ミラノと六本木ヒルズに社食を持つと噂される全方位クリエイター藤原ヒロシ(hf)。彼のInstagramの謎をイノセント(無知の方)な視点で取材する連載の第10回(月2回更新)! 2018年6月前半にポストされた画像からお届けします。
INSTAGRAM & TALK BY HIROSHI FUJIWARA
TEXT BY HF WATCHING COMMITTEE (HWC)
2018年6月2日——Tシャツ。バーバラ・クルーガーの
Tシャツ、作ったんですか?「これは作ってない。 新しいバーバラ・クルーガーの本が出て、その1ページです。僕が作ったら、〈シュプリーム〉のニセモンって言われちゃう。まあ、いいんだけど、これは本物」(hf) 2枚目の写真を見れば分かりますね。ちなみに、バーバラ・クルーガーが〈シュプリーム〉のボックスロゴの元ネタという……、まあ、いいか。
6月2日——アジサイの季節
お花ネタって珍しくないですか。「『キャンティ』のガラス張りの中の花。あの光景が僕の心の何処かにずっとある。〈モンクレール〉の僕のプレゼンテーションのヒントにもなった」(hf)(INSTANT FLOW#3 2月21日参照)そうでしたね。
6月3日——Sunday noon
「外国人が日本に来て『どっかいいとこない?』って聞かれたら金田中に案内することにしてます」(hf)。箱根か、金田中か、なんですね。「意識高い系の人多いですから」(hf) 国賓級ゲストのおもてなしのツボおさえてます。さすがです。
6月3日——懐かしいバージョンが沢山入ってて得した
「昔流行ったアーティストのデラックス版CDを僕はよく買うんですけど、これは『Haircut One Hundred』。2枚組になっていて、聞いたことない未発表音源とか入ってるんです」(hf) ほお。Paint And Paint: Deluxe Edition。2ndアルバムの初CD化らしいです。ニック・ヘイワード脱退後ってことで、当時(1984年)もあまり見かけなかった1枚、が2枚かつ、デラックスになって帰ってきた! DJヒロシも帰ってこないかなあ。
6月3日——プレハブ
「元プラスチックスのシマちゃんこと、島 武実先生と元デプトの永井誠治巨匠のお店です」(hf) え。どこですか?「シモキタ」(hf)。なんのお店なんですか?「ガラクタ屋」(hf)。雑貨屋のことですか?「うーん、雑貨というより骨董屋かな? ガラクタ骨董屋。アートピースとか自分で作ったものとか、誰かが持っていていらなくなったものとか、そういうものをぐちゃぐちゃに売ってるの。本もあれば、レコードもあれば、作品もあれば、椅子もある。だからガラクタ骨董屋」(hf) 正しくはプレファブでした。prefab。
6月3日——the kiyoshi
「あ、これ間違えてる。kiyoshiじゃなくて、kiyoseです」(hf) キヨシくんじゃなくて清瀬くんなんですか? あ、もしかして地名?「そう清瀬市のスケートパークです」(hf)。あ、これ、ヒロシくんじゃないですか。てっきりプロのスケーターの写真かと思いました。いや、マジで。
6月6日——仕事中
「マイ・ミューズって書いておいてください」(hf) はい。仰せの通り書いておきました。
6月6日——Suhring vs lacime 口の中で弾ける大阪
「大阪にあるフレンチレストラン『ラシーム』、美味しかったー。タイ・バンコクのレストラン『シューリング』とのコラボディナー。美味しかったし、また行きたいです」(hf) 誰に言っているのでしょうか。
み ってなんですか? 口の中で弾ける大阪って? 「これ、ミックスジュースなんです」(hf)。え!?「口の中に入れるとミックスジュースの味が弾けるんです。だから、『み』」(hf) た(たこ焼き)とか、く(串カツ)とかもあるんですか。「『み』だけです」(hf) そうですよね。
6月7日——メカニカル
私物ですか? いつものRじゃない。「そ。機械的時計」(hf) Pとかもお持ちなんですね。「たまにつけてます」(hf)
6月8日——渋谷コメダ。求めてるものが違う
「渋谷の『コメダ』がめっちゃオシャレになってて、オーダーもなんかiPadで、コメダ感ゼロで、コメダのいいとこ全部無くしたコメダです」(hf) 大好きなコメダにがっかりしたわけですね。「コメダの良さって、いわゆるファミレスの底辺みたいな感じにおける頂点っていうところだと思うんです。この店は頂点を目指した底辺になってしまってる。もったいないなって思う」(hf) 鋭い! カミマーケティング論。
6月8日——これが噂のかつお食堂。魅力的な良いアイデア
「流行りの『かつお食堂』です」(hf) 流行りなんですか?「まだ流行ってないとしたら、時間の問題です」(hf) これ、みんなが知ってるのに思いつかないというジャンルですよね。「鰹しかないんです。鰹節に魅せられた若い女性が一人でやっていて、いろんな産地のかつぶしを削って、ご飯にかけたかつお飯を提供する鰹節専門店。インスタ映えもするし、こういうの、絶対流行りますよ」(hf) 全8席。週4日営業のお店です。もう流行ってました。
6月9日——昔のエアキング
RとTのダブルネームですか?「エアキングです。〈ロレックス〉の中で一番高くないシリーズです。」(hf) 今もあるシリーズ? 「今のデザインは(スマホで検索)こうなってますね」(hf) 全然違うものですね。
6月9日——買ってみた。読んでみる
どうでした?「あー、うーんと、なんかそんな面白くなかったかな」(hf) ジャケ買い系のタイトルですけどね。「話題になって、バッシングもかなりされたみたいですけどね。これを読んで深く考えることは僕はなかった」(hf) 逆に読んでみたくなるコメントではありますね。
6月9日——anne dudleyを聴いてる
お。これアプリなんですね。「McIntosh AP1 Audio Playerというアプリです」(hf)。へー。「本当に音がいいかわわからないけど、デザインがかわいい」(hf) やっぱり高いんですか?(愚問)「無料です」(hf) 聴いているのは、hfが「縁の下の力持ち的なピアニスト」と高評価する、ANNE DUDLEY。
6月10日——とりがいインパクト
これ本当にトリ貝なんですか?「トリ貝をこういう形で見たことないじゃないですか? 裸の姿しか見たことないから、あ、こんなシェルに入ってたんだ!っていう」(hf) お風呂やさんでしか会わない人に街で会った、みたいな。室町和久傳に行けばみられます。もちろん食べられます。
6月10日——クッピーラムネ万歳!
このパッケージを見る度に、グッピーじゃなくてクッピーなんだって思うんですけど、それにしても万歳までしますか。「大好きなんです。しかもこの大きい粒のほう。ラムネって、日本にしかないお菓子なんですって」(hf) そもそも飲むほうのラムネも海外にありましたっけ?「日本だけってことはないかもしれないけど。ミラノに行く時に日本のお菓子をいつも持って行くんですけど、ここのところたて続けに激辛、唐辛子、一味あられとか、辛いものばっかりだったんですよ。みんな、『ニッポンノオカシ、メッチャカライ』って言ってて……。で、この前これ持ってったんです。『コレモカライノ?』っていうから、『見てわかるでしょ!』って(笑)」(hf) 辛い体験がトラウマになってるんですよ。兎とリスのイラストもある種ホラーっぽいし。
6月11日——セブンスターショー
ジュリーですね。「『セブンスターショー』っていう、ユーミンとジュリーと、西城秀樹と、森進一、吉田拓郎、布施明、あともう一人誰だっけ? をそれぞれフィーチャーした番組があって、プロデューサーが久世光彦。ユーミンの回がすごい面白かった」(hf)(あともう一人は五木ひろし)何年ごろの番組ですか?「1970年代。『時間ですよ』時代。YouTubeとかにたまにあるんですけど、それをオフィシャルでCSのTBSチャンネルでやってた。映像もすごい綺麗。ユーミンはかまやつさんと共演しているんです。細野さんとかと『あの日に帰りたい』をボサノバで歌ってたり。いいでしょ」(hf)
6月11日——鈴木編集長って凄い
「すごい面白かったです。自分でいうのもなんだけど。対談してる時も面白かったけど、まとまったらさらにすごく面白くなってた」(hf) どこが凄いんでしょうね?「頭がいい方なんですよね。それに、反骨的マインドがあるじゃないですか」(hf) GQです。テーマは新しいラグジュアリーのカタチです。
6月11日——楽しみ!
「プリンスの未発表音源ってどんどん出てるんですよ。その中のひとつ。有名な曲の違うバージョンとか。音はちょっと悪かったけど、いいですよ」(hf) デラックス!
6月12日——あと2日
これはモンクレールの……。「お店の前です。発売の2日前だからマイナス2。世界中でカウントダウンが一週間前から始まったんです」(hf)ヒロシさんの作るものって、みんな売り切れちゃうじゃないですか。70億個作ればみんな買えるのに。「現実的にそれを受け入れてくれる工場がないでしょう。スタバのマグだって(6/13 Instagram参照)15,000個×2色で3万個作ってるんですよ」(hf) 少な。←買えなかった人。
6月12日——ジブリ的サラダ
「なんていうんだっけこの野菜」(hf) ケール?「違う。ちょっと苦味のある野菜」(hf) チコリ?「あーチコリ!……だった気がする。イタリアって美味しい野菜がいっぱいあるから」(hf) 農業王国イタリア。これはどこで食べたんですか? 「みんなのミラノの台所、『ラ・テリア』です」(hf) レモンパスタのお店ですね。
「これも美味しかったですよ。モッツァレラとトマトのリゾットなんですけど」(hf) うわあ! 新たな美味しいもの登場。後ろには件のレモンパスタ!
6月13日——おはよう雨の水曜日
「これはブルガリホテルです。部屋はともかく、庭がいいんですよ。カフェがあって。そのために行ったのに雨だった」(hf) やっぱり雨嫌いなんですね。「雨が嫌いなんじゃなくて傘をさすのが嫌いなんです。そこ、間違えないでください」(hf)
6月13日——ミラノ初日の朝食に飲茶セットを頼んだことを後悔してる
「アメリカーナブレックファストとかコンチネンタルブレックファストとか色々あるなかに飲茶があったからちょっと惹かれて頼んでみたら……」(hf) 確かに朝食感はゼロですね。ミューズリーにしないからですよ。
6月13日——ボリョーナ手前で黒ウーロン
「海外、特にヨーロッパに行くときはペットボトルのお茶を必ず3、4本持って行くんです。なぜかっていうと、日本のそういうお茶がアメリカには結構あるけど、ヨーロッパにはないから。どこに行っても水か甘いものしかない。だから持参」(hf) 私物拝見でした。
6月13日——デザインが電車を飲み込む。綺麗な駅
「いつも通るときにかっこいいと思いながら通り過ぎるんで、今回こそはとカメラを構えて撮リました。ミラノからフィレンツェに行く途中なんですよ」(hf) レッジョ・エミリア駅。スペインのサンティアゴ・カラトラバ設計の駅舎みたいですね。「降りたことはないんです。高速に添って建てられていて、まさにデザインが電車を飲み込んで行くような感じなんです」(hf) 連続写真でご覧ください。
6月13日——なんだこれ! 最高に美味しい!
「アーティチョークの玉子焼きです。レモンパスタのときと同じような衝撃でした」(hf) トラットリア ソスタンツァ トロイア。トリップアドバイザーでも実に評価の高いお店。アメリカのフォード大統領も訪れたという。以上、フィレンツェからでした。
6月13日——ジョルジオ・デ・ミトリ君
「友達です」(hf) ジョルジオ・デ・ミトリさん、Wikiに凄い人だって書いてありました。「一人電通みたいな人です。昔からすごく仲がいい。ひとつ上かな? 同世代です」(hf) Wikiによると65年生まれ、ひとつ下です。「アーティチョークのお店も彼が連れてってくれたんです。彼はなんでも知ってる。美味しいものもいっぱい知ってる。『オステリア・フランチェスカーナ』のシェフ、マッシモと同級生とかで、有名になる前から連れってってくれてたんです」(hf) フィレンツェのヒロシさんみたいな人です。
6月14日——ミケランジェロ!
「フラグメントのイベント会場です。博物館と中庭で夜のイベントをするのは初めてらしいです」(hf) バルジェロ美術館というところですね。モンクレールのジーニアスプロジェクトの一人目の天才が、“ストリートウエア界のゴッドファーザー”藤原ヒロシ(by モンクレールのチェアマン兼CEO レモ・ルッフィーニ氏)! なんだか怖い人みたいですね。
6月14日——夜ポン。朝ポン。
長い1日を終えた後の夜のポンテベッキオ。
朝のポンテベッキオ。「泊まってたホテルの窓から」(hf)
6月14日——HEROにこんなところで出会えた
「上野伸平くんです。スケートボードって若いカルチャーじゃないですか。だから僕は近寄っちゃいけないと思って、対談とかオファーされても断っていたんです。せっかくハードコアで上手くてかっこいいスケーターなのに、僕と絡むと、彼が違う受けとめ方をされそうで。で、会って話したらすごいいい人でした」(hf) 自分を知り、相手への影響力も慮れる、そんなhfもかっこいいです。
6月14日——いつもの3人
なんかいきなり青春の1ページみたいになってますけど。「ここ(ヒルズ)でいつもお茶してる3人。僕とredbullのKENTAくんと、『GOD SELECTION XXX』というブランドをやってる宮崎泰成くん。フェラーラで」(hf) なんでフェラーラ? 気になる続きは、次号で!
藤原ヒロシ|Hiroshi Fujiwara
1964年三重県生まれ。DJ、音楽プロデューサー、ファッションクリエイター。英米で触れたクラブ文化を80年代の日本に持ち込むなど、音楽とファッションの両軸で日本のストリートカルチャーを牽引。現在、デジタルメディア「Ring of Colour」を運営する。京都精華大学ポピュラーカルチャー学部客員教授。
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