf) その頃っていっつもこういう帽子かぶってたじゃないですか。「ね」(hf) あれはなんで?「別に意味はありません」(hf)
5月5日——こんなところでファッションショー。おもしろ国家ジョージア
「空港でショーやってました」(hf) 割と普通にこういうところでやるってことなんですね。「うん、いろんなところで」(hf)
5月5日——slumbers in tbilisi
「スランバーだらけなんです。スランバー王国です。しかも歩いているんじゃなくて、みんな寝ているんです。耳にタグがついてたから、多分“危なくないですよ”って印だと思うんです」(hf) 野良犬なんですか。「うん」(hf) でかいですよね
5月5日——これこれ
「ハチャプリです」(hf) 甘いんですか?「甘くないですよ全然。しょっぱいです」(hf) え、何味?「チーズがしょっぱいんです。チーズパンですよ」(hf)
5月5日——最後の晩餐
ミュージアムに行きましたね。「はい。読めないけど、オター……、オターチクハンティビシビリーって人の作品っぽいです。最後の晩餐ですね」(hf) 全く読めないってのもすごいことですね。「うん、でもここのミュージアムは面白かったです。ジョージアのアーティストが外国に流出しないように、お金持ちの人が作品を買っているみたいです」(hf) なるほど。お金持ちがアーティストをサポートしている的な。そんなお金持ちがいるんですね。「いるんじゃないですか。例えばベンツファッションウィークの主催者は、お父さんが『コカ・コーラ』と『マクドナルド』のコーカサスエリアのオーナーなんですよ」(hf)
5月5日——コジロー デレデレ
猫大好き小次郎さん。「ジョージア行く前の日に『キャットフード持って行こうか?』って相談してた。かわいいでしょ。小次郎はかわいいんですよ」(hf)
5月5日——ippon グランプリ
「聞いた話なんですけど、1991年かな? 独立してから10年近く電気もガスもなかったらしいですよ。僕らがappleを使って仕事をしてる時に、ここでは電気もガスもなかったということです。10年は大げさかもしれないけど、ロシアから出た(独立宣言をした)時に全部止められたんだとか。だからいちから国を作っていったんじゃないですか?ろうそく暮らしみたいだったらしいですよ。だからほら、この人」(hf) と、ここまでは前振りで。「そんなのやってられっかーって銅像です。なんかひと言いってください。一本グランプリですよ」(hf) あはははそういう意味だったんですね。で、ヒロシさんのが「“電気、ガスねーの?もうやってらんねーよ!”なんでこのポーズを銅像にさせるんだろうね」(hf) ま、自由ですけどね。なにを銅像にしても。銅像はこういうもんだ、というのにとらわれ過ぎているのかもしれませんよ、我々は。
5月5日——リラックス
「散歩してたら小洒落たコーヒー屋みたいのがありました。ふらっと寄ってみたらこの人がいたんだけど、アメリカのポートランドから引っ越してきたらしい」(hf) へー。ミニマリストって書いてありますけど。「ミニマリストって名前のギャラリー兼コーヒーショップ。すごいいい人だった」(hf) おしゃれコーヒー屋さん。初めてのコーヒーがサードウェーブってことですね。そもそもロシアのコーヒーってどんなのだったでしたっけね。
5月6日——スクイーガル
スクイーガルって?「この柄の名前です。『ワールズ・エンド』の柄のスクイーガル」(hf) あー! なんか聞いたことあると思って調べたけど全然出てこなかったんです。「スクイーガル(Squiggle)プリントっていわれてるんですよ。ちょっとシャイニングっぽい」(hf)
5月6日——牧歌的Kiosk
アーティスト村みたい「何売ってるんだろうと思って。これの読み方はキオスクですよね?」(hf)
5月6日——抽象的トイレ
どっちが女子でどっちが男子だ。「すごいですよね。今回行った中でいちばんの写真がこれですよ」(hf) 左のパイプが男子でしょ「多分ね」(hf) 右は…「傘w」(hf) 女子は傘? なんかもっと深い意味があるんじゃないですか? 「顔を隠す? でもイスラム教じゃないですもんね」(hf) イスラム教でも傘で顔を隠すっておかしいじゃないですか。「布じゃ(サインとして表現が)難しいじゃないですか。他になにかありそうですよね」(hf) このサインはポピュラーなんですか?ここだけ?「知らないw」(hf)
5月6日——近未来的建築とアナログ人間
「『カーサブルータス』のティビリシ特集に出ていて、それを見て行ってみようって」(hf) 何屋さん?「サービスエリア。変な形でしょう。ゴリって街にあるんだけど、ついでに街の中心地にも連れて行ってもらった」(hf)
「そしたらスターリンが生まれた場所だったんですよ、ゴリって街は。裏がミュージアムになってるんです。ゴリは、南オセチア自治州からすぐ近くで、10年前の戦争はそこを取り合う戦争だったんです。だから戦火の真っ只中だったみたいです。ほんの10年前ですよ。僕らがiPhoneをこう(スクロール)やってた時に、戦争だったんだって。街のボロボロさも納得できました」(hf)
5月6日——უფლისციხე.
「ゴリに咲いていた花。この色の花ってよくあるの?」(hf) これ、あれじゃないですか? ケシの花ですよね。育てちゃいけない花じゃないですか?「ケシ? ほんと? 全然知らない」(hf) 庭に生えてたら警察に連絡しましょうって住宅地にポスターが貼ってありましたよ。「だらけでしたよ。あんま見たことないなあと思って」(hf) この写真だと判断は難しいのですが、おそらく植えてはいけない「ハカマオニゲシ」かと思われます。
5月6日——オッパッピー
「そしてオッパッピーパン屋」(hf) 確かに! ご陽気ですね。10年前に比べると、みんな明るい方へ、明るい方へ進んでいるんですね。
5月6日——ジョージア銀行
「名建築ですね。ジェンガ建築(2018.11.04参照)のジョージア銀行」(hf) 地震とかない国なんでしょうね。日本では作れないような。「ロシア脱却を目指して変な建築をいっぱい作ったみたいですよ」(hf) ロシアのガシーンとした建築からの脱ロシアですね。自由を体現するひとつの表現なんですね。「そうです。ジェンガビルとオッパッピーです」(hf)
5月6日——i#tbilisifashionweek
マフィアと美女。「この人がファッションウィークをやってるソフィアさん」(hf) ジョージア人?「ジョージア人のフィクサーです」(hf)
5月7日——#drmartens
これは?「ドクターマーチン。多分今日(5/24)発売なんですけど、靴ってミリ単位で形がすごく変わるんですよ。足が大きく見えるとか、全然変わってくる。僕はそれを今回痛感しました」(hf) ちなみにどこがいちばん変わってるんですか?「シェイプが違う」(hf) ちょっと可愛いですもんね。「これすごいいいですよ」(hf) もちろん、その頃とっくに完売してました。
5月7日——牧歌マーケット
「マーケットで売っていたパペットと思われるもの」(hf) そんなに需要あるんですか?「牧歌的な街なんですよ」(hf)
5月7日——面白い
え、これもこのマーケットで売ってるんですか?「違います。『イエリーストア』っていうセレクトショップで売っていたティビリシのデザイナーの靴です」(hf) おしゃれセレクトショップみたいなのも次々とできているんでしょうね。
5月8日——one of best
「『シチュエーショニスト』ってブランドが僕は一番好きです」(hf) 前回もおっしゃってましたね。「はい。今回はアトリエへ遊びに行きました」(hf) これアトリエなんですね。「そう、お店ないの。大阪から来たっていう日本人が働いてました。インスタで『シチュエーショニスト』を見ててすごい好きになって、インターンで昨年から来てたらしいんです。ちょうど僕らがいく1週間くらい前から社員として働いているって。日本人も偉いなあというか、好きなもの見つけてこんなところまで一人で仕事しに来るっていい志じゃないですか」(hf) すごいですね。そしたらヒロシさんが来たとかっていうのもすごい話ですよね。
5月8日——夜景モードのフェイク感
「これは夜景がすごいというよりも、夜景モードがすごいなあと。こんな安っぽい夜景モードが撮れるのか……という」(hf) ファーウェイ。「カメラとしては最高なんです。P30」(hf)「月が撮れるという触れ込みの50倍ズームと、広角がすごい便利なんだよね。建築家は結構使ってますね。おすすめはP30pro」(hf)
5月11日——ミラノ de インド
「『チッタマニ』というレストランへ行きました」(hf) はじめてお聞きする名前です。「はじめて行きました。ファインダイニング系インド料理 in ミラノ。美味しかったです。この顔が物語ってますよ」(hf) 話題の店ですか?「ミラノの友達が『行ったことないけどできたよ』って教えてくれたの。ぜひどうぞ」(hf)
5月12日——黒犬と白鳥。いつも一緒
「ゴーギャンの犬と黒坂さんの白鳥。いつも一緒です」(hf)
5月12日——久しぶりにパーム
「電子手帳。パームはちっちゃくてニュートンはでかい。ニュートンの後を継いでいるのが多分iPad」(hf) まだ現行品が?「新しく出たんですよ」(hf) うわ。ちっちゃーい。「でもアンドロイドなんですよ。アンドロイド使ったことないんで、グーグルカレンダーでmacのカレンダーが同期できるのであれば、こっちに移行してもいいかなと思ったんです。ちっちゃくていいですよ。これいいなあと思って、『リング・オブ・カラー』にも書いたんだけど、MacBookの一番高いのを買ったら、おまけでこういうiPodとかついてくれたらいいのに。作戦的には、ケータイ(スマホ)はテザリングだけにしてバッグの中に入れておいて、通常はiPodを使うっていうのもオシャレかなって思う。結構使えるんじゃないかな」(hf)
5月13日——美味しすぎる
「『わさ』行ったことあります? 7月までみたいです」(hf) え? 初めて聞くのにもうなくなるんですか。「山下さんってシェフがいるんですけど、めっちゃ変わった人なんですけど最近普通になってきて、たまに「きませんか?」って連絡くれたりするんです。めっちゃ美味しいんですよ。餃子と坦々麺」(hf)
5月14日——夏の必需品
「脇から空気が入ってめっちゃ涼しい」(hf) 空調服ってやつですね。扇風機がついてるのですか?「見たことないですか? 夏、街を歩くと作業服の人たちはみんなこれを着ているんですよ。去年、みんな真夏にめっちゃでかいダウン着て、暑くないのかなあと思って調べて買ってみたんです。そしたらめっちゃ涼しくて、これはすごいと思って、作ってるところと連絡を取って、UE(uniform experiment)でかっこいいマウンテンジャケットにしました」(hf) 着る冷房! もう売り切れてますけどね。
5月15日——プリン ア・ラ・モード!めちゃ美味しい。けど僕はフルーツゼリー無しでいいな
スターバックスのプリンアラモードフラペチーノ。フルーツゼリーがインされていて、チェリーが上にのっかってます。が、「1個ゼリー抜きでって頼んだら、チェリーが入ってなかったんです」(hf) まさかゼリーがいらない人がいるとは信じられなかったんでしょうね。「チェリー抜きだったら、自分でできるから」(hf) 向こうも「なんて甘えん坊さんなんだ…」と思ってたでしょうね。「意思の疎通ができてなかったという小話でした」(hf)
5月15日——#flog #golfwang
コールドウォーターはどういう香りなんですか?「ラッパーのタイラー・ザ・クリエイターが作った。新譜、すごい良かったです」(hf) メモメモ。「その人に頼まれて作ったんです。『GOLF WANG』ってブランドやってて」(hf)
*アメリカのラッパー、タイラー・ザ・クリエイターのブランド「GOLF WANG」と「retaW」のコラボレーションキャンドル「COLDWATER」。「GOLF」をひっくり返して「floG.」とし、「わたし(タイラー・ザ・クリエイター)がいつも着ていて、いつも燃えている」香りがするんだそう。売り切れです。
藤原ヒロシ|Hiroshi Fujiwara
1964年三重県生まれ。DJ、音楽プロデューサー、ファッションクリエイター。英米で触れたクラブ文化を80年代の日本に持ち込むなど、音楽とファッションの両軸で日本のストリートカルチャーを牽引。現在、デジタルメディア「Ring of Colour」を運営する。京都精華大学ポピュラーカルチャー学部客員教授。
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