今回の藤原ヒロシ世界の旅はアメリカじゃない方のジョージア、ティビリシ。行ったことがない国にはまず行ってみる主義、なのか。彼のInstagramの謎の部分を掘り下げ取材する連載の第18回! 2018年11月にポストされた画像からお届けします。
INSTAGRAM & TALK BY HIROSHI FUJIWARA
TEXT BY HF WATCHING COMMITTEE (HWC)
2018年11月3日——色々間違ってる
旅のはじまりは間違い探しから。「まずはミュンヘンでトランジットです、傘の使い方とか色々間違ってる」(hf) 中国でもないし、日本でもないし。もうどこでもない架空の場所になってますね。「オリエンタルってそういうことなんですかねえ」(hf) お互いさまなんでしょうけどねえ。
11月3日——ジョージア到着
ジョージア! 旗がかわいいですね。旧グルジア。「めっちゃいい国でしたよ」(hf) 首都はトビリシの発音のままでいいんですか?「日本語読みだとトビリシなんですけど、現地では通じないんですよ。ティビリシ(თბილისი|グルジア語、Tbilisi|英語)なんです」(hf) フォントも見たことないタイプですね。当たり前だけど全然読めない。「なんかロシアの丸文字みたいなやつ」(hf) そうそうそう、ちょっと女子高生入ってますよね。さて、なんでグルジアがジョージアになったのか。元々、国連加盟国の大多数が英語由来の「ジョージア」と発音していました。「グルジア」はロシア語由来で、そのように発音していたのは日本、韓国、中国、旧ソ連。2008年、ロシアと武力衝突した旧グルジア政府が、ロシア語に由来する呼称を変更するよう各国に要請、「グルジア」の呼び名を「ジョージア」と改める法律が日本で成立したのが2015年でした。大相撲好きの人はもう知ってますよね。栃ノ心の出身地です。
11月3日——思いの外時間かかった。日本→ジョージア
日本からだとドーハ経由が一番早くて16時間50分。「トルコ経由とかいろんな行き方があると思うんですけど、僕はミュンヘン経由にしたので、すごく時間がかかりました。で、空港に着いた時の風景がこんな」(hf) この動画、命懸けで撮ったドキュメンタリー映像みたいで鬼気迫るものがあります。「ビザがいらないので入国は簡単です。行った方がいい」(hf)
11月3日——お風呂が黄金
そんな空港からいきなりこんなにかわいいお部屋へ。Stamba hotelのラブリーナイト。「このホテルは、元新聞社をリノベーションしたものなんです。リノベーションって日本でもよくやりますけどあんまり良くないことが多いじゃないですか? ここは元の建物がでかくてかっこいいから、カスタム感がダイナミックでいい仕上がり。部屋も広くて、天井も高い」(hf) でもなぜ黄金風呂? しかもオープンスペースに。使用されましたか?「シャワーを使いました。黄金風呂は、寝る前にお湯をはって乾燥対策に。ホテルの1階におしゃれなカジノもありました。行かなかったですけど。」(hf) 趣味のいいおしゃれですね。
11月3日——トビリシの朝
「ご飯も美味しい。トビリシ最高」(hf) ヒロシ盛りも最高! ジャントゥイトゥ氏からも朝食におけるミニマリズム絶賛の声が届いています。
11月3日——まめキヨスク。最少サイズ
微妙なスケール感。「そう。なんか怖かったんですよ」(hf) 中の人は座ってる、でいいんですよね?「いやあ、分からない。もしかして地下になっていて立っているのかもしれない。どういう状況か分からなかった。小次郎(fragment社員)の見下ろし感もおかしい」(hf) 客と店主、お互い不便な売店。「不思議な国です。不思議だらけ」(hf)
11月3日——Hard Rock everywhere
ハードロックカフェ。「どこにでも、特に田舎にはあります」(hf) ここではギターが横になってます。
11月3日——銅像カルチャー
この人はどなたですか?「知らないですけど、共産圏って銅像だらけじゃないですか。他にも面白いのいっぱいあったんですけど」(hf) お膝に座ってお髭を触りたくなります。
11月3日——猫パラダイス。犬パラダイス
「小次郎も猫が大好きで、かがんだら膝に猫がのってきたんです。『めっちゃかわいい♡』って愛でてたら、おばさんが通った瞬間、そっちにピャーって行っちゃって小次郎ポカーン。犬猫天国でした。みんな野良です」(hf) 野良猫、野良犬がいっぱいいる国はいい国ですよね、きっと。
11月3日——グルジアレモネード
「飲食店のメニューにレモネード(の欄)が絶対あるんですよ。で、『レモネードください』って言うと、『なんのレモネード?』って聞かれて、『オレンジマンゴー?』って言うと、オレンジマンゴジュースが出てくる。レモネードは入っていない様子」(hf) ジュース=レモネードという概念?「もしかしたらそうなのかも。スタンダードなやつは美味しかったです。このヘドロみたいな……いまヘドロってことば、使わないですよね(笑)も、おいしかったです」(hf) えー、これおいしいんですか? ノーガードなビジュアル。
11月3日——最少教会
ジョージアのかわいいシリーズ。教会編。「募金箱が街中にいっぱいあるんですけど、こんな教会みたいにしなくてもね、という。それだけキリスト教国家ってことでしょうかね」(hf) 小銭はここに入れてねって。お手紙でもよさそう。「『鬼太郎、助けて』って」(hf) 妖怪ポストじゃありません。
11月3日——過去と未来の共存
「平和橋だったかな? ピース橋? ジョージアって共産主義的な古い建物がいっぱいあるんだけど、そんな中に急に近代的な建造物が現れるんです。そこも面白い」(hf) ミックス感萌え。
11月3日——小さな小さなドーナツ屋
「これ、ドーナツ屋なんだけど、メニューはドーナツ1種類しかなくて、1個5円。店員は一人しかいなくて」(hf) 小さい。安い。「隣にはマクドナルドみたいなフライドポテト屋もある。そこはフライドポテトだけしか売ってないの。ファストフードの専門店が多いんです」(hf) 細分化させることで雇用の機会を増やしているんでしょうか。それともただ小さいのが好きなんでしょうか。
11月3日——Labo bokuchava
今回の旅の本来の目的。ファッションウィークへ。「おしゃれな人がいっぱいいました」(hf) 一気に業界っぽいムードですね。「ティビリシ出身のデザイナーのショー、良かったですよ。頑張ってました」(hf) そもそもなんでティビリシでファッションウィークが?「〈ヴェトモン〉のデムナ・ヴァザリア(注バレンシアガのアーティスティックディレクターでもある)がジョージア出身ということで注目された街なんです」(hf) トビリシファッションウィークには、今回ヒロシさんが行ったメルセデスベンツ協賛のものと、政府観光局がスポンサードするものと二つあります。「今やいろんな都市のファッションウィークがあって、キエフファッションウィークもある」(hf)
11月4日——おはようティビリシ
からの、朝食ヒロシ盛り。発音もトビリシからティビリシになってる。「フムスです」(hf) マトリックスレイアウトがすごくいいんですけど。「新聞社だったから、テーブルクロスのペーパーがカッティングボードをイメージしてました」(hf) カッティングボード萌え。個人的な発言ですが。
11月4日——フリマ トビリシ
「すごいでっかいフリーマーケットで、いろんなもの売ってる。医療器具の中古専門のところもいくつかあるんです。誰が買うんだろう」(hf) でも行ったら買っちゃうかも。欲しくなりませんでした? なんとなく。「なんとなくね。車のパーツ屋をのぞいたら、古いコンドームを一個ずつ並べて売ってたんですよ。これは欲しくないでしょう」(hf) 微妙ですね。「あと旧ソ連の古い写真付きパスポートも売ってて、買ってくれば良かったなあ。
11月4日——Tbilisi フリマ
「マドンナって書いてあるんだろうけど読めない。マホ〜ナ?」(hf) ほんとだ。国内版が出てたんですかね。「旧ソ連版じゃないですか?」(hf) ですよね。
11月4日——明るいミルマスカラス
そんなに寒かったんですか?「寒くないですよ」(hf) あ。ファッションなんですね。グッチですしね。
11月4日——ジェンガビル
「これは銀行なんです。Bank of Georgia。レイ・チャールズが歌いそうな響きの」(hf) ジョージア、オンマイマインド。ここだけの話、国名を聞くたびにあの歌が聞こえてきます。「ジェンガみたいな建物でかっこいい。こういう変わった建築物もいっぱいある。ほんと、ジョージアいいと思います。取材にも」(hf)
11月5日——#Situationist
「〈シチュエーショニスト〉というブランドのショー。すごく良かった」(hf) デザイナーは26歳のイラクリ・ルザゼという人。ブランドは2015年から。厚手のレザーのコートとか意図的にフィットしないテーラリングが特徴、とVOGUEに書いてありました。
11月5日——レストランの庭がいきなり放課後
「〈Sofia Melnikova’s Fantastic Douqan(ヒロシさん的発音だと、ソフィア・メルンケバズ・ファンタスティック・ドーガン)〉という名のレストラン。普通に、静かに、テラスで食べていたら急に子供達がわ〜っていっぱい出てきて放課後になった」(hf) つまり、学校でごはんを食べていたんですね。
11月5日——ヒンカリが美味しすぎ
「めっちゃ美味しかったです。ロシアンダンプリンとか小籠包の皮が分厚いやつです。スープも中に溜まってて。分厚いせいか、現地の人たちはこのつまみはあんま食べないんですよ」(hf) あ、ここは持つだけのところ。「牛肉だったり、マッシュルームだけだったり、チーズだけだったり、いろんな具材があるんです。味がついているので、何もつけないで食べる、ヒンカリ屋をやったら日本で流行ると思う。本当に流行ると思う」(hf) ビジネスチャーーーーンス! ドーナツ屋くらいの小さいヒンカリ屋やりましょう。
11月6日——〈bessarion〉
「このブランドがすごく良かった〈bessarion〉」(hf) モスクワでセレブたちに人気のブランド。デザイナーは1978年生まれのジョージア人、ベッサリオン・ラズマッジェ。モードはオーバーサイズ、店はちっちゃく、が今のティビリシ。ざっくりしたまとめ。
11月6日——どういう状況? タワー
これ、なんか変。大丈夫なんですか?「そうなんです。なんか変なんですよ。タワーなのに」(hf) 片側にもう半分あったんじゃないですか?「よく分からないものがいっぱいあるんです。でも本当にジョージアはディストネーショントリップとしてみんなにオススメしたい。日本人に絶対あってる。ごはんおいしいし、平和だし、散歩できるし、新しいものも古いものも混在してるし」(hf) ヒロシさん何度目かの大絶賛。おおジョージア。
11月6日——トビ朝
朝食3食目。コメントはいい加減になってきてますが、完成度は高まっています。
11月6日——アゼルバイジャン国境手前
「この日は暇だったんで、アゼルバイジャンに行ったんです」(hf) 暇だから行ってみるか、的なことで入れるんですか?「調べたらビザが必要だということがわかった。通常取得に3日かかるんだけど、Eビザでお金を余分に出せば3時間で取れるんっていうことで」(hf) 3時間もかかるんですね。「久しぶりに国境でドキドキした。ここ(緑の店)までは国境の手前でギリギリジョージアです」(hf) これが(ゲート)国境ですか?「この門は国境を越えたところ。車で越えます。日本人の感覚で国境越えって、飛行機じゃないですか。でも海外だと車が多いですよね。ユーロ圏は国境がないから、久しぶりだなあって」(hf) 越えたからには戻り、もあったわけですよね。「(ジョージアからアゼルバイジャンへ)出るのは簡単。(アゼルバイジャンからジョージアへ)戻ろうとしたときに車を止めらました。運転手は車を運転したまま向こうへ行け、僕を含めた同乗者3人はここで降りろって、細い通路の先にある部屋へ通される。すると頭巾をかぶったジプシーのおばあちゃんがいっぱいいて、大声で喧嘩してるんです。なんか危険な雰囲気。待てよ……。僕はアゼルバイジャンで2時間お茶をしてジョージアに戻って来るつもりだったから、パスポートと小銭とiPhoneしか持ってない。やばい。そんな不安な1時間を過ごした結果、通してくれたんですけどね」(hf)
11月6日——ギャンジャなう
アゼルバイジャン第2の都市ギャンジャ。ちなみに首都はバクー。「ジョージアはキリスト教圏ですが、アゼルバイジャンはイスラム圏。雰囲気が全然違う」(hf)
11月6日——Gəncə • Ganja • Гянджа
旧ソビエト連邦色が濃厚ですね。「第二次世界大戦にロシア軍として戦ったという誇りみたいですよ」(hf) ちょっと難しい話のような気がしたので、以上。お茶できたのかどうかも謎。
11月7日——dunkin’ donuts’
あ。もうティビリシからの出国ですね。これ本当にダンキンドーナツなんですか?「本物です。全く読めないけど」(hf)
11月7日——洋梨はわかるけど、隣は雑草ジュース?
「謎の飲み物」(hf) かつてのトイレの石鹸みたいな……。ミントのなんかですかね「そう。ミント。雑草」(hf) トルコも近いですからね。トルコといえばミントティーですからね。で、飲んでみると「色!歯磨き粉の味。この国の食べ物全て極上駄菓子の味。気に入った」(hf) 小泉元首相のように感動されてます。
11月7日——チコリの夜
美味しそう。チコリ。そしていつの間にか滞在国が変わってる。「これはミラノ。チコリって日本ではあんまり食べないですよね」(hf) だって高いんだもーん。「チコリの苦味っておいしいですよね。大人になってわかるおいしさですよね」(hf) だって、子供の頃食べたことなかったもーん。
11月9日——ティラミス ニューウェイヴ
そしてこれは惑星誕生の瞬間?「ホテルブルガリのティラミスです。美味しかったです」(hf) ほお。
11月10日——Contraste Milano
「〈Contraste〉はレストラン。メニューが鏡なんですよ」(hf) 料理のビジュアルインパクトがすごいですね。特にデザート。「これ、日本じゃできないでしょ。『ナルコス』風デザート。チョコレートで作ったピストルの弾と、****みたいなココナッツパウダーと、血に見立てたソース」(hf) ミラノだから許される。「日本でもやっていいと思うんですけどね。怒られるのかな」(hf) 『ナルコス』は、ヒロシさんハマり中のネットフリックス制作のオリジナルドラマ。コロンビアでアメリカ合衆国に麻薬を提供する組織と、アメリカから派遣された麻薬取締捜査官の戦いを実話に基づいて描いている。
11月15日——Just Launched.
〈Do Nothing Congress〉って、誰がやってるのか、どう関わってるのか? 未だ謎なブランドですが、hf周辺の誰かのブランドという事はたしかのようです。「僕がミューズなんです」(hf) 何にもしないでお茶を飲むだけの人がオリジナルTシャツを作ったんですね。
11月15日——熊とリヒター
「昔買ったリヒターの『Prizma』という作品とバカラのブリックベアを窓辺に並べてみました。夕焼けがとてもきれいで……」(hf) そんな話には上の空で、これはいくらでこれはいくらだから合わせてぎゃあ、みたいな話ばかりしていたインタビュアーがいたとかいないとか。心が貧しい。自戒。
11月19日——さくさくチーズとナルコスと。西に向かう
11月20日——帰りの新幹線はナルコスどらま見るかカルロスにゅーす見るか
前出の『ナルコス』。「この数日はナルコスとカルロスの間で揺れていました」(hf)
藤原ヒロシ|Hiroshi Fujiwara
1964年三重県生まれ。DJ、音楽プロデューサー、ファッションクリエイター。英米で触れたクラブ文化を80年代の日本に持ち込むなど、音楽とファッションの両軸で日本のストリートカルチャーを牽引。現在、デジタルメディア「Ring of Colour」を運営する。京都精華大学ポピュラーカルチャー学部客員教授。
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